小説「海と陸の彼方へ」

 

第一章ブエノス・アイレスの輝き

 

第20話……カルメンとの結婚及び思わぬ儲け話

 

前書き

☆カルメンの実家「ボリビアの貴族」の領地ユンガス……コンキスタドール「征服者」の子孫:カルメン一家は先祖代々この領地を受け継いできた……ラパスの北東から南への狭い地域はユンガス (西: Yungas) と呼ばれる生態系によって、高地のアルティプラーノ (Altiplano) や低地の熱帯ボリビアと区別される。豊富な降水量による霧と湿度で知られる雲霧林が広がる地域で、沸き立つような樹木に覆われた山肌と絶壁や滝を含むベニ川「アマゾン川の支流、マデイラ川源流」の流域で海抜600mから2,500mの間に位置している。ここにはボリビアで最も豊かな生態系が広がる。この温暖なユンガス地方では、コカ、コーヒー、サトウキビ、バナナ、パパイヤ、lacayotes「カボチャの一種」、lúcumas「熱帯産フルーツの一種」、アマランサス、achupallas や bromelias「パイナップル科の植物で帽子 (西: Chupalla) の材料」、トウモロコシ等が台地や段々畑で栽培されている。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」
ルドラ・バッシャール24歳。手持ち現金550万アルゼンチン・ペソ。金塊127トン。ブエノス・アイレス司法府裁判検事。ルドラ映画産業㈱会長兼オーナー「資本金6千万アルゼンチン・ペソ」。ルドラ金融㈱会長兼CEO
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カルメン・バッシャール36歳。ルドラの妻。エミリオ・ロドリゲス「死亡」の元妻。
イザベル・ロドリゲス20歳。カルメンの娘。
フェルナンド・ロドリゲス20歳。カルメンの息子
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部下
タリオ「勇敢な戦士」21歳。ルドラ缶詰工業㈱専務。ルシエンヌの兄。シワトルの夫。カリブ族の男。獰猛。格闘技の達人。
シワトル「花の女神」28歳。タリオの妻。元タバスコ領主の妻。聡明で美しく、性格は穏やかで優しい。
ルシエンヌ「明るい」19歳。ブエノス・アイレス司法府検察官「刑事事件の捜査や起訴を担当」。選挙対策委員長代理。
モンバナ「高い山」男2歳。ルドラとルシエンヌの間の子。
カノア「風」40歳。ルシエンヌの父親。
アマタ「永遠の」38歳。ルシエンヌの母親。
アドリアナ・グラノジェルス25歳。ルドラ金融㈱COO。元ルドラの愛人。カジェタノの元妻。
ヘロニモ・デ・アギラール30歳。スペイン人。元コルテスの部下
イシュトゥル 「Ixchel」19歳。アギラールの妻。
パカル 「Pakal」男5歳。アギラールの息子。
ゴンサーロ・ゲレーロ28歳。スペイン人。
イディア・ンジンガ17歳。ゲレーロの妻。酒好き。陽気なアマゾネス。時々姿をくらます。
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その他の人々
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。悪魔のように可愛い女。高みに連れて行ってくれる男を求めて突進する。手段は選ばない。選挙対策委員長。
エルヴィラ・ドゥアルテ13歳。マリアの妹。
カタリナ・イルデフォンソ20歳。ルドラ金融㈱営業部長。
中田ボニファシオ38歳。日系人4世の男性。カフェ、レストラン&バーの経営者。
高梨アデルミラ32歳。日系人4世の女性。麻雀店、ビリヤード場の経営者。
レティオ・チュチョ33歳。メスチーソ。エステル・ラジオのプロデューサー。賭博好き。
カタリナ・リベラ・サンドバル34歳。アルベルト・ペレイラ・レボルコ「財閥の当主、政治家」の妻。社交界の華。芸術家支援、慈善活動を行っている。
カルロス・フルベック・オルトゥサル35歳。政治家であり外交官。若い妾を囲っており、妻のロサを顧みない。
ロサ・オルトゥサル30歳。カルロスの妻。アルゼンチンの貴族出身で社交界の名士。
エルナンデス夫妻「夫:フアン・エルナンデス46歳、妻:マリア・エルナンデス44歳」。ブエノス・アイレスの牧牛・牧羊業界の大物。エルナンデス牧場主。
マルティン・ペレス34歳。旧ルイス・ガルシア牧場経営者。元エルナンデス牧場の牧童頭。
パウラ・ペレス26歳。元マルティン・ペレスの妻。フアン・エルナンデスの愛人。
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ルドラ邸スタッフ
執事頭:ジョン・スミス、年齢:45歳
侍女頭:エマ・ジョンソン、年齢:32歳
侍女:ソフィア・ウィリアムズ、年齢:27歳
侍女:オリビア・ブラウン、年齢:29歳
侍女:ルシア・ロドリゲス、年齢:25歳
侍女:アナ・ペレス、年齢:20歳
侍女:ベアトリス・サンチェス、年齢:18歳
庭師:ジェームズ・ジョーンズ、年齢:44歳
ボディガード兼運転手:マイケル・ミラー、年齢:51歳
ボディガード兼運転手:エドゥアルド・ガルシア、年齢:34歳
料理人:ウィリアム・デイビス、年齢:38歳
料理人:マリア・ゴンザレス、年齢:30歳
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大型ガレオン船1隻「2,000名乗り、改良野戦大砲500台搭載」小型ガレオン船10隻「100人乗り、改良野戦大砲30台搭載」、キャラック船50隻「500名乗り、改良野戦大砲50台搭載」、砲丸5万発、後込め式小銃10万丁、弾丸500万発。馬5,000頭。荷馬車500台。
傭兵部隊「シラジの女奴隷軍500名、元ベニン王国黒人女奴隷軍500名」
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南アメリカ
帝国書院「地歴高等地図」P75,76

