小説「海と陸の彼方へ」

 

第二章エドゥアルドの復讐

 

第9話復讐計画その2「エドゥアルド、女性たちから有力な情報を得る」

 

前書き

エドゥアルドは親しくなったロサリア・バルデス(45歳)から寝物語で有力な情報を得た。警察に勤務している夫のエルネスト・バルデス(47歳)の同僚が以前イカサマ賭博について調査していたというのだ。証拠を掴んだと酒の場でエルネストに口を滑らせたらしいが、いつの間にかその話を聞いても避けるようになったそうだ。今ではカリ市警に移動になったそうである。この警官ダニエル・モラレス(46歳)に事情を聞く必要がある。エドゥアルドは明日からエミリアの農園に農夫として研修することになっているので、少なくとも研修期間が終わってからでなければカリへは行けない。ここまで来たら焦ることもないので先ずは農夫としての腕前を磨き、エミリアの信頼を勝ち取ることのほうが大事である。実際エドゥアルドもコーヒー農園の経営は分かっていたが実際の農夫としての仕事の段取りについては良く知らないし、分からないことの方が多い。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」
ルドラ・バッシャール24歳。企業からの収益金250万米ドル。1,340万米ドルの普通預金「アドリアナと交換したもの」。金塊127トン「運用利息月利3,810万米ドル、日歩127万米ドル」。ブエノス・アイレス司法府裁判検事。ルドラ映画産業㈱会長兼オーナー「資本金6千万アルゼンチン・ペソ」。ルドラ金融㈱会長兼CEO。ボリビア化学薬品㈱会長兼オーナー「資本金1千万米ドル」。ボリビア薬品チェーン㈱会長兼オーナー「資本金1千万米ドル」。
インタイ・アルマンドは16歳。ラ・パスの一流大学の医学部修士卒博士号取得「飛び級」。現在は同大学で助手を務めながら工学を専攻しており、医師免許も持っています。ボリビア薬局チェーン㈱社長兼COO。普通預金250万米ドル。純度99.9%の粉末コカインを1トン所有。
エドゥアルド・ガルシア24歳。元コロンビア:ウィラ地区にコーヒー農園を所有する地主だったがイカサマ賭博に引っかかり、農園と1千万米ドル及び妻のローザ・ガルシア22歳を奪われる。
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ニューヨーク市の行政地図

アメリカ合衆国東部
昭文社「コンパクト世界地図帳」P52


フロリダ州の地図と出典「南部にマイアミ、更に南部にホームステッドがある」

カリブ海域
岩波現代文庫「コロンブスからカストロまで(Ⅰ)」E.ウィリアムズ著。巻頭の図。

コロンビア共和国
明石書店「コロンビアを知るための60章」二村久則編著。P14

コロンビアのアンデス山脈
明石書店「コロンビアを知るための60章」二村久則編著。P19

コロンビアの河川
明石書店「コロンビアを知るための60章」二村久則編著。P24

マフィアの組織図「パブリックドメイン」

 

1935年2月19日火曜日午後7時半:フィンカ・ロス・スエーニョス農園・母屋
エドゥアルドはロサリアの巨大なヒップと逞しくむっちりした太腿が気に入り、感嘆のため息を漏らしながら飽くことなく撫で擦りその感触を楽しんでいる。

ロサリアはエドゥアルドが先へ進まずゆっくりとロサリアの豊満な身体を楽しみ続けているのでとうとう焦れてきた。

自分の口から求めるのははしたないとは分かっていたが、「お乳を揉んで頂戴」と言いながら一抱えのメロンほどもある大きな両乳房をエドゥアルドに差し出し、乳首を吸わせる。

エドゥアルドが得たりとばかりチュウチュウと両乳首を交互に吸いたて舐めしゃぶると焦らされ続けていたロサリアは全身を大きく震わせながら初回の絶頂を味わった。

ロサリアはエドゥアルドのチノパンを脱がせ、ボクサーパンツの中から凶暴なものを取り出し、ぱくりと咥え込んだ。ロサリアにとっては久しぶりに味わう若い男の逞しくも懐かしい代物である。

その間にエドゥアルドはシャツを脱ぎ、ロサリアの真っ赤なミニドレスとインナーを脱がせブラックのレーストップストッキングだけの格好にした。ロサリアのセクシーな身体があらわになりエドゥアルドは思わずほくそ笑んだ。

ロサリアの恥ずかしがる様子が何とも言えず可愛い。その後のふたりのセックスの様子は敢えて詳述しないが、娘のアナがお休みなさいの挨拶で二人のいる居間を訪れたときにはすっかり二人は身支度を終えており、ロサリアはパジャマに着替えて自分の寝室へ移動した後だった。今にはエドゥアルドしかいなかった。

アナ:あれ。お母さんはもう寝たのかしら?

