小説「海と陸の彼方へ」

 

第一章ブエノス・アイレスの輝き

 

第15話……単純賭博とイカサマ賭博の裁判

 

前書き

ルドラはルイス・ガルシア、ペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスの3名を「賭博罪」及びペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスの2名を「詐欺罪」で起訴することにした。裁判で勝利するためには彼ら3人の供述だけでは足りない。物的証拠があれば一番良いがそれは望めないので証人を探して証言させることにした。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」
主人公ルドラ15歳「24歳と偽っている」。手持ち現金550万アルゼンチン・ペソ。金塊127トン。ブエノス・アイレス司法府裁判検事。ルドラ映画産業㈱会長兼オーナー「資本金6千万アルゼンチン・ペソ」。ルドラ金融㈱会長兼CEO
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部下
タリオ「勇敢な戦士」21歳。ルドラ缶詰工業㈱専務。ルシエンヌの兄。シワトルの夫。カリブ族の男。獰猛。格闘技の達人。
シワトル「花の女神」28歳。タリオの妻。元タバスコ領主の妻。聡明で美しく、性格は穏やかで優しい。
ルシエンヌ「明るい」19歳。ブエノス・アイレス司法府検察官「刑事事件の捜査や起訴を担当」。選挙対策委員長代理。
モンバナ「高い山」男2歳。ルドラとルシエンヌの間の子。
カノア「風」40歳。ルシエンヌの父親。
アマタ「永遠の」38歳。ルシエンヌの母親。
アドリアナ・グラノジェルス25歳。ルドラ金融㈱COO。元ルドラの愛人。カジェタノの元妻。
ヘロニモ・デ・アギラール30歳。スペイン人。元コルテスの部下
イシュトゥル 「Ixchel」19歳。アギラールの妻。
パカル 「Pakal」男5歳。アギラールの息子。
ゴンサーロ・ゲレーロ28歳。スペイン人。
イディア・ンジンガ17歳。ゲレーロの妻。酒好き。陽気なアマゾネス。時々姿をくらます。
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その他の人々
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。悪魔のように可愛い女。高みに連れて行ってくれる男を求めて突進する。手段は選ばない。選挙対策委員長。
エルヴィラ・ドゥアルテ13歳。マリアの妹。
カタリナ・イルデフォンソ20歳。ルドラ金融㈱営業部長。
中田ボニファシオ38歳。日系人4世の男性。カフェ、レストラン&バーの経営者。
高梨アデルミラ32歳。日系人4世の女性。麻雀店、ビリヤード場の経営者。
レティオ・チュチョ33歳。メスチーソ。エステル・ラジオのプロデューサー。賭博好き。
カタリナ・リベラ・サンドバル34歳。アルベルト・ペレイラ・レボルコ「財閥の当主、政治家」の妻。社交界の華。芸術家支援、慈善活動を行っている。
カルロス・フルベック・オルトゥサル35歳。政治家であり外交官。若い妾を囲っており、妻のロサを顧みない。
ロサ・オルトゥサル30歳。カルロスの妻。アルゼンチンの貴族出身で社交界の名士。
エルナンデス夫妻「夫:フアン・エルナンデス46歳、妻:マリア・エルナンデス44歳」。ブエノス・アイレスの牧牛・牧羊業界の大物。エルナンデス牧場主。
マルティン・ペレス34歳。エルナンデス牧場の牧童頭。
パウラ・ペレス26歳。マルティン・ペレスの妻。フアン・エルナンデスとの不倫の関係に悩んでいる。
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ルドラ邸スタッフ
執事頭:ジョン・スミス、年齢:45歳
侍女1:エマ・ジョンソン、年齢:32歳
侍女2:ソフィア・ウィリアムズ、年齢:27歳
侍女3:オリビア・ブラウン、年齢:29歳
下男1「庭師」:ジェームズ・ジョーンズ、年齢:44歳
下男2「運転手」:マイケル・ミラー、年齢:51歳
下男3「料理人」:ウィリアム・デイビス、年齢:38歳
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大型ガレオン船1隻「2,000名乗り、改良野戦大砲500台搭載」小型ガレオン船10隻「100人乗り、改良野戦大砲30台搭載」、キャラック船50隻「500名乗り、改良野戦大砲50台搭載」、砲丸5万発、後込め式小銃10万丁、弾丸500万発。馬5,000頭。荷馬車500台。
傭兵部隊「シラジの女奴隷軍500名、元ベニン王国黒人女奴隷軍500名」
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南アメリカ
帝国書院「地歴高等地図」P75,76