アンデス越え
帝国書院「新詳高等地図」P82

ルドラはカルメンとの結婚に際して前司法大臣に作製してもらったアルゼンチン国籍に従って名前と年齢を公表した。

ルドラ・バッシャール24歳。インドの生まれ。父親アデル・バッシャール、母親シーリーン・バッシャールともに死亡。

実年齢は15歳だが、身長193cm、体重86キログラムの美丈夫であるから24歳と言っても疑うものはいない。カルメンなどは最初からそう思い込んでいる。

1935年2月4日、月曜日の午前10時。エミリオ・ロドリゲス邸では、故エミリオ・ロドリゲスの葬儀が静かに行われました。38年の人生を閉じたエミリオへの最後の別れは、敬意と哀悼の念に満ちていた。

その後、ルドラ・バッシャールとエミリオの未亡人であるカルメンは、市役所に婚姻届を提出しました。24歳のルドラと36歳のカルメンの結婚は、新たな家族の始まりを象徴していました。そして、彼らは新たな生活を始めるために、ルドラ邸へと移動しました。

ルドラ邸では、スタッフ一同が新しい家族を出迎えました。45歳の執事頭ジョン・スミス、32歳の侍女エマ・ジョンソン、27歳の侍女ソフィア・ウィリアムズ、29歳の侍女オリビア・ブラウン、44歳の庭師ジェームズ・ジョーンズ、51歳の運転手マイケル・ミラー、そして38歳の料理人ウィリアム・デイビス。彼ら全員が、新しい家族「新妻カルメン・バッシャール、イザベラ・ロドリゲス、フェルナンド・ロドリゲス」を温かく迎え入れました。

ルドラ邸の広々としたホールは、新しい家族を歓迎するための準備が整っていました。大きなダイニングテーブルの上には、ウィリアム・デイビス料理人が心を込めて作ったアルゼンチン料理が並び、その豪華さと贅沢さは、次期ブエノス・アイレス市長兼大企業家の家族を迎えるにふさわしい。

テーブルの上には、色とりどりの野菜と肉料理、新鮮な海鮮料理、そしてアルゼンチンの伝統的なデザートが並び、その香りが部屋中に広がっていました。料理人のウィリアム・デイビスは、この特別な日のために、最高の食材を使って最高の料理を作り上げました。

新しい家族が到着すると、スタッフ一同は一礼して歓迎の言葉を述べ、カルメンとその子供たちをダイニングルームへと案内しました。新しい家族がテーブルに着くと、ウィリアム・デイビスは自ら料理を運び、各料理を紹介しました。