エドゥアルド:30分ほど前に寝室に向かわれたよ。ワインで少し酔っ払ったかも知れないね。

アナ:お母さんはお酒が弱いのよ。ワインをいっぱい飲んだだけで顔が真っ赤になるのよ。

アナはお休みなさいのキスをエドゥアルドにして自分の寝室に戻ろうとした。アナは先程プレゼントしたレガントなチャイナドレスをまだ着ていたのでエドゥアルドは彼女のスタイルの良さと美貌にうっとりとしてしまった。

流石にエドゥアルドからは仕掛けなかったが、アナはエドゥアルドの気持ちを敏感に察して可愛い舌をエドゥアルドの口の中にぐいと差し入れてきた。

エドゥアルドは差し入れてきたアナの可愛くも魅力的な舌に自分の舌を存分に絡めなが舐めしゃぶり、彼女の若く弾力のある身体の感触を味わった。

エドゥアルドは母娘ともども頂いてやろうという気持ちはサラサラなかったし、ロサリアに悪いと思う気もあったのでそのままアナと離れ事なきを得た。

エドゥアルドは親しくなったロサリア・バルデス(45歳)から寝物語で有力な情報を得た。警察に勤務している夫のエルネスト・バルデス(47歳)の同僚が以前イカサマ賭博について調査していたというのだ。

証拠を掴んだと酒の場でエルネストに口を滑らせたらしいが、いつの間にかその話を聞いても避けるようになったそうだ。今ではカリ市警に移動になったそうである。この警官ダニエル・モラレス(46歳)に事情を聞く必要がある。

エドゥアルドは明日からエミリアの農園に農夫として研修することになっているので、少なくとも研修期間が終わってからでなければカリへは行けない。

ここまで来たら焦ることもないので先ずは農夫としての腕前を磨き、エミリアの信頼を勝ち取ることのほうが大事である。

実際エドゥアルドもコーヒー農園の経営は分かっていたが実際の農夫としての仕事の段取りについては良く知らないし、分からないことの方が多い。

1935年2月20日水曜日、朝の光が母屋のキッチンを温かく照らしている。家政婦のカルメン・ロドリゲスはエドゥアルドの部屋の清掃を始め、その間に料理人のマルコ・ガルシアはキッチンで朝食の準備を始めた。彼の手際の良い動きがキッチンを活気づけている。

アナとロサリアもキッチンに入り、マルコの手助けを始めた。アナはテーブルセッティングを担当し、ロサリアはマルコの指示のもと、いくつかの料理の準備を手伝った。

朝食の献立
1.アレパ: コロンビアの伝統的なコーンブレッド。外はカリカリで中はふんわりとした食感が特徴です。
2.カリマニョラ: 肉と卵を詰めた揚げパン。外側はカリカリで中はジューシーです。
3.フルーツサラダ: 新鮮なトロピカルフルーツで作るサラダ。パパイヤ、マンゴー、バナナなどが入っています。
4.ホットチョコレート: コロンビア式の濃厚なホットチョコレート。甘さ控えめで、朝食にぴったりです。
5.チーズ: アレパやホットチョコレートに添えるためのフレッシュなコロンビアンチーズ。

エドゥアルドはキッチンに入り、ロサリアと親しげに彼女の手を取り、料理を手伝ってくれた感謝の印と言いながら熱烈なキスを浴びせました。広いキッチンですのでマルコからは見えません。ロサリアはちらっとマルコの様子を伺いつつもエドゥアルドのキスに応えます。ここではそれ以上のことは出来ません。

その代わりロサリアは夫の夜勤の日をエドゥアルドの耳元で囁いてくれました。今度はロサリアの家に泊まって欲しいというのです。その日は幸いアナも友達と旅行に行っているので二人でゆっくり出来るそうです。

エドゥアルドはそれを聞いて嬉しくなり、彼女を強く抱きしめ自身の喜びを最大限に表現しました。ロサリアの心はエドゥアルドの態度を見て満足し、はっきりとエドゥアルドの方へ傾きました。これまでは夫のことを思い、エドゥアルドとの関係をこれ以上進めることにためらう気持ちもあったのです。

