第一章第14話……ヘクターとの会話

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。
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・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。マフィアのボス:エドゥアルドの最愛の妻セリーナ・マッキンノン(27歳)を奪ったことで、アメリカを追われ、中国に逃れる。弟アンヘルの計画「中国共産党最高指導者毛沢東暗殺」に成功し、国民党政府主席蒋介石から、巴蜀・雲南の軍政長官に任命される。ルイスをアメリカら放逐したボスのエドゥアルドも自らの第一夫人クラウディア・コステロ(42歳)「前ボス:コステロの元妻」の不興を買い、香港に逃亡中。 
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ルイスの資金

200億両の為替。

現金9億9493万5000両。事業資金100万両。小遣い数百万両「内緒の金…敵対マフィアからぶんどった隠し金」

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ルイスの部下
1.周恩来(ジョウ・エンライ)、37歳、江蘇省出身:
・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。
・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。
・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。
・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。

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ルイスの3人の妻「ムスリム教徒」

ナディア・アミール・アル・サン(42歳)。ルイスの第一夫人「政治担当」。元「宋慶齢(ソン・チンリン)」。上海出身。
・自立心が強く、決断力がある女性。
・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。
・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。
サリマ・ファイサル・アル・ハウ(25歳)。ルイスの第二夫人「会計担当」。元「賀子珍(ホ・ズージェン)」。江西省出身。
・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。
・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。
・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。
王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)。ルイスの第三夫人「軍隊担当」。山東省出身。
・年の割には成熟しており、好奇心が強い。
・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。
・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。

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マフィアの組織図「パブリックドメイン」


紅軍の長征

中国全土

山川出版社「地域の世界史9……市場の世界史」P171

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P10

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P11

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P49

 

☆ルイスと王美玲(ワン・メイリン)(28歳)との会話
6月4日火曜日午後10時:宜賓(イービン)の街:長発升(チャンファション)一家の家
ルイスと王美玲(ワン・メイリン)はセックスの相性が良く、全てを忘れて没頭した。楽しみが尽きた頃、王美玲(ワン・メイリン)は連行された亭主:鄭大偉(チェン・ダーウェイ)(32歳)の命乞いをした。

王美玲(ワン・メイリン):鄭大偉(チェン・ダーウェイ)をお助け下さい。高利貸しも自分の利益のためにしたことではありません。街に巣食う秘密共産党員に脅されてやったことです。

ルイス:その秘密共産党員とは誰のことだ?今は亡き毛沢東が主流派だが、主流派がそんな非合法なことをやるとも思えない。

王美玲(ワン・メイリン):李立三(リー・リーサン)(36歳)と言う男です。一度家族と一緒に夫に会いに来たことがあります。

ルイス:家族の構成は分かるか?

王美玲(ワン・メイリン):私も色々聞いてみましたが、分かったのはごく一部です。住所は秘密にしていましたが、宜賓(イービン)の街には住んでいないようです。

"李立三(リー・リーサン)(36歳)は、革命的な情熱を共有するロシア人の妻、ナターシャ(32歳)と共に暮らしていた。二人は中国とソビエト連邦の結びつきを象徴するような夫婦であり、政治的な議論を夜遅くまで交わすこともしばしばだった。

息子のアレクセイ(5歳)は、両文化の影響を受けながら成長している。彼は母親からロシア語を、父親から中国語を学び、彼の多文化的な背景は彼の遊びや言葉にも色濃く表れていた。

ナターシャは文化革命家であり、中国での生活にも次第に適応していた。彼女はしばしば家庭内でロシアの伝統を取り入れ、料理や音楽を通じてその一端を息子にも教えていた。一方、アレクセイは新しい環境に好奇心旺盛で、時には近所の子供たちと一緒に広い田畑を駆け回り、自然の中で冒険を繰り広げていた"

ルイス:それだけ分かれば十分だ。恩に着るぞ。お礼にお前の亭主の命は助けてやろう。だが共産党と関係があると分かれば命は保証出来ない。蒋介石が大の共産党嫌いだということはお前も知っているだろう。

王美玲(ワン・メイリン):分かっています。従業員にも口は割らせませんし、共産党との関係は断ちます。ところで亭主の刑期はどのくらいになるのでしょう?

