小説「海と陸の彼方へ」

 

第一章ブエノス・アイレスの輝き

 

第19話……ルドラ次期市長行政府の新組織を編成する

 

前書き

カタリナ・リベラ・サンドバル:ルドラちゃん、久しぶりね。今日はせめてブラジリアンワックスだけでもやって行ってね。ルドラはそれには返事せず今日の要件を述べた。ルドラ:カタリナさん。お願いがあるんです。ブエノス・アイレス市の教育・福祉局長を引き受けていただけませんか?カタリナ:聞くだけで頭が痛くなるような大役ね。どんなことをやれば良いの?ルドラ:保育園・幼稚園・小学校・中学校の建設、運営と老人介護・養護施設の建設・運営が主な仕事です。有能な部下を付けますからカタリナさんは道筋を付けてやれば良いのです。カタリナ:名誉な仕事だと思うけど、一つだけ条件があるわ。ルドラ:どんな条件ですか?カタリナ:たまには私の家に来てブラジリアンワックスをやって欲しいのよ。それだけ告げるとカタリナは無言で自分の寝室に入り、ルドラの訪れを待った。ルドラはカタリナが要求することは予測しており、ルドラ自身も欲していた。当然カバンの中に一式道具を揃えていた。

 

本文

******
登場人物「1935年1月1日時点」
主人公ルドラ15歳「24歳と偽っている」。手持ち現金550万アルゼンチン・ペソ。金塊127トン。ブエノス・アイレス司法府裁判検事。ルドラ映画産業㈱会長兼オーナー「資本金6千万アルゼンチン・ペソ」。ルドラ金融㈱会長兼CEO
******
部下
タリオ「勇敢な戦士」21歳。ルドラ缶詰工業㈱専務。ルシエンヌの兄。シワトルの夫。カリブ族の男。獰猛。格闘技の達人。
シワトル「花の女神」28歳。タリオの妻。元タバスコ領主の妻。聡明で美しく、性格は穏やかで優しい。
ルシエンヌ「明るい」19歳。ブエノス・アイレス司法府検察官「刑事事件の捜査や起訴を担当」。選挙対策委員長代理。
モンバナ「高い山」男2歳。ルドラとルシエンヌの間の子。
カノア「風」40歳。ルシエンヌの父親。
アマタ「永遠の」38歳。ルシエンヌの母親。
アドリアナ・グラノジェルス25歳。ルドラ金融㈱COO。元ルドラの愛人。カジェタノの元妻。
ヘロニモ・デ・アギラール30歳。スペイン人。元コルテスの部下
イシュトゥル 「Ixchel」19歳。アギラールの妻。
パカル 「Pakal」男5歳。アギラールの息子。
ゴンサーロ・ゲレーロ28歳。スペイン人。
イディア・ンジンガ17歳。ゲレーロの妻。酒好き。陽気なアマゾネス。時々姿をくらます。
******
その他の人々
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。悪魔のように可愛い女。高みに連れて行ってくれる男を求めて突進する。手段は選ばない。選挙対策委員長。
エルヴィラ・ドゥアルテ13歳。マリアの妹。
カタリナ・イルデフォンソ20歳。ルドラ金融㈱営業部長。
中田ボニファシオ38歳。日系人4世の男性。カフェ、レストラン&バーの経営者。
高梨アデルミラ32歳。日系人4世の女性。麻雀店、ビリヤード場の経営者。
レティオ・チュチョ33歳。メスチーソ。エステル・ラジオのプロデューサー。賭博好き。
カタリナ・リベラ・サンドバル34歳。アルベルト・ペレイラ・レボルコ「財閥の当主、政治家」の妻。社交界の華。芸術家支援、慈善活動を行っている。
カルロス・フルベック・オルトゥサル35歳。政治家であり外交官。若い妾を囲っており、妻のロサを顧みない。
ロサ・オルトゥサル30歳。カルロスの妻。アルゼンチンの貴族出身で社交界の名士。
エルナンデス夫妻「夫:フアン・エルナンデス46歳、妻:マリア・エルナンデス44歳」。ブエノス・アイレスの牧牛・牧羊業界の大物。エルナンデス牧場主。
マルティン・ペレス34歳。旧ルイス・ガルシア牧場経営者。元エルナンデス牧場の牧童頭。
パウラ・ペレス26歳。元マルティン・ペレスの妻。フアン・エルナンデスの愛人。
カルメン・ロドリゲス36歳。亡エミリオ・ロドリゲスの妻。
******
ルドラ邸スタッフ
執事頭:ジョン・スミス、年齢:45歳
侍女1:エマ・ジョンソン、年齢:32歳
侍女2:ソフィア・ウィリアムズ、年齢:27歳
侍女3:オリビア・ブラウン、年齢:29歳
下男1「庭師」:ジェームズ・ジョーンズ、年齢:44歳
下男2「運転手」:マイケル・ミラー、年齢:51歳
下男3「料理人」:ウィリアム・デイビス、年齢:38歳
******
大型ガレオン船1隻「2,000名乗り、改良野戦大砲500台搭載」小型ガレオン船10隻「100人乗り、改良野戦大砲30台搭載」、キャラック船50隻「500名乗り、改良野戦大砲50台搭載」、砲丸5万発、後込め式小銃10万丁、弾丸500万発。馬5,000頭。荷馬車500台。
傭兵部隊「シラジの女奴隷軍500名、元ベニン王国黒人女奴隷軍500名」
******

