第一章第9話……ルイス:摩梭(モソ)族周辺を女人王国とする

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  

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主人公ルイス・ディアンジェロ(18歳):元マフィアのアンダーボス。マフィアのボス:エドゥアルドの最愛の妻セリーナ・マッキンノン(27歳)を奪ったことで、アメリカを追われ、中国に逃れる。弟アンヘルの計画「中国共産党最高指導者毛沢東暗殺」に乗っかり、成功した。その功績を評価され、国民党政府主席蒋介石から、巴蜀・雲南の軍政長官に任命される。

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ルイスの資金

敵対するニューヨーク・マフィア から奪った朱堤銀200億両「日本円で400兆円」という莫大な隠し財産を為替で持っている。
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ルイスの捕虜兵
1.周恩来(ジョウ・エンライ)、37歳、江蘇省出身:
・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。
・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。
・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。
・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。
2.宋慶齢(ソン・チンリン)、42歳、上海出身:
・自立心が強く、決断力がある女性。
・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。
・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。
3.王光美(ワン・グアンメイ)、14歳、山東省出身:
・年の割には成熟しており、好奇心が強い。
・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。
・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。
4.賀子珍(ホ・ズージェン)、25歳、江西省出身:
・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。
・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。
・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。
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ルイスの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:次男アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 

・弟アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。

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マフィアの組織図「パブリックドメイン」


紅軍の長征

中国全土

山川出版社「地域の世界史9……市場の世界史」P171

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P10

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P11

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P49

麗江古城


☆ルイスと摩梭(モソ)族との交流
1935年5月31日金曜日午前11時半:摩梭(モソ)族族長の家
昼食時には、ルイスと女性たち、そして村の人々が一つの大きなテーブルを囲んだ。彼らは山の恵みに感謝しながら、和やかな雰囲気の中で食事を共にし、その日の疲れを癒やした。この昼食は、文化的な交流の場となり、食事を通じて異なる背景を持つ人々が互いに認識を深め合う機会となった。

昼食の献立には、ルイスが摩梭(モソ)族の村で採集し、族長の妻ラモと女性たちが調理した、地元の山の幸がふんだんに使われていた。以下の品目がテーブルを彩っていた:

1.松茸の味噌汁: 松茸の独特の香りが昼食の始まりを告げる、贅沢な一品である。

2.ワラビのおひたし: 茹でて冷まし、醤油とかつお節で味付けしたシンプルでありながら風味豊かな山菜料理である。

3.タラの芽の天ぷら: カリッとした食感の中に、タラの芽特有の若々しい味わいが広がる、春を代表する一品である。

4.フキノトウの味噌和え: 苦味が特徴のフキノトウを甘辛い味噌で和え、春の訪れを感じさせる一品である。

5.シイタケと野菜の炒め物: シイタケを主役に、地元の野菜と共に炒め合わせた栄養豊富な料理である。

6.エノキタケのスープ: エノキタケを使い、その独特の食感を楽しむシンプルながら温まる一品である。

7.クレソンサラダ: 清流で育ったクレソンを使ったサラダは、ピリッとした辛味と爽やかな風味で食欲をそそる。

そして、朝に捕獲されたクマの肉は、野性味溢れる煮込み料理に変身し、山の風味が際立つ一品となった。この料理には捕虜たちも一役買い、ルイスの指示のもと献身的に作業を行った。彼女たちの手によって、キノコと山菜、クマの肉を使った料理は、彼らの連帯感と共に味わい深いものになった。

昼食は、摩梭族の文化と山岳地帯の自然が息づく、ユニークで味わい深い体験をもたらした。ルイスと捕虜たち、そして村の人々が共に囲む食卓は、単なる食事を超えた交流の場となり、異なる背景を持つ者同士の理解と絆を深めるための機会を提供した。

☆王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)の疑問
王光美(ワン・グアンメイ)は昼食の席に族長のナムゾン(40歳)が居ないことに気付いた。好奇心旺盛で物怖じしない彼女は族長の妻ラモに直球の質問を投げかけた。

王光美(ワン・グアンメイ):ラモさん。ナムゾン(40歳)さんは何処かにお出かけなのですか?

ラモ:ああ。外部のお方には分からないかも知れませんね。元々彼は此処には住んでいないのです。近くに彼の実家があり、普段はそこで暮らしています。

ラモはそれ以上口を閉ざして何の説明もしなかった。

ルイスも不思議に思ったが、ここはラモには聞かず物知りの.宋慶齢(ソン・チンリン)(42歳)に事情を聞いてみることにした。彼女は大学で摩梭(モソ)族の研究をしていたと言っていたからきっと詳しく知っているに違いない。

☆ルイスと捕虜女子兵との瀘沽湖(ルーグー フー)見物
摩梭(モソ)族の村、落水下村は瀘沽湖(ルーグー フー)の畔(ほとり)にある。ルイスは女性捕虜兵3名を連れて瀘沽湖(ルーグー フー)見物に出かけた。

