第一章第7話ルイス:摩梭(モソ)族の村に降り立つ

 

前書き

1935年、ルイスと彼の仲間たちが未知の土地へと足を踏み入れる。彼らを待ち受けていたのは、雲南省の深い山々に住む摩梭族の人々との出会いだった。異文化間の交流を通じて、ルイスは新たな理解と絆を築く。本エピソードでは、異なる文化の美しさと、それを受け入れることの重要性を描き出します。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。
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・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。マフィアのボス:エドゥアルドの最愛の妻セリーナ・マッキンノン(27歳)を奪ったことで、アメリカを追われ、中国に逃れる。弟アンヘルの計画「中国共産党最高指導者毛沢東暗殺」に成功し、国民党政府主席蒋介石から、巴蜀・雲南の軍政長官に任命される。ルイスをアメリカら放逐したボスのエドゥアルドも自らの第一夫人クラウディア・コステロ(42歳)「前ボス:コステロの元妻」の不興を買い、香港に逃亡中。 
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ルイスの捕虜兵
1.周恩来(ジョウ・エンライ)、37歳、江蘇省出身:
・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。
・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。
・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。
・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。
2.宋慶齢(ソン・チンリン)、42歳、上海出身:
・自立心が強く、決断力がある女性。
・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。
・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。
3.王光美(ワン・グアンメイ)、14歳、山東省出身:
・年の割には成熟しており、好奇心が強い。
・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。
・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。
4.賀子珍(ホ・ズージェン)、25歳、江西省出身:
・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。
・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。
・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。

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マフィアの組織図「パブリックドメイン」


紅軍の長征

中国全土

山川出版社「地域の世界史9……市場の世界史」P171

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P10

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P11

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P49

麗江古城


☆ヘクターの動向
1935年5月11日土曜日午後8時:カーペンター家の豪邸「ダラス郊外」
エリザベス・ハミルトンはヘクターの誠心誠意を込めたもてなしと、彼女への惜しまぬ称賛の言葉を並べ立てられ自分の役目も忘れてすっかり良い気分に浸っていた。面白くないのはキャサリンである。

ヘクターと親密な行為を楽しんでいたキャサリンは、エドワードからの電話に妨げられた。あげくに、エリザベスまで来訪した。しかも恋人のヘクターはキャサリンそっちのけでエリザベスを大歓迎し、彼女を褒めまくる有様である。

キャサリンは大むくれにむくれて自分の寝室に引き込んでしまった。エリザベスはキャサリンにヘクターとの仲をすっかり白状させようと思っていたから困ってしまった。ヘクターの態度を見る限り、キャサリンと愛人関係になるような男ではないと思っていたが、エドワードからはキャサリンに直接問い質せと言われている。

一方ヘクターはソフィアからの電話を受け、"ダラス市役所に婚姻届は出してきた。今夜はアンナの家に泊まるから貴方はそこに泊まるなり自宅に泊まるなり自由にして頂戴"と言われ、自宅に帰ることにした。

エリザベス・ハミルトンは自宅に帰ろうとするヘクターを引き止め、"ヘクターさん。貴方と少しお話がしたいの。良いかしら?"と言い、彼をソファーに座らせた。ちょうど自分の右側の席である。

ヘクター:エリザベスさん。貴女からのお話ではお断わりできません。何なりとおっしゃって下さい。お金の御用達でも何でもいたしますよ。

エリザベスはヘクターからこう言われ激しく動揺した。彼女は夫のチャールズ・ハミルトンが金繰りに困っているのを良く知っており、キャサリンとヘクターの仲を調査するのも元はと言えば夫のチャールズ・ハミルトンの借金問題から発しているのである。

エリザベスは自分に良くしてくれるこの若い男のことを少しずつ気に入り始めていた。彼はひょっとして自分に好意を抱いてくれているのかしらと思い始めていたのだ。

キャサリンを問い詰めようにも寝室に入って出てこないし、ヘクターに"貴女とキャサリンが出来ているのではないかとキャサリンの夫エドワード・カーペンター66歳が疑っているの。まさか、貴方とキャサリンは肉体関係を持ってはいないわよね"と問いただすことは不可能だ。聞いたところで"はい。私はキャサリンと愛人関係にあります"と白状するとも思えない。

エリザベスはついにヘクターに本当のことを白状した。するとヘクターは怒りもせず、エリザベスにこう言った。

ヘクター:僕はキャサリンさんを嫌いではありません。でも僕が口説くとすればそれはキャサリンさんではありません。エリザベスさんを口説きます。

エリザベス:その言葉は私のほうがキャサリンさんよりも好きだと言うことね。

ヘクター:そうです。またお金のことですが、ご主人に1,000万ドル融資しましょう。無利子・無担保にします。

ヘクターは1,000万ドルの小切手を切り、エリザベスに手渡した。

ヘクター:もちろん、このお金は貴女を拘束するものではありません。エリザベスさんを崇拝しているヘクターの愛の証と受け止めて頂ければ幸いです。

この言葉を聞いて心を動かされない女性が居るだろうか?