南アメリカ
帝国書院「地歴高等地図」P75,76

アンデス越え
帝国書院「新詳高等地図」P82

墓地でマリアたち姉妹と別れたルドラはエルナンデス牧場へ向かった。ルドラは墓地で起きた決闘騒ぎを知らなかった。

1935年2月3日の日曜日、午前11時半、エルナンデス牧場の母屋には異常な緊張感が漂っていました。ラジオ局や新聞社の記者たちが母屋の周囲を取り囲み、牧夫たちは必死になって彼らを母屋から遠ざけていました。その中で、牧場主の妻マリア・エルナンデスはルドラを見つけ、彼だけを母屋に入れました。

"ルドラ、大変なことが起きたのよ"とマリアは言いました。彼女の顔色は青ざめ、声は震えていました。"共同墓地で決闘事件が起き、カルロス・フルベック・オルトゥサルさんが全治6ヶ月の重傷を負い、エミリオ・ロドリゲスさんはお亡くなりになったのよ"

ルドラは驚きを隠せませんでした。"その二人が決闘したのですか?"と彼は尋ねました。

"いえ、そうじゃないわ。その二人がリサンドロ・デ・ラ・トーレさんに決闘を申し込み、返り討ちにあったというわけなのよ"とマリアは説明しました。

"二人がかりで一人に決闘を申し込み、逆にやられたのですか?正式な立会人はいたのですか?"とルドラはさらに詳しく尋ねました。

"そうよ。その二人が先に発砲し、どちらも当たらなかったけど、リサンドロ・デ・ラ・トーレさんが撃った弾は二発とも命中したそうよ"とマリアは答えました。

ルドラは深く考え込みました。"それじゃあ、過剰防衛にもならないですね。でもその事件が貴女に何の関係があるのですか?"と彼は尋ねました。

"食肉取引事件のことは知っているでしょう?"とマリアは尋ねました。"リサンドロ・デ・ラ・トーレさんが上院議会で告発したことは知っていますが、具体的な証拠はありませんよね"とルドラは答えました。

"でもマスコミが騒いでいるのよ。夫は病院だし、私に答えろと言うのよ"とマリアは苦しそうに言いました。

ルドラはマリアに代わってマスコミに応対しました。"その事件に関しては鋭意捜査したが、噂の範囲を得ず何の証拠も得られていない。先週末で捜査は打ち切った。以上です"と彼は冷静に答えました。

その後、ルドラはマリアにブエノス・アイレス市の交通「当時は鉄道」局長になることを提案しました。マリアは驚きつつも、ルドラの説明を聞き、自分なりに全力を注いでみることを約束しました。

そして、その日の昼食はマリアが作った飛び切りのアルゼンチン料理で、ルドラとマリアは新たな挑戦に向けてのエネルギーを補給しました。

マリアが作った飛び切りのアルゼンチン料理は、その地域の豊かな食材を活かした一品でした。まず、前菜としては「エンパナダ」が振る舞われました。これは、パイ生地で肉や野菜を包んで焼いたもので、アルゼンチンの伝統的な料理です。エンパナダは外側がサクサクとしていて中はジューシーで、一つ一つが手作りの愛情を感じさせました。

メインディッシュは「アサード」でした。これは、アルゼンチンの代表的なバーベキュー料理で、牛肉を塩だけで味付けし、長時間じっくりと焼き上げます。マリアが作ったアサードは、外側はパリッと焼き上がり、中は柔らかくジューシーで、肉の旨味が口いっぱいに広がりました。