テーブルには色とりどりの料理が並び、その香ばしい香りが部屋中に広がります。エドゥアルドはロサリアの隣に座り、アナも彼らの隣に座りました。彼らは料理を前にして家族のような温かさを感じながら、楽しく会話を交わしました。

ロサリアはエドゥアルドの愛情と心遣いに感動し、彼女の目には感謝と愛情の光が輝いていました。エドゥアルドは彼女の手を優しく握り、彼女の温かさと母性を感じながら、新たな愛情の芽生えを感じました。

1935年2月20日水曜日午前8時:ロドリゲス農園
新たな日が始まり、エドゥアルドは農夫としての研修を受けるためロドリゲス農園を訪れました。農園主ホセ・ロドリゲス(37歳)は不在でしたが、彼の妻であり経営者代理を務めるエミリア・ロドリゲス(35歳)と農園の支配人たちが彼を温かく歓迎しました。

エミリアはエドゥアルドに農園の日常業務を紹介し、彼が研修を受ける農夫頭の40歳の男性とその妻であり農婦頭の36歳の女性を紹介しました。彼らはエドゥアルドに農園の仕事の手ほどきをすることになります。

エドゥアルドは研修の一環として、まずは農園の畑での作業を学びました。彼は土を耕し、種をまき、若い植物を植える作業を覚えました。彼の手は土に覆われ、額には汗が流れましたが、彼は一生懸命に働きました。

昼食の献立
1.アヒアコ: コロンビアの伝統的な鶏肉とじゃがいものスープ。辛さを加えるためにアヒペッパーを添えています。
2.アレパ: コーンブレッドのようなもので、さまざまな具材を添えて提供されます。
3.フレッシュサラダ: 新鮮な野菜とハーブで作られたサラダ。
4.トレス・レチェス: 3種類のミルクを使用した甘いデザート。

昼食時には、農婦頭の36歳の女性カルメン・アルバレスが給仕を務めてくれました。彼女は気さくな明るい女性でこの農園での日々の色んな出来事をエドゥアルドに話してくれました。エドゥアルドは彼女を好もしく思い、相槌を打ちながら彼女の話をじっくり聞いてやることにしました。日頃パート主婦の愚痴話を毎日聞いてやっていますから慣れているのです。

彼女の服装を観察してみると、次のようなものでした。

・帽子: 農夫と同様に広いつばの帽子やスカーフを頭に巻いて太陽から保護します。
・トップス: 通気性の良いコットンのブラウスやTシャツ。長袖で肌を保護することが多いです。
・ボトムス: キュロットやワイドパンツなど、動きやすいボトムスを選びます。
・シューズ: 農夫と同様に作業用のブーツや固いソールの靴を履きます。
・エプロン: 作業中に服を汚れから保護するためのエプロンを着用することもあります。

実用的だし、カルメン・アルバレスには良く似合っています。

エドゥアルドは彼女の気さくで明るく良く喋るところが気に入ったと彼女を褒めそやし、そばに近寄って強く抱きしめ熱烈なキスを仕掛けました。あたりには誰もいないことは確認しています。

彼女はびっくりしたようでしたがおずおずと両手をエドゥアルドの首に回し背伸びをしながらキスに応じます。身長差がかなりあるので背伸びしないとキスが出来ないのです。エドゥアルドも身をかがめました。エドゥアルドは189cm、カルメンは165cmほどです。

カルメンはエドゥアルドを連れて農園の中にある休憩所に向かいました。ここは午後3時の休憩のときに彼女が良く利用する誰も来ない森林の空き小屋だそうです。乾いた麦わらがいっぱい敷き詰めてあり横になるとクッションが良く効いていて大変気持が良いところです。

彼女は手早くエドゥアルドの衣服を脱がし、自分も素っ裸になり、エドゥアルドを身体の上に載せました。筋肉質な身体の上に乗り、彼女の真っ白な肌の感触を味わうと得も言われぬ多幸感に包まれます。

これは彼女も同意見で「日頃は疲れて帰ってくる亭主に相手をしてもらっていないので久しぶりに良い気持ちになりました。時々で良いですからまた抱いて下さい」とお願いされて、エドゥアルドは幸せな気持ちになりました。

午後からはエミリアと一緒に農園の畜産部門を見学しました。彼は牛の世話や鶏の飼育方法を学びました。エミリアとは午後7時頃にエドゥアルドの農園の母屋で待ち合わせする約束をしています。