ルイス:押収した書類の内容に依るが、俺の推測では懲役20年というところだな。

王美玲(ワン・メイリン):それは長すぎます。もう少し何とかなりませんか?懲役10年位にして下さい。

ルイス:そうだな。お前が10年間俺の愛人のままで居るなら懲役10年にしてやろう。

王美玲(ワン・メイリン):私は死ぬまでルイス様の愛人でおりますわ。10年が経過して主人が出所しても主人のもとには帰りません。

ルイス:そうか。良く言った。なら、お前は亭主と離婚しろ。離婚届に署名すれば刑期を10年に縮めてやると鄭大偉(チェン・ダーウェイ)に言えばあいつも署名するだろう。

王美玲(ワン・メイリン)はルイスに言われた通り、離婚届に署名し、ルイスに渡した。全てルイスの思惑通りである。

6月5日水曜日午前6時:宜賓(イービン)の街:ルイス邸
夜更けに宜賓(イービン)の街を静かに歩いたルイスは、深夜の空腹を満たすために香港料理の饗宴を心に描きながら邸に戻った。彼が所望した香港料理は、執事のリー・ウェンが即座に料理長チェン・ホウに伝えたもので、家族全員が楽しめるものだった。

朝の光が窓から射し込むダイニングルームには、当主ルイスと彼の妻たちナディア、サリマ、王光美(ワン・グアンメイ)、そして参謀の周恩来(ジョウ・エンライ)とパイロットのテンパ・ティンリーが集まった。彼らの前には、香港風の朝食が丁寧に準備されていた。

料理長チェン・ホウと副料理長リュウ・メイが手掛けたメニューは、次の通り。

1.蒸し鶏:シンプルで滋味深い、朝の清らかな気分に合う料理です。
2.チャーシュー:香ばしい焼き色と甘辛いタレが食欲をそそります。
3.点心の盛り合わせ:エビの蒸し餃子や肉まん、シュウマイなど、種々雑多な味が楽しめます。
4.エッグタルト:甘い香りが漂うクリーミーなカスタードが特徴の焼き菓子です。

朝食はサービスマネージャーのワン・ジュンの手によって整然と配膳され、シェフ助手のチャオ・ミンとジャオ・リンが熱々の料理を運ぶ。一方、清掃スタッフのヤン・ユイとリー・フィは食後の清掃に備え、サービススタッフのリュウ・ジェイ、ゴウ・チェン、フー・ビンが客室の整備を行いながら朝の支度に勤しんでいた。

ルイスと彼の家族は、一日の始まりに相応しい豊かな香港料理の朝食を堪能しながら、静かに日の出を眺め、新しい一日の計画について話し合った。静かな朝の空気の中、彼らの会話はやがて活発な議論へと発展し、太陽が完全に昇る頃には、新しい一日が始まる。

☆夫人たちの報告とルイスの反応
ルイスは夫人たちから個別に報告を受けた。

ナディア第一夫人:宜賓(イービン)で最も有名な白酒酒屋「利川永(リーチュアンヨン)」を銀錠2万両の金額で居抜き購入いたしました。すでにその金額はルイス様が若女将の劉雅麗(リウ・ヤーリー)さんに支払い済みと聞きました。

ルイス:良くやった。流石にナディアだ。お前の功績は大きいぞ。

ナディアはルイスに称賛され第一夫人としての面目を保つことが出来た。

サリマ第二夫人:ルイス様、私からの手紙に目を通して頂きましたか?

ルイス:勿論だ。中々良く考えられている。後は実地だな。先ずは農産物の調査から始めよ。高粱、もち米、うるち米、トウモロコシ、小麦の5種類の穀物が何処でどのように生産されているかを調査するのだ。一ヶ月もあれば調査できるだろう。お前には一番難しくしかもやり甲斐のある仕事を任せている。しっかりやってくれ。

サリマもルイスがこの仕事が長期に渡る大事な仕事だと理解してくれたことで胸がすく思いであった。彼女は大張り切りで仕事に取り組み始めた。

王光美(ワン・グアンメイ):鄭大偉(チェン・ダーウェイ)(32歳)を取り調べましたところ、驚くべき事実が判明しました。彼は共産党の極左冒険主義者:李立三(リー・リーサン)(36歳)という男に唆(そそのか)され高利貸しを始めたそうです。利益の3割を自分が受け取り、利益の7割を李立三(リー・リーサン)が受け取っていたそうです。

ルイス:李立三(リー・リーサン)の居所は白状したか?

王光美(ワン・グアンメイ):鄭大偉(チェン・ダーウェイ)も知らないそうです。

ルイス:そうか。長発升(チャンファション)家の周りで聞き込みをしてみろ。ちょくちょく出入りしていた様だからな。

王光美(ワン・グアンメイ):了解しました。

執事のリー・ウェンが"ルイス様にお父様からお電話です"と連絡してきた。

ルイス:父さん。今何処ですか?