眼の前には6月初めの温暖な季節の清々しい美しさを称えるような瀘沽湖が広がっている。湖の水は穏やかで、深い青色が広がっており、山々の緑や空の青と完璧な調和を見せている。湖の中央には、陸地が突き出た半島があり、そこに建つ家々が湖畔の生活を彩っている。

周囲を囲む山々は、層状に重なり合っており、その斜面には密な樹木が生い茂っている。山と湖の間の緑豊かな植生は、自然の生命力を感じさせる。湖岸には小さな集落が点在し、古風な屋根と木造建築がこの地域の伝統と歴史を語っているように思える。

この地域の静けさと穏やかさは、訪れる人々にとって心の安らぎを与える。この時期の瀘沽湖は、自然の美しさと地元の文化が融合した、中国の隠れた宝石のような場所である。

ルイスたちは湖畔に腰を下ろし、和やかに語らい始めた。話題はナムゾン(40歳)が朝一度顔を見せて以来姿を見かけないことに移った。

賀子珍(ホ・ズージェン)(25歳)はライトパープルとブルーの色合いのスポーツブラとマッチングするショートパンツを着用している。彼女のウェアは身体の形を強調するフィット感のあるデザインでルイスの目を奪った。足にはこの間ルイスが配った白のスニーカーを履いている。

賀子珍(ホ・ズージェン):.宋慶齢(ソン・チンリン)(42歳)さん。教えてください。彼は何故姿を見せないのでしょう?

宋慶齢(ソン・チンリン)はオリーブグリーンのTシャツと同色のカーゴパンツを着用している。彼女の右腰にはホルスターに収められた拳銃があり、左腰にはライフルが装着されている。また、ブラックのブーツを履いており、この装いは軍や警察の制服を彷彿とさせる。

身長の高い宋慶齢(ソン・チンリン)は何を着ていても良く似合うようだ。

宋慶齢(ソン・チンリン):摩梭(モソ)族は1600年も前から母系社会なの。男女は結婚の形式を取らないで、男が女の家に通う形を取るのよ。

王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)は白いクロップトップと白いショーツ「短パン」を着ており、服装はフィットネススタイルである。真っ白なスニーカーが良く似合っている。

王光美(ワン・グアンメイ):私も聞いたことがあるわ。妻問い婚と言うんでしょう?結婚の形を取らず愛人関係になるのよね。確かアチェと言うんだっけ。

宋慶齢(ソン・チンリン):少し長いけど説明するわ。

"モソ族の「妻問い婚」(歩き婚や訪問婚)は、中国の雲南省瀘沽湖周辺に住むモソ族特有の結婚システムです。このシステムでは、女性は自由にパートナーを選び、関係は相互の同意に基づいて形成されます。女性が男性を自分の「花の部屋」に夜間に招待し、男性は朝に自分の家に戻ることが一般的です。これらの関係は長期的で独占的であることもあれば、短期的なものもありますが、正式な結婚の制約には縛られません。

「アチェ」という言葉は、モソ族の非婚的な関係を指す用語で、ロマンチックで性的なパートナーシップを意味しますが、同居や結婚に伴う義務は含まれません。これらの関係から生まれる子供たちは母親の家庭で育ち、生物学的な父親は限定的な役割を果たし、母方の叔父が父親の責任を担います"

ルイス:なるほど。良く分かった。今夜ナムゾン(40歳)はラモ(36歳)の寝所に通い、明日の朝彼の実家に帰っていくのだな。でもそうなると、真の族長はラモの方だということになるな。

ルイス:この村をテコ入れして女人王国にするのはどうかな?

3人の女性捕虜兵はルイスの考えに驚いたが、すぐに彼の考えは大変先進的な考えだと気付いた。中国では儒教の教えが根強く女性の権利は公には一切認められていなかったからだ。共産党にも無かった先進的な考えをルイスは今口に出したのだ。単なるギャングだとルイスのことを馬鹿にしていた彼女たちはまたまたルイスに対する認識を改めることになった。

湖畔での対話の中で、3人の女性捕虜兵はモソ族を女人王国に変えるための革新的なアイディアを出し合った。彼女たちは、以下のような提案をルイスに行った:

1.教育と啓発: 地元の女性たちへの教育プログラムを強化し、彼女たちが自らの権利と地位を理解し、積極的に社会に参加することを奨励する。

2.経済的自立支援: 女性たちが自立して生計を立てられるように、手工芸品や伝統工芸の販売を支援する。

3.女性リーダーシップの育成: 村の決定プロセスにおいて女性の声を増やし、将来の女性リーダーを育成するためのプログラムを開発する。

4.文化の保護と促進: モソ族の独特な文化や伝統を保護し、観光資源として活用することで経済を活性化させる。

これらのアイディアは、女性たちがより大きな社会的、経済的な力を持ち、モソ族の社会における女性の役割を強化することを目指している。

それを聞いたルイスは彼女たちに現実的な話をした。君たちの提案は大変素晴らしいが、実現性に欠ける。1から4までの政策を実行する人材が居ないし、資金をどうするつもりだ。

彼女たちは答えに窮した。

ルイス:資金については宜賓(イービン)の街まで行けば何とかなる。

王光美(ワン・グアンメイ):ルイスさん。いくら持っているの?

