小説「海と陸の彼方へ

 

第五章大渡河に掛かる橋

 

第24話南充の石油王「旧清朝王族」一家との接触③

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。
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兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。マフィアのボス:エドゥアルドの最愛の妻セリーナ・マッキンノン(27歳)を奪ったことで、アメリカを追われ、中国に逃れる。弟アンヘルの計画「中国共産党最高指導者毛沢東暗殺」に成功し、国民党政府主席蒋介石から、巴蜀・雲南の軍政長官に任命される。ルイスをアメリカら放逐したボスのエドゥアルドも自らの第一夫人クラウディア・コステロ(42歳)「前ボス:コステロの元妻」の不興を買い、香港に逃亡中。 
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ルイスの資金

190億両の為替。銀錠20億両。一般会計10億両と特別会計10億両に分けてある。一般会計の方は506万5千両支出した。特別会計10億両のうちこれまでに26,779,200両支出した。前話の支出は以下の通りである。

鉄鉱山:工具見積もり

鉄鉱山:鉱夫等人員見積もり

 

合計:564,050両

 

これまでの特別会計支出26,779,200両と合わせると、27,343,250両である。

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ルイスの部下
1.周恩来ジョウ・エンライ、37歳、江蘇省出身:
・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。
・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。
・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。
・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。

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ルイスの3人の妻「ムスリム教徒」

ナディア・アミール・アル・サン(42歳)。ルイスの第一夫人「政治担当」。元宋慶齢ソン・チンリン。上海出身。
・自立心が強く、決断力がある女性。
・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。
・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。
サリマ・ファイサル・アル・ハウ(25歳)。ルイスの第二夫人「会計担当」。元賀子珍ホ・ズージェン。江西省出身。
・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。
・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。
・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。
王光美ワン・グアンメイ(14歳)。ルイスの第三夫人「軍隊担当」。山東省出身。
・年の割には成熟しており、好奇心が強い。
・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。
・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。

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マフィアの組織図「パブリックドメイン」


紅軍の長征

中国全土

山川出版社「地域の世界史9……市場の世界史」P171

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P10

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P11

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P49

 

1935年6月17日、月曜日午後3時。ルイスは四川省南充石油王、劉鵬飛リウ・ペンフェイ(40歳)の邸宅を出て、建設中のショッピングモールにやってきた。重慶の不動産屋で土地・建物を購入した際、ショッピングモールを重慶に一つ、川中南充に一つ建設する計画を立てていたのである。建物も完成していないが、元糸屋があった店舗付きの住宅に取り敢えず住むことにしていた。

売る品物はアメリカから持ち込んだ衣装しかないが、安くして売ってやろうと考えている。父親のヘクターから昨晩電話があり、"今、瀘州にいる。入れ違いになると思うが、重慶にて俺がアメリカから持ち込んだ石油や石炭、鉄鋼及びアメリカの名産品などもタンカーに積んでおいたから順次受け取れ"と言ってきた。アメリカの名産品の中身を確認してショッピングモールで売ろうと考えている。

ルイスが糸屋の店舗にアメリカの衣装を運んでいる時、劉芸芸リウ・ユェンユェン(38歳)の夫、王大偉ワン・ダーウェイ(40歳)と子供たち、王建国ワン・ジェンゴオ(17歳)「息子」、王小美ワン・シャオメイ(15歳)「娘」が入ってきた。彼らに引き続いて40歳ぐらいの女性が入ってきた。

ルイス:お客さん。まだ店「ブティック」は開いてないんですよ。品物が重慶から届き次第、ブティックだけでも開店しますからしばらくお待ち下さい。

王大偉ワン・ダーウェイ(40歳):君がルイスくんかい?劉芸芸リウ・ユェンユェン(38歳)から話を聞いてやってきたんだよ。色々珍しい物を頂いて感謝しているよ。この万年筆は実に書き心地が良いし、友達にも自慢できるよ。バーボンはまだ飲んでいないが今晩にも飲んでみるよ。