サイドには「チミチュリソース」が添えられていました。これは、パセリやオレガノ、ニンニク、酢、チリなどを混ぜたソースで、肉料理によく合います。スパイシーで酸味のあるこのソースが、アサードの味を一層引き立てていました。

デザートには「ドゥルセ・デ・レチェ」を使った料理が出されました。ドゥルセ・デ・レチェは、練乳を長時間煮詰めて作るアルゼンチンの伝統的な甘味で、クリーミーでリッチな甘さが特徴です。これを使ったパンケーキやプリンは、食事の締めくくりにぴったりの一品でした。

このように、マリアが作った飛び切りのアルゼンチン料理は、地元の食材と伝統的な調理法を活かした、シンプルだけど深い味わいの料理でした。それぞれの料理が、アルゼンチンの大地の恵みとマリアの手間ひまを感じさせ、食事を通じてアルゼンチンの文化を体験することができました。

マリアの作った昼食を美味しく頂いたルドラは引き止めるマリアを振り切って次の場所に向かった。

☆その日の午後2時:アルベルト・ペレイラ・レボルコ邸
お屋敷の奥様であるカタリナ・リベラ・サンドバル34歳が満面の笑みをたたえながらルドラを出迎えた。

カタリナ・リベラ・サンドバル:ルドラちゃん、久しぶりね。今日はせめてブラジリアンワックスだけでもやって行ってね。

ルドラはそれには返事せず今日の要件を述べた。

ルドラ:カタリナさん。お願いがあるんです。ブエノス・アイレス市の教育・福祉局長を引き受けていただけませんか?

カタリナ:聞くだけで頭が痛くなるような大役ね。どんなことをやれば良いの?

ルドラ:保育園・幼稚園・小学校・中学校の建設、運営と老人介護・養護施設の建設・運営が主な仕事です。有能な部下を付けますからカタリナさんは道筋を付けてやれば良いのです。

カタリナ:名誉な仕事だと思うけど、一つだけ条件があるわ。

ルドラ:どんな条件ですか?

カタリナ:たまには私の家に来てブラジリアンワックスをやって欲しいのよ。

それだけ告げるとカタリナは無言で自分の寝室に入り、ルドラの訪れを待った。ルドラはカタリナが要求することは予測しており、ルドラ自身も欲していた。当然カバンの中に一式道具を揃えていた。

ルドラがカタリナの部屋に入ると、カタリナはすでにベッドに横たわっていた。彼女の肌は恥ずかしさで紅潮し、その剛毛が露わになっていた。ルドラはまず、シャボンを手に取り、カタリナの脇と局部に丁寧に塗り始めた。その泡立つ感触に、カタリナは思わず身を震わせた。

ルドラはワックスを温めてからシャボンで剛毛を柔らかくし、その後、カミソリを取り出し、カタリナの剛毛をゆっくりと剃り落とし始めた。作業をしながら、指と舌でカタリナの全身をうなじから首筋、背中、脇腹、両乳房そうして最後に秘部とゆっくりしかも優しく愛撫した。

秘部へのとりわけお核(さね)への愛撫は上下の動き、円を描く、左右の動き、リズミカルな振動、トントンとタップするなどを繰り返すとカタリナはこらえきれずに途中で何度も何度も激しく痙攣し、絶頂を繰り返した。

カミソリで剃り終えると、ルドラはカタリナが耳たぶ、背中、脇腹、両乳房と脇の付け根への愛撫に弱いことを知っており、両乳房をやわやわと揉みながらカタリナの耳を舐めしゃぶり愛を囁いた。

いよいよルドラはワックスを手に取り、カタリナの肌にゆっくりと塗り始めた。その感触にカタリナは思わず息を呑んだが、ルドラの手は確かで、彼の動きは優雅であった。ワックスが肌に塗られると、カタリナはその熱さに驚いた。しかし、その驚きもすぐに消え、代わりに心地よい温かさが広がった。ルドラはワックスを肌に塗り終えると、ワックス脱毛専用の不織布をその上にあて、しっかりと押し付けた。

そして、ルドラは一息ついてから、不織布を一気に引きはがした。その瞬間、カタリナは思わず息を呑んだ。しかし、その痛みもすぐに消え、代わりにスッキリ感が広がった。

ルドラは、カタリナの肌に残ったワックスを丁寧に取り除き、鎮痛効果のあるローションを塗った。また秘部には潤滑ゼリーを塗り、その後の行為がスムーズに運ぶように配慮した。ルドラはカタリナの先程からの敏感すぎるほどの反応とツルツルした肌の触感に性的な興奮を覚えていた。ふたりの行為については詳述しないが、ブラジリアンワックスを媒介としたセックスがふたりを十二分に満足させたことは付け加えるまでもない。