エリザベスは自ら衣服を脱ぎ捨ててヘクターにその豊満な肉体を委ねた。

☆ルイスと4名の捕虜兵
1935年5月31日金曜日午後2時:石鼓鎮(シー グゥ ジェン)の草原
ルイスはテンパ・ティンリー24歳を助手席、4名の捕虜兵を後部座席に乗せ、宜賓(イービン)の街に向かって出発した。機内での衣装として男たちには黒の長袖シャツと黒のパンツ及びスニーカーを与えた。また暑くなったときに備えて、ハワイから持ち込んだ白の半袖のシャツと白い短パンも与えた。

女性たちには黒の長袖クロップトップと黒のレザーパンツ及びスニーカーを与えた。また暑くなったときに備えて、「黄色とピンク色のフィットネスウェア、ピンク色のレッグウォーマー」、「グレーの長袖Tシャツ、ショートパンツ、トレーニング用のグローブ」、「ブラックのスポーツブラ、ブラックのビキニショーツ、ブラックのレギンス」、「オレンジとブルーのストライプが入ったVネックの長袖トップス、デニムのショートパンツ」、「ピンク色のスリーブレスのトップ、カモフラージュ柄のレギンス」、「白い長袖のトップ、ベージュ色のパンツ」、「ベージュ色のレギンスと同色のスポーツブラ」、「ピンク色のレギンスとグレーと白のカラーブロックのスポーツブラ」、「グレーのスポーツブラとマッチングするグレーのショーツ」など多彩な衣服を与えた。

ルイスは西昌(シーシャン)経由で宜賓(イービン)の街へ行くつもりだったが、助手のテンパ・ティンリー24歳が雲南省永寧鎮(ヨンニン・チェン)に寄ってくれという。

捕虜兵たちも耳を澄ませて二人の話を聞いている。

宋慶齢(ソン・チンリン)(42歳):あら。貴方は摩梭(モソ)の人なの?

テンパ・ティンリー(24歳):そうです。瀘沽湖(ルーグー・フー)の畔にある落水下村出身です。私の母親チャン・ユン(42歳)の生まれ故郷なのです。

賀子珍(ホ・ズージェン)(25歳):瀘沽湖(ルーグー・フー)は大変綺麗なところだと聞いているわ。

王光美(ワン・グアンメイ)(14歳):私も行ってみたいわ。

ルイスは落水下村に飛行機を停めるところがあるか?とテンパ・ティンリーに聞いた。

テンパ・ティンリー:そうですね。瀘沽湖(ルーグー・フー)の近くにある格姆女神山(ゲームー ニューシェン シャン)の麓に停めましょうか。私が案内します。

宋慶齢(ソン・チンリン)(42歳):格姆女神山(ゲームー・ニューシェン・シャン)と言うと格姆女神(ゲームー ニュー)の居るところね。標高3,754メートル(12,316フィート)に位置し、瀘沽湖(ルーグー・フー)周辺で最も高い峰だと聞いているわ。

テンパ・ティンリー(24歳):そうです。格姆女神山は女神ゲムの化身と見なされています。山は非常に雄大で、その峰はまるで空に突き刺さるようです。地元の人々は、この山が女神ゲムの物理的な変容であると信じています​​。

ルイス:そうなのか。女神と言えば綺麗な人なんだろうな。でも目の前にいる宋慶齢(ソン・チンリン)(38歳)さんほど綺麗な人はいるまい。俺もアメリカで随分美しい人を見てきたが、宋慶齢(ソン・チンリン)さんほど美しくて聡明な女性にはお目にかかったことがない。

ルイスの率直な宋慶齢(ソン・チンリン)に対する褒め言葉は捕虜たち全員を驚かせた。一番ビックリしたのは宋慶齢(ソン・チンリン)だっただろう。彼女も夫を無くしてから10年近くになり、男性からそういった目で見られることもなくなっていたからだ。

ルイスの言葉を聞いた女性兵士たちはすぐに野暮な軍服を脱ぎ、先程ルイスが与えた衣装の中から思い思いの衣装を選んで着替えた。

一番若い王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)は白いスポーツブラとブルーのビキニボトムである。賀子珍(ホ・ズージェン)(25歳)はグレーのスポーツブラと同色のショートパンツ。宋慶齢(ソン・チンリン)(38歳)はグレーのスポーツブラとオリーブグリーンのレギンス。