アンデス越え
帝国書院「新詳高等地図」P82

1935年1月26日土曜日、午前10時:ブエノス・アイレス検察庁
ソフィアを連れて検察庁に入ってきたルドラはルシエンヌにルイス・ガルシア、ペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスの3名を「賭博罪」及びペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスの2名を「詐欺罪」で起訴させた。

ソフィアにはペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスの2名を民事で訴えさせた。イカサマ賭博による金銭授受の無効を争い、損害賠償を求める訴えである。

ソフィア:夫のガルシアはどの程度の刑期になるのでしょうか?

ルシエンヌ:単純賭博ですから禁固3ヶ月くらいでしょう。

ソフィア:それなら、離婚訴訟も行いたいのですが助けていただけないでしょうか?

ルシエンヌ:家庭裁判所に行き、自ら手続きしなくてはなりません。

ソフィア:分かりました。今から行って参ります。

ルドラ:裁判が終わるまではペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスに金を払うべきじゃない。家庭裁判所は何時でも行ける。実家と学校に電話してご両親と子供さんたちを俺の屋敷に連れてきなさい。匿ってあげるから。

ソフィア:私も置いてくれますよね。

ルドラ:貴女も当然匿うが、ずっとじゃないぞ。裁判が終わってペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスのふたりが刑務所に収監されるまでの間だけだぞ。

ソフィア:貴方と私にはすでに肉体関係があるのよ。ずっと置いて貰う権利があるわ。

ルドラ:馬鹿なことを言うな。俺が寝た女なんか星の数ほど居るぞ。このルシエンヌも愛人のひとりだったんだ。無理なことを言っても駄目だ。早く電話しろ。

ソフィアはやむを得ず、実家の両親と学校にいる子どもたちに連絡してルドラ邸に行くよう伝えた。

ルドラは運転手のマイケル・ミラーにボカ地区にあるソフィアのご両親の家と子どもたちの学校へ行き、ご両親と子どもたちをルドラ邸に連れてくるよう命令した。

ソフィアは家庭裁判所へ行き、ルシエンヌはブエノス・アイレス行政府の裁判所に出掛けた。

ルドラは高梨アデルミラに会うために再建なったブエノス・アイレス駅前の日系人カフェ「チノ・エル・ビエホ」に出掛けた。

1935年1月26日土曜日、昼12時:チノ・エル・ビエホ
中田ボニファシオと高梨アデルミラが同時に挨拶してきた。

"ルドラさん。こんにちは。今日は握り寿司をご馳走しますよ"

ルドラ:日本から冷蔵船でネタが届いたのか?

高梨アデルミラ:流石に遠すぎて生鮮食品は無理ですよ。近海で取れた魚を使っています。一度食べてみて下さい。

ルドラ:うん。何と言う魚か知らないけど美味しいな。これなら結構流行るだろう。

中田ボニファシオ:麻雀店とかビリヤードの店でも流行っていますよ。

ルドラ:そうだろうな。ところで、麻雀店やビリヤードの景気はどうだい?

高梨アデルミラ:麻雀店は相変わらず閑古鳥が鳴いているけど、ビリヤードの方は連日満員ね。ナインボールが流行っていてね。例のイカサマ賭博のふたりも毎晩のように現れて鴨を探しているわ。

ルドラ:そうか。そのふたりはビリヤードも上手いのか?

高梨アデルミラ:どちらも上手だけど、マヌエル・ペレスの方が上手いわね。プロ並みよ。

高梨アデルミラ:ああ、そう言えばアドリアナ・グラノジェルス25歳って子が居るでしょう?

ルドラ:アドリアナがどうした?