カタリナ邸を出たルドラは決闘事件で撃たれたカルロス・フルベック・オルトゥサルとエミリオ・ロドリゲスのうち、死亡したエミリオ・ロドリゲスの方を優先して訪れた。カルメンとイザベラの様子が心配でもあり、事後処理を適切に出来るかどうか心配だったのもある。エミリオの遺体はまだ病院にあるのだろうか?警察への届けや葬式の手配は出来たのだろうか?

******
葬儀から墓地への埋葬までの段取り
1️⃣死亡診断書の取得: 死亡が確認されたら、まず医師に死亡診断書を発行してもらいます。この診断書は、死亡の事実を公的に証明するために必要です。

2️⃣警察への届け出: 事故や犯罪による死亡の場合は、警察に届け出る必要があります。警察は死因を調査し、必要に応じて司法解剖を行います。

3️⃣行政機関への届け出: 死亡診断書をもとに、市区町村の役場や出生死亡登録を行う機関に死亡を届け出ます。この届け出により、死亡が公的に登録されます。

4️⃣葬儀社との打ち合わせ: 葬儀社を選び、葬儀の日時や形式、費用などについて打ち合わせます。火葬を希望する場合は、火葬場の予約も行います。

5️⃣遺体の搬送: 病院や自宅などから葬儀場所へ遺体を搬送します。この際、遺体の安置や冷蔵などの手配も行います。

6️⃣葬儀・告別式の開催: 葬儀や告別式を開催します。参列者には事前に通知を行い、弔問や供花を受け付けます。

7️⃣火葬・埋葬: 葬儀が終わった後、遺体を火葬場へ搬送し火葬します。火葬後の遺骨は骨壺に納め、墓地に埋葬します。

8️⃣葬儀後の手続き: 葬儀後は、遺産の分割や相続、保険の手続きなどを行います。
******

午後5時にエミリオ・ロドリゲス邸を訪れたルドラは家族がまだ病院に居ると聞き、救急病院へ駆けつけた。案の定、カルメンもイザベラも茫然自失としており、手配は一切していなかった。ルドラは息子のフェルナンド20歳に"医師に死亡診断書を発行してもらい、警察と行政に死亡届を出す"よう指示し、自身は火葬場と葬式の手配をした。

ルドラ:カルメンさん、霊柩車が来たら病院から遺体を引き取って下さい。お葬式は明日の10時からここで行いますから、お呼びになる人の名簿を作って下さい。カルメンは泣き伏してどうにもならなかったので娘のイザベラに名簿を作らせた。

ルドラは検察庁と市警に居る部下達を動員し、イザベラの作った名簿に従って「エミリオ・ロドリゲスの葬儀を明日午前10時からエミリオ・ロドリゲス邸にて執り行う」旨連絡させた。

すべての処理が終わりエミリオ・ロドリゲス邸に着いた時には午後8時になっていた。ルドラたち4人は空腹を覚え、出前を取ることにした。出前をやっている店は中華料理しかなかったので中華料理のコースを4人前頼むことにした。中華と言っても色々あるが、どうも広東料理のようである。福建や広東から来た移民が殆どだったのである。

1935年2月3日、日曜日の午後8時半。エミリオ・ロドリゲス邸のリビングルームは静寂に包まれていた。その静寂を破るように、出前の到着を告げるドアベルの音が響いた。ルドラがドアを開けると、中華料理店の配達員が大きなバッグを抱えて立っていた。彼はテーブルに料理を並べ、領収書を渡して去っていった。

広東料理のコースは、色とりどりの料理でテーブルを埋め尽くした。まずは、豚肉、キャベツ、シイタケ、ニラが詰まったワータップ(焼き餃子)が登場。次に、その特徴的な赤茶色の皮が美しい広東風ローストダックが運ばれてきた。その後、シンプルながらも美味しい蒸し魚が続いた。そして、その鮮やかなオレンジ色とスパイシーな風味が特徴の塩と胡椒のエビがテーブルに並べられた。