いずれも動きやすくて良く似合っている。軍服などよりよほど良い。

2時間ほどの飛行で格姆女神山(ゲームー ニューシェン シャン)の山麓に着き、ルイスは飛行機を停めた。

石鼓鎮(シー グゥ ジェン)の草原に着陸したルイスたちの光景は、格姆女神山(ゲームー ニューシェン シャン)の雄大な景観を背景にしている。山は標高3,754メートルに位置し、その峰はまるで空に突き刺さるような壮大さを放っている。周囲の風景は豊かな緑で覆われ、自然の美しさを際立たせている。

小さな飛行機は不整地の一角に停まっており、ルイスと彼の同行者たちが降り立った。若い男性ふたり、30代後半の男性ひとり二人の女性たち、そして十代の少女は様々なフィットネスウェアやカジュアルな服装に身を包み、新しい冒険に向けて準備を整えていた。

この場所は、その静けさと魅力的なロケーションで、彼らの旅に特別な意味をもたらす。山の雄大さ、周囲の緑豊かな環境、そしてグループの期待に満ちた様子が、この地の神秘的な雰囲気をより一層引き立てている。ルイスは誰も見ていないと思っていたがそうではなかった。

☆摩梭族の家族の再会
彼らが降り立った時、やんちゃ盛りのひとりの少年ソナム(12歳)が彼らを見つめていた。少年ソナムが目にしたのは、雲南省の格姆女神山(ゲームー ニューシェン シャン)の麓で繰り広げられる息をのむような光景だった。5月の末、豊かな緑の季節の真っただ中、山々は新鮮な緑に覆われており、陽光が斜面を温かく照らしている。山頂にはまだ残雪がちらほらと見え、その白さが青々とした山々と鮮やかなコントラストをなしていた。

谷間に広がる水田は、稲の苗が植えられたばかりで、一面に広がる新緑が美しい絨毯のようである。水田を行き来する農機具が、収穫に向けての営みを予感させる。小さな飛行機が不整地に静かに着陸し、そばには冒険心に溢れた旅行者たちが新しい体験への期待を膨らませていた。

伝統的な建築様式を持つ木造家屋は、自然の一部であるかのように風景に溶け込み、その間を歩く地元の人々の暮らしは平和そのものである。ソナムの目には、この平穏で美しい自然、彼の故郷の豊かさ、そしてそこへ訪れた新しい顔ぶれが映し出されていた。

1935年5月31日、格姆女神山(ゲームー ニューシェン シャン)の山麓で、落水下村の摩梭族の人々がルイスたち一行を温かく出迎えた。中でも、テンパ・ティンリー(24歳)の叔父であるナムゾン(40歳)とその家族の喜びはひときわ大きかった。

ナムゾンは摩梭族の現族長で、身長が高く力強い体格の持ち主。彼の横には、彼の妻であり、テンパ・ティンリーの叔母であるラモ(36歳)が立っていた。ラモは伝統的な摩梭族の衣装を身にまとい、優しい笑顔を浮かべていた。彼らの子供たちは、好奇心旺盛な息子ソナム(12歳)と娘ツェリン(10歳)で、テンパ・ティンリーに大きな関心を示していた。

一行が到着すると、ナムゾンとラモはテンパ・ティンリーを熱烈に抱擁し、長い間離れていた甥の帰郷を心から喜んだ。テンパ・ティンリーもこの熱い歓迎に感激し、言葉にならない喜びを表現していた。ナムゾンは甥の肩を叩きながら、彼が無事で帰ってきたことを祝福した。

ソナムとツェリンはテンパ・ティンリーの周りをわくわくした様子で駆け回り、様々な質問を投げかけていた。ラモは微笑みを浮かべながら、ルイスたち一行を温かく迎え入れ、村の伝統的な歓迎の儀式を始める準備をしていた。

この日、落水下村は遠くからの訪問者を歓迎する賑やかな雰囲気に包まれ、テンパ・ティンリーの帰郷は、村にとって特別な喜びとなったのである。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

ルイスと摩梭族の村の人々との心温まる交流を経て、物語は新たなエピソードへと移ります。異文化間の出会いは、予期せぬ課題をもたらすと同時に、理解と成長の機会を提供します。ルイスの旅は、彼自身だけでなく、彼と交流するすべての人々にとっても、変革の旅となる。物語は、異なる文化の架け橋としての旅の価値を示し、読者に対して、広い視野と心の開放を促します。