1️⃣前菜:
①エンパナダ: パイ生地に肉や野菜、チーズなどを詰めて焼いたパイ。アルゼンチンの伝統的な前菜です。
②プロボレータ: モッツァレラチーズをトマトとオレガノで味付けし、オーブンで焼いた料理。

3️⃣主菜:
①アサード: 牛肉のバーベキュー。アルゼンチンの国民食で、特に牛のリブがよく使われます。
②ミルネサ: 牛肉や鶏肉を薄くスライスし、パン粉をつけて揚げた料理。サラダと一緒に提供されます。

4️⃣サイドディッシュ:
①チミチュリ: パセリ、ニンニク、酢、オイルなどで作るソース。肉料理によく合います。
②プロヴォレータ: スライスしたトマトとモッツァレラチーズをオーブンで焼いた料理。

5️⃣デザート:
①ドゥルセ・デ・レチェ: 練乳をじっくりと煮詰めて作るキャラメルソース。アイスクリームやパンケーキのトッピングとして人気です。
②アルファホレス: ドゥルセ・デ・レチェをサンドしたクッキー。アルゼンチンの伝統的なデザートです。

6️⃣飲み物:
①マテ茶: アルゼンチンの国民的な飲み物で、特殊なストローを使って飲みます。
②アルゼンチンワイン: マルベックやトレンタなど、アルゼンチン産のワインは世界的にも評価が高いです。

7️⃣特別メニュー
①パラドージャ: アルゼンチンの伝統的な料理で、豪華なパーティーや特別な機会によく作られます。様々な種類の肉を使い、長時間じっくりと焼き上げます。
②セビーチェ: 新鮮な魚や海鮮をライムジュースでマリネにした料理。エレガントで爽やかな味わいが特徴です。
③パテ・デ・フォアグラ: フランス料理の一つで、ガチョウやアヒルの肝臓から作られる高級なパテ。パンに塗って楽しむ。
④トリュフのリゾット: 高級食材であるトリュフを使ったリゾット。クリーミーで豊かな風味が特徴です。
⑤デザートには、シャンパンと共にストロベリーを提供することで、華やかさを演出します。
⑥飲み物には、高級なアルゼンチンワインやシャンパンを用意します。特に、アルゼンチンのマルベックは世界的にも評価が高いです。

この日、ルドラ邸は新しい家族を迎える喜びと、新たな始まりの期待感で満ち溢れていました。そして、それは新しい家族の一員であるカルメン、イザベラ、フェルナンドにとっても、新たな生活の始まりを象徴していました。

カルメンは使用人を全員連れてきました。料理人「女性」と侍女3人です。カルメンが連れてきた使用人たちは以下の通りです:

料理人:マリア・ゴンザレス、年齢:30歳
侍女1:ルシア・ロドリゲス、年齢:25歳
侍女2:アナ・ペレス、年齢:20歳
侍女3:ベアトリス・サンチェス、年齢:18歳

ルドラはウィリアム・デイビスの下にマリア・ゴンザレスを付け、彼から料理を指導させることにしました。マリアは謙虚な女性でウィリアムとの相性は良さそうです。3名の侍女もエマ・ジョンソンの下に付けて行儀作法を覚えさせることにしました。

☆カルメンとの会話
カルメン:ルドラ。結婚式は何時にするの?

ルドラ:そうだな。来週の日曜日にしようか。場所は近くの教会で良いだろう。

カルメン:場所はボリビアのラ・パス教会でやって欲しいのよ。父親が足が悪くてね。ここまで来れないのよ。

ルドラ:そういうことならボリビアでやろう。軍用機を借りれば一日で着くだろう。

カルメン:私が両親と妹夫婦、兄夫婦に連絡しておくわ。

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カルメンの家族構成は以下の通りです:

両親
父親:ドン・フェルナンド・デ・ラ・クルス、年齢:65歳
母親:ドニャ・イザベラ・デ・ラ・クルス、年齢:62歳
妹夫婦
妹:ソフィア・デ・ラ・クルス・アルバレス、年齢:33歳
妹の夫:エドゥアルド・アルバレス、年齢:35歳
兄夫婦
兄:アレハンドロ・デ・ラ・クルス、年齢:39歳
兄の妻:エレナ・デ・ラ・クルス・ガルシア、年齢:37歳
この家族構成は、カルメンの貴族の背景と純血のスペイン系の血統を反映しています。
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ルドラ:君はボリビアの貴族だったんだろ。住所はラ・パスだとしても領地は何処にあるんだい。