ヘクター:まだ、南京に居るんだよ。お前が何処に居るか分からなかったから連絡の取りようが無かった。

ルイス:そうなんですよ。大きな都市しか電話回線が繋がっていませんからね。

ヘクター:宜賓(イービン)まで行こうか?

ルイス:そうして貰っても良いのですが、実は巴蜀と雲南の軍政長官を任せられましてね。私も巴蜀だけで手一杯なのです。父さん、雲南地方の軍政をやっていただけませんか?

ヘクター:やっても良いが、俺がその他の地域を攻め滅ぼしたらその土地を貰えるのかい?

ルイス:軍閥政府みたいなことを言わないで下さいよ。でもナポレオン帝国の例もありますから、ヘクター帝国を建設して他の国に認めてもらうあるいは強引に認めさせ既成事実を作ってしまうということもありかも知れませんね。

ヘクター:良し。それなら決まりだ。取り敢えず俺が雲南をまとめ上げてから隣国の貴州や広西を征服してやろう。その時はお前も協力してくれよ。

ルイス:まあ、良いですけどね。アメリカ合衆国を怒らせないで下さいよ。

ヘクター:俺も日本のようには馬鹿じゃないよ。俺は初めから石油の出る国を奪うつもりなんだ。俺も雲南で石油を掘るつもりだが、お前も四川で石油や天然ガスを掘ってみろ。俺のところの優秀な社員を半分付けてやるから。

ルイス:了解しました。お父さんも早く雲南へ赴任して下さいね。

ヘクター:そうだな。長江経由で先ず宜賓(イービン)へ行き、そこから陸路で雲南へ行くよ。

ルイスは電話を切り、ヘクターの提案「四川で石油や天然ガスを掘ってみろ」に興味を覚え、詳しい者に聞いてみることにした。といっても知り合いは昨夜愛人にした王美玲(ワン・メイリン)しか居ない。

☆午前9時:長発升(チャンファション)家
ルイスが顔を出すと、王美玲(ワン・メイリン)が大慌てで飛び出して来た。彼女は昨日の今日だからルイスが来てくれるとは思ってもいなかったようだ。

王美玲(ワン・メイリン)は黒い長袖のトップスを着ており、胸元には透け感のあるデザインが施されている。ボトムには白いタイトなパンツを合わせており、足元にはベージュのハイヒールを履いている。

大変良く似合っているが、これは昨晩ルイスが彼女にプレゼントしたアメリカ合衆国の衣装10点のうちの一つであった。正直言って中国の女性の服装はルイスから見ると垢抜けないものであった。

王美玲(ワン・メイリン)のように美しく豊満な体型の持ち主には身体にフィットしている衣装のほうが良く映える。事実初めて着た時には彼女は恥ずかしがっていたが今では喜んで着ている。

彼女は"ルイス様、来てくださるのは嬉しゅうございますが、朝早くからは世間体もございますので、何処か待合にでも行きましょう"と言い、すっかりその気になっている。

ルイスは別に王美玲(ワン・メイリン)を抱く気で来たわけではなく、石油や天然ガス田の噂を知らないかと思ってきたのだが、彼女を失望させるのも本意でない。

王美玲(ワン・メイリン)の誘導するがままに宜賓(イービン)の街のしもた屋「待合、連れ込み宿」へ行き、彼女を十二分に満足させてから話を切り出した。

父親のヘクターが南京から電話を掛けてきた話をして、"四川で石油や天然ガスを掘ってみろ"と言われたことを彼女に話した。

王美玲(ワン・メイリン):四川盆地では昔から石油や天然ガス及び塩が良く採れますよ。成都の西南部、眠江に沿った地域や南充、武勝、合川などの地域で石油が産出されていますし、蜀には火井が多く、富順県、腱為県、儀朧県、蓬渓県などに火井があり、塩の生産に利用されていました。

王美玲(ワン・メイリン):富順県の火井では竹筒(パイプ)を使用してガスを引き出し、炎を発生させたと祖父様から聞きました。

ルイス:そうか。お前の言う通り、成都の西南部、眠江に沿った地域で油田を探してみよう。また富順県の火井の話も興味深かった。富順県の火井を探してみよう。お前は容貌が美しく、身体が豊満なだけでは無く、知識も豊富だな。感心したぞ。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。