夕方になり、彼は農園の他の農夫や農婦と一緒に夕食の準備を始めました。

夕食の献立
1.バンデハ・パイサ: トラディショナルなコロンビア料理で、豆、プランテン、チョリソ、豚肉、卵などが含まれています。
2.パタコン: 揚げたプランテンで、塩と共に提供されます。
3.アボカドサラダ: 新鮮なアボカドとトマト、玉ねぎで作られたサラダ。
4.フランボワーズのムース: 甘酸っぱいフランボワーズを使用したデザート。

エドゥアルドはその日の終わりに、農園での一日が非常に充実していたと感じた。彼は新しい技術を学び、新しい友達を作り、そして農園のコミュニティの一部になることができた。彼は心から働き、エミリアと他のスタッフの信頼を勝ち得ることができたと信じた。

しかし、突然帰ってきた農園主ホセ・ロドリゲス37歳が何もかもぶち壊しにしてしまいました。彼はコカイン中毒のため錯乱しており、エミリアから聞いたはずの「エドゥアルドが今日から研修に来ること」も忘れてしまったようです。

エドゥアルドはコカインの密売業を営んでおりましたからコカイン中毒者が突然錯乱するということも熟知してはおりました。でもこればかりは計画の範囲外です。困ったことになったものです。

彼はエドゥアルドに詰問します。

「お前は誰だ。何の権利があって俺の留守中に農園に入り込んでいるんだ。早く出ていかないと警察を呼ぶぞ」

エミリアが間に入って経緯(いきさつ)を説明しようとします。

ホセ:ということはお前はこの男が気に入ったんだな。お前の腹の中は丸見えなんだよ。お前はこいつと寝たいんだろう。そうは問屋が卸さないぞ。

エドゥアルドはそこまで言われて腹が立ち、ホセに殴りかかろうとしました。後ろから農夫頭のルイス・アルバレス40歳「農婦頭カルメン・アルバレス36歳の夫」がエドゥアルドを羽交い締めにして止めます。

そこに支配人のビクトリア・ゴメス「寡婦48歳」が姿を見せ、ホセを優しくなだめました。その間にカルメンとエミリアがエドゥアルドを逃しました。

帰りにエミリアが耳元で「御免なさい。しばらくは貴方とお会いすることは出来ないわ」とささやきます。エドゥアルドは軽く頷き、車で自宅まで帰りました。

☆自宅にて
思いがけない結果となったがこうなったら別ルートで証拠探しをする他無い。そうだ。カリ市警に移動したダニエル・モラレス(46歳)について少し調べてみよう。自分で行くことも考えたが明日はルシア・ガルシア(42歳)と午後3時にここで待ち合わせの約束をしている。

何とかならないものかと考えているうちにメデジンで知り合った男の顔を思い出した。確かヘクター・モラレスとか言ったな。30歳前後の男で、メデジンのスラム街にある狭くて薄暗いドヤ、"エル・パライソ"に住んでいる。彼は電話を持っていないのでエドゥアルドはメデジンへ行くことにした。今7時半だから彼と会って話をつけて今日中に帰ってくることが出来るだろう。エドゥアルドは自分の農園の飛行場へ行き、メデジン空港まで飛んだ。

☆午後10時:メデジンのスラム街
ドヤ街"エル・パライソ"はすぐに見つかったが、狭い路地が入り組み、古びた木造の家々が立ち並ぶ場所だった。その地域は貧困層が多く住む場所であり、多くの人々が日々の生活に苦しんでいる場所でもある。エドゥアルドは大型の自走小銃を肩にかけながらヘクターの行方を探した。浮浪児を捕まえ、10ドル掴ませるとヘクターの住むドヤに案内してくれた。

ヘクター:エドゥアルドの旦那ですかい?わざわざここまで来るとはよほど重要なお仕事なんですね。

エドゥアルド:今日は人探しではなく、人の調査だ。カリまで行ってもらう。

ヘクター:交通費や宿泊費、食費などは別払いでお願いしますよ。でどなたを調査するんですか?