カルメン:ラ・パスの北東にあるユンガスというところよ。

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ラパスの北東から南への狭い地域はユンガス (西: Yungas) と呼ばれる生態系によって、高地のアルティプラーノ (Altiplano) や低地の熱帯ボリビアと区別される。豊富な降水量による霧と湿度で知られる雲霧林が広がる地域で、沸き立つような樹木に覆われた山肌と絶壁や滝を含むベニ川「アマゾン川の支流、マデイラ川源流」の流域で海抜600mから2,500mの間に位置している。ここにはボリビアで最も豊かな生態系が広がる。

この温暖なユンガス地方では、コカ、コーヒー、サトウキビ、バナナ、パパイヤ、lacayotes「カボチャの一種」、lúcumas「熱帯産フルーツの一種」、アマランサス、achupallas や bromelias「パイナップル科の植物で帽子 (西: Chupalla) の材料」、トウモロコシ等が台地や段々畑で栽培されている。
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ルドラ:ユンガスか。温暖で肥沃な場所だと聞いたことがある。コーヒー、サトウキビなど何でも豊富に採れるところだと聞いている。

カルメン:そうね。一番有名なのはコカの葉だけどね。

ルドラ:コカの葉は違法じゃないのか?

カルメン:ボリビアやペルーでは合法よ。高山病の予防や治療に役立つのよ。私もボリビアに行くときはコカの葉を噛んだり、数枚の葉っぱにお湯を注いで飲むのよ。

水に入れて水出しをしても良いわ。葉っぱをちぎるか、最初に少量のお湯で抽出してから、水を入れるのよ。

ルドラ:コカインは非合法だろ?

カルメン:コカの葉は知っているけどコカインのことは良く知らないわ。アルゼンチンに居るイギリス人の企業家が使用していると聞いたことはあるけど。

ルドラ:誰かがコカの葉からコカインを作って販売しているんだな。

カルメン:そうかもね。ねえ、貴方にお願いがあるの。

ルドラ:何だい?

カルメン:私は経済対策としてエンターテイメントをやろうと思うのだけどどうかしら?

ルドラ:うん。それは良いアイディアだと思う。

ルドラはカルメンにアイディアを提供した。

時代背景を考慮すると、エンターテイメント事業として次のようなものが考えられる。カルメンが次期ブエノス・アイレス副市長として経済開発を担当する立場から、これらのプロジェクトは市の魅力を高め、観光業を促進する効果も期待できる。

1️⃣美人コンテスト: この時代には美人コンテストが人気だった。地域の美しい女性たちをフィーチャーし、国際的な注目を集めるイベントを開催することは十分に可能である。

2️⃣映画祭: 1930年代は映画産業の黄金時代である。ブエノス・アイレス映画祭のようなイベントを開催することで、国際的な映画界との連携を強化し、観光を促進することが出来る。

3️⃣音楽フェスティバル: アルゼンチンはタンゴの発祥地として知られている。タンゴフェスティバルや他の音楽ジャンルのフェスティバルを開催することで、地域の文化を世界に紹介する絶好の機会となる。

4️⃣劇場と舞台芸術: 劇場のプロダクションやバレエ、オペラなどの舞台芸術の振興も考えられる。これらの芸術形式は、高級なエンターテイメントとして観光客に魅力的だろう。

5️⃣スポーツイベント: サッカーなどのスポーツイベントも観光と地域の経済に貢献する可能性がある。国際的な試合やトーナメントを開催することで、スポーツファンを引きつけることができる。

6️⃣博覧会と展示会: 産業や芸術、科学などの分野での博覧会や展示会を開催することも、市のイメージ向上と経済発展に寄与する。

7️⃣観光地の開発: 観光地の開発や既存の観光地の改善も、エンターテイメント事業の一部として考慮する価値がある。

カルメンの立場から、これらのプロジェクトは市の魅力を高め、経済的な利益をもたらす可能性がある。特に、地域の文化と連携したエンターテイメント事業は、ブエノス・アイレスの独自の魅力を世界に発信する強力な手段となるだろう。