高梨アデルミラ:あの子が時々遊びに来るんだけど、あの子は麻雀だけじゃなくビリヤードも素質があるのよ。私が2,3回教えただけでもう私より上手くなったのよ。今じゃマヌエル・ペレスより上手いかもね。

ルドラの目がキラリと光った。

ルドラは高梨アデルミラに確認した。

ルドラ:高梨さんはあの3人の賭博現場を見たと言っていたよな。裁判所で証言してくれるか?

高梨アデルミラ:もちろん良いわよ。他ならぬルドラちゃんの頼みだもの。私だけでなく他にも証人を作っておいたほうが良いわよ。闘牛士のエミリオ・ゴメス24歳と連中がつるんでいるのよ。彼の住所とかは闘牛士協会で調べれば分かるわ。

ルドラは闘牛士協会に電話を掛け、闘牛士のエミリオ・ゴメス24歳の住所と電話番号を聞いた。

ルドラはルドラ金融にも電話を掛け、アドリアナをここまで呼び出した。

アドリアナ:会長。私をここまで呼び出して何の用ですか?もう振り回さないで下さいね。

ルドラ:お前に良い金儲けを教えてやろうと思ってな。資金は俺が出してやるから、ビリヤード賭博をやらないか?

アドリアナ:やっても良いけど。勝ったら半分貰うし、負けても一銭も出さないわよ。

ルドラ:ちゃっかりしてるな。もちろん。それで良いよ。

ルドラはアドリアナに額面1,000万アルゼンチンドルの小切手を切った。

アドリアナ:誰とやれば良いの?

高梨アデルミラ:私が教えてあげるわ。ここでにぎり寿司を食べて英気を養って待っていなさい。鴨がネギを背負ってやってくるまでね。

ルドラは中田と高梨に挨拶して出て行った。

☆闘牛士エミリオ・ゴメス24歳の家:午後3時
ルドラは検察官と捜査員3名の合計5名で踏み込み、エミリオ・ゴメスをイカサマ賭博補助の罪で拘束し、すべて白状させた。裁判所で証言させるため司法取引を行い、賄賂の授受とイカサマ賭博補助の罪を不起訴とした。

1935年1月26日、土曜日の午後6時。ブエノス・アイレスの一角にある豪華な邸宅「ルドラ邸」に、大企業家であり裁判検事でもあるルドラが到着した。彼の年齢は24歳と若く、しかしすでにその名は市内に轟いていた。

門をくぐると、邸宅のスタッフが一列に並んで主人の到着を待っていた。執事頭のジョン・スミス、年齢45歳。侍女たちはエマ・ジョンソン32歳、ソフィア・ウィリアムズ27歳、オリビア・ブラウン29歳。そして、庭師のジェームズ・ジョーンズ44歳、運転手のマイケル・ミラー51歳、料理人のウィリアム・デイビス38歳。彼らは皆、ルドラの到着を静かに待ち構えていた。

ルドラが屋敷に足を踏み入れると、彼らは一斉に頭を下げて敬意を表した。その後、彼らは各自の職務に戻り、夕食の準備を整え始めた。

食堂にはすでに客人が座っていた。ソフィア・ガルシア36歳、彼女の娘アナ・ガルシア20歳、息子カルロス・ガルシア14歳。そして、ソフィアの両親、エミリオ・フェルナンデス64歳とマリア・フェルナンデス62歳。アナの同級生「音楽学校」イザベラ・ロドリゲス20歳。彼らは静かに会話を楽しみながら、ルドラの到着を待っていた。

この日の夕食は、ルドラの家族との時間を大切にするためのものだった。それぞれの顔には、期待と興奮が浮かんでいた。

ウィリアム・デイビス料理人は、アルゼンチンの富裕層の家庭料理に相応しい豪華な献立を用意していた。前菜としては、新鮮な海産物を使った「マリスコス・ア・ラ・パリジェンヌ」、そしてアルゼンチンの伝統的な「エンパナダ」が振る舞われた。メインディッシュは、アルゼンチン産の最高品質の牛肉を使った「アサード」で、それには地元産の新鮮な野菜とワインソースが添えられていた。デザートには、アルゼンチンの伝統的な「ドゥルセ・デ・レチェ」を使ったクレープと、フレッシュフルーツの盛り合わせが供された。