王建国ワン・ジェンゴオ王小美ワン・シャオメイ:お兄さん。私達にまでお土産を頂いて嬉しいわ。これからもよろしくね。

ルイスはにっこり笑って彼らをソファーに座らせ、お茶と餅を出してあげた。茉莉花モーリーファーを加えた香りの良いお茶、茉莉花茶モーリーファーチャを選び、お茶請けの餅には、甘い豆のペーストを餅で包んだ、豆沙餅トウシャビンにしました。

ルイスは御婦人にも愛想良く王大偉ワン・ダーウェイのとなりに座るよう促し、彼女の気品のある立ち居振る舞いと洗練された美しさを褒めた。

ルイスの勘は"この御婦人が、王大偉ワン・ダーウェイの大事な人だ"と示唆していたのである。

ルイスに褒められた御婦人は相好を崩して喜び、ルイスに自己紹介した。

鄭艶芳チョン・イェンファン:ルイスさん。私は、鄭艶芳チョン・イェンファン(39歳)と申します。王大偉ワン・ダーウェイの側室で、この子達の実の母親なのです。

ルイスは"そうでしたか。それでは貴方にはその輝くばかりの美貌にふさわしい衣装を選んで差し上げましょう"と言い、先程運び込んだばかりの店の倉庫から3種類の異なる衣装を取り出して試着室で彼女に着てもらいました。

一番目は、

全体に細かいリブ編みが施された黒のミニドレスを着用しており、ドレスは体のラインにぴったりと沿ったデザインです。彼女は耳に大きなフープイヤリングをしており、口紅は鮮やかな赤色で、ヘアスタイルは低い位置でまとめたポニーテールです。彼女はまた、黒のシアーなストッキングを履いており、足元はブラックのハイヒールです。

二番目は、

濃い紫色のラップトップと黒のハイウエストのショートパンツを組み合わせて着ています。彼女のトップは結び目のディテールがあるデザインで、真っ赤なハイヒールが良く似合っています。

三番目は、

白いミニドレスを着ており、ウエストには薄いベルトが付いています。ドレスはボディコンスタイルで、体のラインにぴったりとフィットしています。また、ベージュのトレンチコートを羽織っており、これがエレガントさを加えています。足元にはピンクのハイヒールを履いています。

ルイスはそれぞれの衣装が彼女の身体にフィットするよう、微妙な修正を行い完璧な着付けにしました。豊満体型の鄭艶芳チョン・イェンファンには多少きついところもあったので多少の調整が必要だったのです。その作業の途中で彼女の身体とルイスの身体が接触し、周りが見ていない瞬間を狙ってルイスが彼女の唇をチュッと奪うときがあったとしても許されることでしょう。

2,30分の短い時間ではありましたが、鄭艶芳チョン・イェンファンの顔は上気し、真っ赤に火照っています。ルイスが彼女の耳元で"一番目の衣装が一番良く似合っています。素敵ですよ"と囁き、彼女の唇を奪った時には彼女も思わずルイスが彼女の口の中にまっすぐ突き入れた舌を思わずチュウチュウと舐めしゃぶっておりました。

彼女はルイスが勧めた黒のミニドレスを着用してそのまま自宅へ帰って行きました。他の三人はルイスが、鄭艶芳チョン・イェンファンのことを口を極めて褒めたことに満足し、ルイスに好感を抱いて一緒に帰って行きました。

午後4時、南充の元糸屋
引き続いて、ルイスの侍女たち「王雅静ワン・ヤジン(16歳)」と「李紫薇リー・ズーウェイ(16歳)」が訪れてきた。

ルイス:どうだ。上手く行ったか?