カルメン:凄いわ。貴方は若いのに何でも出来るのね。私に手柄を譲ってくれるし、流石私の愛した男だけあるわ。

ルドラ:カルメンに褒められるとこそばゆい感じがするな。でも素直に嬉しいよ。

カルメン:お父さんたちに早速電話しておくわ。貴方と結婚したことをまだ伝えていないのよ。エミリオの葬儀が終わったばかりで再婚なんて言い辛いけど言わなくちゃいけないわね。子どもたちを学校に行かせなくちゃいけないわ。貴方、イザベラとフェルナンドを学校に送るように運転手に伝えて頂戴。

ルドラは新しく雇ったボディガード兼運転手を呼び、子どもたちを学校に送らせた。ルドラが新しく雇った運転手兼ボディガードの名前は「エドゥアルド・ガルシア」で、年齢は34歳です。

彼のメスティーソ「スペイン人の男性と先住民インディオ女性との混血」の背景は、アルゼンチンの多文化的な社会を反映しており、彼自身の個人的な経歴とスキルセットにも影響を与えています。

エドゥアルドは、運転技術だけでなく、セキュリティと保護の専門知識も持っており、ルドラとその家族の安全を確保する重要な役割を果たします。

カルメンが両親に電話している間、ルドラは2階の書斎で調べ物をしていました。エンタメの項目を1️⃣美人コンテスト、2️⃣映画祭、3️⃣音楽フェスティバルに絞ったので先ず美人コンテストについて過去の先例を調べていたのです。

今回はA.12歳以上15歳未満、B.15歳以上20歳未満、C.20歳以上30歳未満、D.30歳以上40歳未満、E.40歳以上の5クラスに分けて美人コンテストを実施することに決めました。応募出来るのはブエノス・アイレス市内に在住する女性に限ります。

カルメンが2階に上がって来ました。

カルメン:両親が貴方に挨拶したいそうよ。それと偶々訪れていた妹の旦那が貴方とお話がしたいと言っているわ。

ルドラは階下にある受話器を取り、ご両親の挨拶を受け、ルドラも丁重に挨拶をいたしました。

次にカルメンの妹ソフィア33歳が替わり、ルドラに初対面の挨拶をしてから自身の夫に替わりました。

ルドラが何のようだろうといぶかしながら受話器を取ると、

エドゥアルド・アルバレス:お兄さん。不躾な申し出で失礼いたします。私どもにお金を用立てていただけないでしょうか?

ルドラ:ルドラ金融㈱からお金を借りたいという申し出ならお断りします。身内同士で金銭の貸し借りはしない主義なのです。

エドゥアルド・アルバレス:言葉遣いを間違えました。私どもの事業に投資して頂きたいのです。

ルドラ:投資と言いますとどんな内容ですか。将来有望と判断すれば投資いたしますよ。

エドゥアルド・アルバレス:私どもはコカの葉栽培を行っております。販売も行ってはいるのですが、単価が安すぎるので儲けははかばかしくありません。

ルドラ:コーヒー豆の栽培に切り替えては如何ですか?

エドゥアルド・アルバレス:私どもにはコーヒーの栽培に関するノウハウがありません。実はコカの葉からコカインペーストを作り、ペーストからコカインを製造する工場を建設したいのです。

ルドラはしばらく思案した。

ルドラ:コカイン製造工場を建設したとしてコカインを販売するルートをお持ちですか?

エドゥアルド・アルバレス:欧米やアメリカにはありませんがコロンビアでいくらでも買うと言ってくれる男がいます。

ルドラ:そうですか。お金は投資しましょう。詳しいお話を伺いたいのでこちらに来て下さい。

エドゥアルド・アルバレス:有難うございます。家内とふたりで明日の夜にお伺いいたします。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

ルドラとカルメンの企画したエンターテイメントのプラン
1️⃣美人コンテスト: この時代には美人コンテストが人気だった。地域の美しい女性たちをフィーチャーし、国際的な注目を集めるイベントを開催することは十分に可能である。
2️⃣映画祭: 1930年代は映画産業の黄金時代である。ブエノス・アイレス映画祭のようなイベントを開催することで、国際的な映画界との連携を強化し、観光を促進することが出来る。
3️⃣音楽フェスティバル: アルゼンチンはタンゴの発祥地として知られている。タンゴフェスティバルや他の音楽ジャンルのフェスティバルを開催することで、地域の文化を世界に紹介する絶好の機会となる。