エドゥアルド:カリ市警の警官ダニエル・モラレス(46歳)さん一家のことを調べてもらいたい。前金で5万ドル出そう。成功報酬は更に5万ドル出す。どんな小さいことでも良いから調べ上げてくれ。

エドゥアルドは5万ドルをキャッシュで支払った。今の住所と電話番号も教えておいた。ヘクターも電話を引いたらしく電話番号を教えてくれた。

ヘクターは承諾し、エドゥアルドをスラムのストリップ劇場へ誘った。エドゥアルドは彼の誘いを断り、そのままウィラ地区の自分の農場へ帰ることにした。

☆その日の深夜1時:フィンカ・ロス・スエーニョス農園・母屋
自宅に帰ってきたエドゥアルドがベッドに入り、寝ようとしていると、ドアをトントンと叩く音がする。エドゥアルドが拳銃を片手に慎重にドアを開けるとそこには殴られて顔に大きな痣を作っているエミリアが泣きながら立っていた。

ホセに暴行されたんだなと察知したエドゥアルドは彼女を介抱し、薬品箱から傷薬と新万金軟膏を取り出し、傷口と痣(あざ)の周りに塗った。ガーゼをあてがい、包帯を巻いたあとは彼女をベッドに寝かせた。医者へは明日連れて行くとして、エミリアをしばらくここで匿うことにした。少なくとも傷が癒えるまでの何日かは匿わねばならないだろう。

ホセに会わせてもろくなことにはならない。エミリアに傷を負わせるとはホセも相当狂っている。エドゥアルドの勘ではエミリアはイカサマ賭博に関与していないような気がした。

カルロス、ホセの二人は間違いないが、他に関与したものはいないのだろうか?ヘクターの調べを待つ必要はあるが、カルロスの妻ソフィア「対立マフィアに殺されたアンジェロの妹」とロドリゲス農園支配人ビクトリア・ゴメス「寡婦48歳」のふたりもどこか怪しい気がした。ふたりともホセとは昔から親密だったのではないか?

☆深夜2時:エミリアの乱れる思い
エミリアはホセから逃れてここまで来たが、彼女の心は千々に乱れていた。最近のホセの行動が明らかに可怪しいからだ。確かに以前からコカイン中毒の兆候はあった。

賭博常習者でもあるホセは賭博に勝つためにコカインを常用しており、大きい勝負のあとには連日連夜乱用したため錯乱することもあった。最近では2年前のエドゥアルドに仕掛けたイカサマ賭博のあとに錯乱が起こり、エミリアが家中の猟銃や拳銃を隠したこともあった。エドゥアルドと言っても今訪れているハンサムなアメリカ人の方ではなく、田舎者のエドゥアルドの方である。

田舎者のエドゥアルドを騙すのは簡単だったそうだが、思った以上に実入りが大きく、カルロスからはロドリゲス農園と1千万ドルをもらったと喜んでいた。カルロスの利益はというと横恋慕していたローザだけだったが、カルロスの強っての望みでホセは引き受けたそうだ。

単純な闘牛賭博の一種で牛と牛とを戦わせ、勝負を競う。最初の2,3回は負けてやり、最後の大勝負のときに田舎者のエドゥワルドが賭けた牛に下剤を与えるのだとか。その牛の世話をしていたのが今のロドリゲス農園の支配人をしているビクトリア・ゴメス48歳である。彼女は元々カルロス牧場の農婦だったがこのときの功績により、カルロスの命令で田舎者のエドゥワルドから奪ったロドリゲス農園の支配人に抜擢された。

エミリアが疑っているのはホセとビクトリアの間柄である。錯乱したときのホセはエミリアの手には負えないし、うかうかすると今回のように怪我を負わせられることもある。だがそういう時でもホセはビクトリアの言うことは聞くのである。今やビクトリアはホセの妻であり、ロドリゲス農園の経営者代理でもある。だからエミリアの居場所はロドリゲス農園にはなくなりつつあるのだ。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

エドゥアルドはその日の終わりに、農園での一日が非常に充実していたと感じた。彼は新しい技術を学び、新しい友達を作り、そして農園のコミュニティの一部になることができた。彼は心から働き、エミリアと他のスタッフの信頼を勝ち得ることができたと信じた。しかし、突然帰ってきた農園主ホセ・ロドリゲス37歳が何もかもぶち壊しにしてしまいました。彼はエドゥアルドに詰問します。「お前は誰だ。何の権利があって俺の留守中に農園に入り込んでいるんだ。早く出ていかないと警察を呼ぶぞ」エミリアが間に入って経緯(いきさつ)を説明しようとします。ホセ:ということはお前はこの男が気に入ったんだな。お前の腹の中は丸見えなんだよ。お前はこいつと寝たいんだろう。そうは問屋が卸さないぞ。エドゥアルドはそこまで言われて腹が立ち、ホセに殴りかかろうとしました。後ろから農夫頭のルイス・アルバレス40歳「農婦頭カルメン・アルバレス36歳の夫」がエドゥアルドを羽交い締めにして止めます。