王雅静ワン・ヤジン(16歳):はい。私は大奥様「当主:劉鵬飛リウ・ペンフェイ(40歳)の母:王華ワン・ファ(65歳)、家族を支えるしっかりとした母親で、家族の道徳的指針となっている」付きの侍女に雇ってもらいました。

李紫薇リー・ズーウェイ(16歳):私は若奥様「当主:劉鵬飛リウ・ペンフェイ(40歳)の妻:李芳蓉リー・ファンロン(37歳)、劉鵬飛リウ・ペンフェイの妻で、教養があり家族をしっかりと支える」付きの侍女に雇ってもらいました。

ルイス:そうか。良くやった。お前たちには期待しているぞ。何か必要な衣装があれば倉庫から持って行け。

王雅静ワン・ヤジン(16歳):有難うございます。ルイス様。面白いことを聞き込みました。

李紫薇リー・ズーウェイ:私も一つあります。

ルイス:そうか。一人ずつ言ってみよ。

王雅静ワン・ヤジン(16歳):大旦那様が、李小梅リー・シャオメイ(26歳)を妾にしたのです。彼女は王大偉ワン・ダーウェイの家で長年侍女として働いており、その美貌が大旦那様の目にとまり、手籠めにされたそうです。李小梅リー・シャオメイ(26歳)は泣く泣く大旦那様の囲い者になりました。

王雅静ワン・ヤジン(16歳):でも大旦那様は大奥様の目が怖く、李小梅リー・シャオメイ(26歳)を家に囲うことは出来ませんでした。ですから、王大偉ワン・ダーウェイに因果を含めて、王大偉ワン・ダーウェイの妾ということにしたのだそうです。

ルイス:そうか。王大偉ワン・ダーウェイこそ好い面の皮だな。

李紫薇リー・ズーウェイ:私も同様の話です。張静怡チャン・ジンイー(24歳)はもともとは王家の遠縁にあたる家庭から来た女性で、はじめは家事手伝いとして働いていましたが、当主:劉鵬飛リウ・ペンフェイ(40歳)様に見初められましたが、やはり若奥様:李芳蓉リー・ファンロン(37歳)の悋気りんきが怖く、王大偉ワン・ダーウェイ様の妾という体で王家で暮らしています。

ルイス:良く事情は分かった。男どもも本妻の悋気は怖いようだな。

彼女たちはそれぞれの居宅に帰って行きました。ルイスはショッピングモールにどういった品物を置こうかと考え、取り敢えず今度のヘクターからの荷物の明細を見てみることにしました。

ルイスは高級家電製品「冷蔵庫、洗濯機、ラジオなど」や高級自動車の販売に魅力を感じていましたが、残念ながらヘクターからの荷物の中にはありません。

時計や宝飾品、医薬品、音楽関連商品、カメラや光学機器、文具・オフィス用品、美術品や装飾品、スポーツ用品などは荷物の中にあります。

ルイスが考えている時、陳華蘭チェン・ホアラン(38歳)と趙嬌紅チャオ・ジャオホン(35歳)の二人が入ってきました。ルイスはこの二人に店を任せようと考え、上記の数種類の中から選ばせました。

陳華蘭チェン・ホアラン(38歳)は時計や宝飾品の店をやりたいと言い、趙嬌紅チャオ・ジャオホン(35歳)はスポーツ用品の店を選びました。

糸屋の店と時計や宝飾品の店はごく近くにあり、スポーツ用品の店はかなり遠くにあります。というよりもルイスがそう指定したのです。趙嬌紅チャオ・ジャオホン(35歳)とはすでに良い仲になっており、陳華蘭チェン・ホアラン(38歳)を頂いてしまおうと考えておりました。

時間はさほど「30分程度」ありませんでしたが、ふたりが埒を開けてしまうには充分な時間です。糸屋の店のソファーが破れるほど、陳華蘭チェン・ホアラン(38歳)は暴れまわり、日頃亭主からほったらかされている憂さをルイスのたくましい身体で晴らしました。

☆ルイスと陳華蘭チェン・ホアラン及び趙嬌紅チャオ・ジャオホンの会話
趙嬌紅チャオ・ジャオホンが帰ってきた時には、ルイスと陳華蘭チェン・ホアランは一戦を終えていましたが、流石に趙嬌紅チャオ・ジャオホンの目は誤魔化せません。ルイスと陳華蘭チェン・ホアランが良い仲になったことは見抜かれてしまいました。彼女も勿論口には出しません。暗黙の了解なのです。

趙嬌紅チャオ・ジャオホン:お殿様。南充の石油王攻略の方法は思いつきましたか?