次に、甘くて風味豊かなチャーシュー(叉焼)が運ばれてきた。その後、パイナップルが加えられた甘酢豚が続いた。そして、クリーミーなコーンスープが登場し、その後には、ミンチ肉、豆腐、枝豆が入った香港風のジャージャー麺が続いた。

その後、エレガントな甲殻類に豊富な風味を加えるために、豚肉と香味野菜が加えられた広東風ロブスターが運ばれてきた。その後、にんにく、生姜、玉ねぎを使った牛肉とピーマンの黒豆ソース炒めが続いた。そして、豚肉と白菜の詰め物が入った広東風鍋焼き餃子がテーブルに並べられた。

最後に、ボタンマッシュルームをベースにしたムー・グー・ガイ・パン(鶏肉とキノコの広東風メイン)が登場した。全ての料理がテーブルに並べられると、その豊富な色彩と香りが部屋中に広がった。それぞれの料理は、広東料理の特徴である蒸し、炒め、ローストといった調理法で作られており、その美味しさと繊細さを引き立てていた。

この日は、エミリオ・ロドリゲスの死という悲劇的な出来事により、彼らの心は重く、食事の時間も静かであった。しかし、それぞれの料理を一つ一つ味わうことで、少しずつ彼らの心に温かさが戻ってきた。美味しい食事が、彼らに少しの安らぎと力を与えてくれたのである。

☆食後のルドラとカルメン
美味しい広東料理をたらふく食べて生気を取り戻したカルメンは矢継ぎ早にルドラにある要求をした。

カルメン:あんなに元気だったエミリオが亡くなるなんて私には信じられないわ。私はエミリオを撃ったリサンドロ・デ・ラ・トーレを許さない。必ず復讐してやるわ。正式に決闘を申し込むつもりよ。

ルドラ:君の気持ちは良く分かるがそれには賛同できない。

カルメン:どうしてなの?

ルドラ:君が負けるからだ。リサンドロ・デ・ラ・トーレは腕が立つ。僕は君を失いたくない。

カルメン:私を失いたくないのはどうしてなの?

ルドラ:君を愛しているからだ。

カルメン:何回も言ってくれるのね。嬉しいけどそれなら私も条件を出すわ。貴方が私と結婚してくれるなら復讐を諦めるわ。

ルドラ:結婚はしても良い。僕も条件を出す。

カルメン:言ってご覧なさい。

ルドラ:一つは僕の女性関係に口を出すな。もう一つはブエノス・アイレス市の経済開発担当副市長を引き受けてくれ。

カルメン:女性局長じゃなかったの?

ルドラ:君には僕の片腕になって欲しい。実質的にはブエノス・アイレス市のNO.2というわけだ。

カルメンは思いがけない大役を打診され、内心大喜びしたが、もう一つの条件「女性関係には口を出すな」と言う条件が引っ掛かった。

カルメン:女性関係には口を出すなと言うけど私が断ったらどうするつもりなの?

ルドラ:結婚する話も副市長の話も取りやめ、君には女性局長に就任してもらう。

カルメンは少し考え、忌々しいが条件を飲むことにした。結婚してしまえばルドラも浮気をやめるだろうと思ったのだ。

これは大きな間違いだったが、条件を飲んでしまったものはひっくり返せない。法律に詳しいルドラは結婚誓約書にも「カルメンはルドラの女性関係には口を出さない」という項目を入れていた。

ルドラは結婚誓約書にサインさせて自宅に帰って行った。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

広東料理のコースは、色とりどりの料理でテーブルを埋め尽くした。まずは、豚肉、キャベツ、シイタケ、ニラが詰まったワータップ(焼き餃子)が登場。次に、その特徴的な赤茶色の皮が美しい広東風ローストダックが運ばれてきた。その後、シンプルながらも美味しい蒸し魚が続いた。そして、その鮮やかなオレンジ色とスパイシーな風味が特徴の塩と胡椒のエビがテーブルに並べられた。次に、甘くて風味豊かなチャーシュー(叉焼)が運ばれてきた。その後、パイナップルが加えられた甘酢豚が続いた。そして、クリーミーなコーンスープが登場し、その後には、ミンチ肉、豆腐、枝豆が入った香港風のジャージャー麺が続いた。その後、エレガントな甲殻類に豊富な風味を加えるために、豚肉と香味野菜が加えられた広東風ロブスターが運ばれてきた。その後、にんにく、生姜、玉ねぎを使った牛肉とピーマンの黒豆ソース炒めが続いた。そして、豚肉と白菜の詰め物が入った広東風鍋焼き餃子がテーブルに並べられた。