食堂には、料理の香りと共に笑い声と会話が満ちていた。ルドラは、ソフィアの家族と楽しく語り合い、アナとカルロスの学校の話やエミリオとマリアの旅行の話を聞いていた。彼らの会話は、家族の絆を深め、一層の親近感を生み出していた。

食事が進むにつれて、ルドラは自身の仕事や最近の出来事について語り始めた。彼の話は、ソフィアの家族とアナの同級生「音楽学校」イザベラ・ロドリゲスを引きつけ、彼らは彼の話に興味津々で耳を傾けていた。この夜は、美味しい料理と楽しい会話で満たされ、ルドラ邸の食堂は暖かな雰囲気に包まれていた。

夕食の後、アナの同級生イザベラ・ロドリゲスを彼女の家まで送って行った。この時点ではイザベラがあのロドリゲス夫妻の娘だとは知らなかった。

イザベラはルドラの話に大変興味を持ち、ブエノス・アイレス駅前の日系人カフェ「チノ・エル・ビエホ」に行きたがった。麻雀とかビリヤードの話が面白かったようだ。特にビリヤードの天才アドリアナ・グラノジェルス25歳が今晩イカサマ師たちと勝負する話を聞きたがった。

イザベラ:ルドラさんがアドリアナさんに1,000万アルゼンチンドルを資金として渡したんでしょう?負けたらどうするの?

ルドラ:負けはしないだろうが、負けたら負けたときのことだ。その程度のお金はくれてやるよ。

イザベラ:5,000万アルゼンチンドル勝ったときはどうするの?

ルドラ:俺とアドリアナが山分けするんだよ。

イザベラ:それじゃあ、アドリアナさんは絶対に損することはないのよね。

ルドラ:まあ、そうだけど。俺の代わりを務めてくれるのだから役得だよ。

イザベラ:ルドラさんは気前が良いのね。私、そういう人が大好きよ。

イザベラはルドラに抱きつき、キスをしてきました。ルドラもこれに応えて長い長いキスを返しました。家に近づいたので、イザベラが降ろして下さいと言い、ルドラは路肩で停車し、彼女と熱い抱擁とキスをしてから別れました。


☆アドリアナからの電話
アドリアナ:ルドラさん。勝つには勝ったけど彼らは現金が5,000万アルゼンチンドルしかなかったのよ。残りの5,000万アルゼンチンドルは彼らの屋敷と郊外の農地を没収したわ。

ルドラ:お前は現金の方が良いだろう。俺に土地・建物の権利書を寄越せ。

アドリアナ:了解よ。お預かりした1,000万アルゼンチンドルと土地・建物の権利書は今から持って行くわ。

アドリアナはその日のうちに持ってきて泊まって帰った。

さて翌々日の月曜日。裁判が始まりました。概要は次の通りです。

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刑事裁判
日時:1935年1月28日、月曜日の午前10時。
場所:ブエノス・アイレス市地方裁判所
案件:賭博罪
裁判長:エドゥアルド・ロドリゲス判事
検事:ルドラ24歳。ブエノス・アイレス司法府裁判検事。
弁護人:カルロス・フェルナンデス45歳、ブエノス・アイレス市弁護士会所属。
被告:ルイス・ガルシア43歳、ペドロ・ロペス38歳、マヌエル・ペレス34歳

民事裁判
案件:イカサマ賭博による詐欺
裁判長:エドゥアルド・ロドリゲス判事
検事:ルドラ24歳。ブエノス・アイレス司法府裁判検事。
弁護人:カルロス・フェルナンデス45歳、ブエノス・アイレス市弁護士会所属。
原告:ルイス・ガルシア43歳
被告:ペドロ・ロペス38歳、マヌエル・ペレス34歳
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裁判長エドゥアルド・ロドリゲス判事が裁判を開始します。

裁判長:本日は1935年1月28日、ブエノス・アイレス市地方裁判所にて、賭博罪についての刑事裁判を開催します。被告人ルイス・ガルシア、ペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスは、1月17日、18日、19日の午後1時から午後5時の間にブエノス・アイレス公営闘牛場で賭博を行ったとの供述調書があります。これについて、被告人たちはどう説明しますか?