ルイス:当主:劉鵬飛リウ・ペンフェイ(40歳)の妹一家とは親しくなったけど。次の打つ手が決まらない。

陳華蘭チェン・ホアラン:お殿様。当主のご一家を攻めるのが一番ですよ。

趙嬌紅チャオ・ジャオホン:当主:劉鵬飛リウ・ペンフェイ(40歳)さんの妻:李芳蓉リー・ファンロン(37歳)さんを攻めましょう。

陳華蘭チェン・ホアラン:当主:劉鵬飛チリウ・ペンフェイ(40歳)さんの母:王華ワン・ファ(65歳)さんを攻めるのも良いですよ。

ルイス:どちらにも侍女を送り込んでいる。興味深い話を聞いたが次の手が決まらないのだ。

ルイスは二人に先程聞いた話を伝えた。

陳華蘭チェン・ホアラン趙嬌紅チャオ・ジャオホン:面白いスキャンダルですが、当主の妻や母親を攻略するネタにはなりませんね。

ルイス:直接のネタにはならないが、王雅静ワン・ヤジン(16歳)には若返りの薬「新万金丹」を10粒与えてある。これを毎晩焼酎に混ぜてひと粒ずつ飲むだけでも大奥様には効果がある。

陳華蘭チェン・ホアラン趙嬌紅チャオ・ジャオホン:でもお殿様の精を受けなければ本当の効き目は現れないんでしょう?

ルイス:そう聞いてはいるが、俺には実感がない。まあ、どんなことでも準備が必要だ。もう少し待ってみよう。

ルイスは彼女たちに得意の料理を振る舞ってやることにした。父親のヘクターが電話の時に教えてくれた広州料理を作ってやろう。

夏の夕暮れが訪れる頃、ルイスは広州料理の準備に取り掛かった。彼の邸宅の厨房には、父ヘクターから教わった広州料理のレシピが並び、香り高いスパイスと新鮮な食材がたっぷりと用意されている。時間は午後6時を回り、空は柔らかなオレンジ色に染まっていた。

厨房は活気に満ち、ルイスは巧みに包丁を振るい、繊細な料理を作り上げていく。メニューには、鶏肉とカシューナッツの炒め物、豚肉の甘酢あんかけ、蒸し魚、そして爽やかな野菜の春巻きが並ぶ。それぞれの料理は、彼の手によって美しい盛り付けでテーブルに運ばれた。

陳華蘭チェン・ホアラン趙嬌紅チャオ・ジャオホンは、美味しそうな香りに誘われて厨房へと足を運び、ルイスの料理の腕前に感嘆の声をあげる。テーブルに着くと、三人は広州料理の豊かな味わいを堪能しながら、その日の出来事や将来の計画について話し合った。柔らかな夕日が窓から差し込み、和やかな雰囲気が部屋を包む。

午後7時:糸屋の店舗兼住宅
夕食後、陳華蘭チェン・ホアラン趙嬌紅チャオ・ジャオホンはそれぞれの店舗付き住宅へ帰っていった。ルイスが風呂を沸かしている時、店舗の扉がノックされた。誰か来たのかな?

ルイスが扉を開けると、王雅静ワン・ヤジン(16歳)が立っていた。

ルイス:どうした?何か急用でも?

王雅静ワン・ヤジン:大奥様がルイス様にお目にかかりたいと言うのです。お越しください。駕籠を用意しております。

ルイスの目がキラリと光った。ルイスはすぐに準備して駕籠に乗った。用意というのは新万金膏薬と数種類の衣装及び高級化粧品と香水だ。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。