ルイス:朱堤銀で200億両持っている。日本円で400兆円だな。朱堤銀は一両約2万円だ。

王光美(ワン・グアンメイ):想像も出来ないくらいの大金ね。

賀子珍(ホ・ズージェン):全部ギャングで稼いだの?

ルイス:まあ。そうだが、殆どは他のギャングたちから戦闘で奪った。彼らが拠点に貯めていた表に出来ない資金を横取りしたものだ。

王光美(ワン・グアンメイ):表に出来ないお金というのはどういうものなの?

ルイス:違法賭博「スロットマシン」や風俗店からのみかじめ料「用心棒代」、闇金の利息などだな。

宋慶齢(ソン・チンリン):マリファナ、覚醒剤、コカインなどの密売もあるんじゃないの?

ルイス:俺がチンピラだったころはコカインの密売をやったこともあるがその儲けは数万ドル程度のものだし、俺個人は薬物は嫌いだ。人の命を奪ったり、心身撹乱の原因になるからな。

宋慶齢(ソン・チンリン):貴方は薬物はやらないの?

ルイス:俺は一度も手を出したことがない。あんなものに手を出すやつは馬鹿だ。

ルイス:関連する話だが、俺はアヘンや覚醒剤を忌避する薬を持っている。もちろん処方箋も持っている。この薬品を大々的に製造販売したいと思うのだがどうだろう?

女たちは一も二もなく大賛成した。

ルイス:こういった事業や女人王国が出来るまでは皆さんに協力していただきたいのだが賛成してくれるか?

ルイス:女人王国の国王には宋慶齢(ソン・チンリン)に就任してもらいたい。またアヘンや覚醒剤を忌避する薬を製造販売する企業の代表には賀子珍(ホ・ズージェン)がふさわしいと思う。

ルイス:また王光美(ワン・グアンメイ)の肝っ玉の太いことに鑑み、王光美(ワン・グアンメイ)を俺の軍補佐官にしたい。ひとまず1万名の飛行兵を率いてもらいたい。

宋慶齢(ソン・チンリン)、賀子珍(ホ・ズージェン)、王光美(ワン・グアンメイ)の3名はルイスの申し出を検討した。

☆女性捕虜兵の議論と検討
3人の女性捕虜兵がそれぞれの視点から具体的な意見を述べた。

宋慶齢(ソン・チンリン)は、モソ族の母系社会の美点に焦点を当て、女人王国建設に魅力を感じたことを表明した。彼女は女性の地位向上と母系制の強化が、社会全体の進歩に貢献すると信じていた。

賀子珍(ホ・ズージェン)は、違法薬物忌避薬の製造販売が中国民衆を蝕んでいる阿片中毒から救う手段であると同時に、資金調達の有力な方法であると主張した。

彼女はこの事業が経済的な独立と社会的な影響力をルイスを含む自分たちに与えると確信していた。賀子珍(ホ・ズージェン)は知らず知らずのうちに自分がルイスの側にあると思うようになっていた。

王光美(ワン・グアンメイ)は、1万名の航空兵を活用して満州国への攻撃を計画し、中国の独立と領土の回復を目指すべきだと提案した。彼女は軍事的な行動が中国にとって必要な手段であると考えていた。

これらの意見を踏まえ、3人はルイスの提案について熱心な議論を展開し、最終的には彼の方針に従うことを決定した。彼らはそれぞれの視点から提案の実現可能性を検討し、共通の目的に向けて行動することを決めたのである。

☆母屋に帰ってきたルイス
瀘沽湖(ルーグー フー)見物から摩梭(モソ)族の村、落水下村に帰ってきたルイスは早速母屋に居るラモ(36歳)のご機嫌伺いに出向いた。何時も母屋で仕事をしているラモを労(ねぎら)いたいと思ったのである。

ルイスは彼女の着ている民族衣装が作業をするには不都合だと考えており、季節的にも短いトップスとショーツが適していると考え、光沢のある青いトップスに、切りっぱなしのデザインのデニムショートパンツ及び真っ赤なスニーカーをラモにプレゼントした。

ラモ:ルイスさん。頂いて嬉しいけど、着るのは少し恥ずかしいわ。

ルイスはそれならと「黒い長袖のトップス、鮮やかな赤色に黒いスプラッター柄が入ったレギンス、ベージュ色のモカシンブーツ」を渡し彼女に着せてみた。

派手派手だが、長身のラモには良く似合っていた。ルイスがそう言うと、ラモはルイスに"こんな良いものをくれるのは、今晩私の寝室に来てくれるつもりがあるの?"と聞いてきた。

ルイスは"ラモがそういうのはおそらくナムゾン(40歳)はもはやラモのアチェ「愛人」ではなくなっているに違いない"と思い、ラモにこう答えた。

"ラモさんが許してくれるなら今すぐにでもラモさんの寝室に行きたいです"

ラモは大笑いして"こんな昼間っから寝室に来る人も入れる人も居ないわ。夕食が終わってからいらっしゃい"と答えた。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。