被告人たちはそれぞれ自身の弁護人を通じて、供述調書の内容を認めます。

裁判長:それでは、検事のルドラさん、開始してください。

検事ルドラは、供述調書の内容を詳細に説明し、被告人たちが賭博を行った証拠を提示します。

裁判長:弁護人のカルロス・フェルナンデスさん、どういたしますか?

弁護人カルロス・フェルナンデスは、被告人たちの行動が賭博罪に該当するかどうかについて議論を展開します。

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検事ルドラ:証人として、高梨アデルミラさんを呼びます。

高梨アデルミラさんが証人席に立ちます。

検事ルドラ:高梨さん、あなたは被告人たちが賭博行為を行っている現場を目撃しましたか?

高梨アデルミラ:はい、そうです。私は彼らが賭博を行っているのを見ました。

検事ルドラ:具体的に何を見ましたか?

高梨アデルミラ:ペドロ・ロペスさんとマヌエル・ペレスさんが、ルイス・ガルシアさんから1,500万アルゼンチンドルを受け取るのを見ました。それはいわゆるノミ行為でした。

検事ルドラ:ありがとうございます。以上です。

裁判長エドゥアルド・ロドリゲス判事:弁護人のカルロス・フェルナンデスさん、質問はありますか?

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カルロス・フェルナンデス:高梨アデルミラさん、そのお金はどういう行為に対して授受されたものですか?

高梨アデルミラ:1月19日午後4時から始まる闘牛と闘牛士の戦いに対して、闘牛の勝利に賭けたものです。前日闘牛士は腹下しをしており、体調が万全でなかったため、闘牛士:闘牛のオッズが1対1になったのです。通常は闘牛士:闘牛のオッズは100:1程度です。ペドロ・ロペスさんとマヌエル・ペレスさんが必ず闘牛が勝つから闘牛に賭けろといってルイス・ガルシアさんに大金15,00万アルゼンチンドルを賭けさせたのです。

カルロス・フェルナンデスは反論できませんでした。イカサマはともかく賭博罪を否定することは出来ませんでした。

裁判長エドゥアルド・ロドリゲス判事:それでは、この裁判を結審します。被告人ルイス・ガルシア、ペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスは、賭博罪により、それぞれ禁固3ヶ月の判決を言い渡します。

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検事ルドラ:次に証人として、闘牛士のエミリオ・ゴメスさんを呼びます。

エミリオ・ゴメスさんが証人席に立ちます。

検事ルドラ:ゴメスさん、あなたは試合の前日にペドロ・ロペスさんとマヌエル・ペレスさんから下剤を飲むよう頼まれましたか?

エミリオ・ゴメス:はい、そうです。報酬を100万アルゼンチンドル貰ったので断ることは出来ませんでした。

検事ルドラ:そして、試合中に牛が倒れたため、あなたが勝利することが出来ました。これは、彼らが闘牛にも試合直前に毒を飲ませたからですよね?

エミリオ・ゴメス:はい、その通りです。

ペドロ・ロペスとマヌエル・ペレスのふたりは詐欺を認めざるを得ませんでした。弁護人も反論できず、イカサマによる借金は無効になりました。

裁判長エドゥアルド・ロドリゲス判事:それでは、この裁判を結審します。被告人ペドロ・ロペスとマヌエル・ペレスは、詐欺罪により、それぞれ禁固5年の判決を追加で言い渡します。

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今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

高梨アデルミラに証人になってもらうことに成功したルドラは思いがけない事実を彼女から聞く。ルドラ金融㈱COOを任せているアドリアナ・グラノジェルス25歳が麻雀の天才だということはルドラも彼女に何回挑んでも勝てなかったので良く知っていたが、彼女はビリヤードでも天性の才能があるという。ペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスもプロ顔負けの腕前だそうだが、高梨アデルミラの診立てではアドリアナにはとても敵わないだろうという。ルドラは高梨アデルミラの言葉を信じて一計を案じた。ペドロ・ロペス、マヌエル・ペレスのふたりにアドリアナをぶつけてやろうと考えたのだ。