第一章第5話ルイス再度四川省:宜賓イービンへ向かう

 

前書き

1935年、世界は大きな変革の時代を迎えていた。このエピソードでは、ルイス・ディアンジェロが再度四川省:宜賓イービンへと向かう物語を追います。過去の罪と追跡から逃れるために中国へ亡命したルイスでしたが、彼の運命は予想もしない方向へと進んでいきます。納西族の地で新たな役割を担うこととなったルイスは、自分の過去と向き合いながら、未来への一歩を踏み出すことになります。このエピソードでは、ルイスがどのように自らの運命を切り開いていくのか、彼の内面の変化と外の世界との関わり合いを描き出します。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  

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主人公ルイス・ディアンジェロ(18歳):元マフィアのアンダーボス。マフィアのボス:エドゥアルドの最愛の妻セリーナ・マッキンノン(27歳)を奪ったことで、アメリカを追われ、中国に逃れる。弟アンヘルの計画「中国共産党最高指導者毛沢東暗殺」に乗っかり、成功した。その功績を評価され、国民党政府主席蒋介石から、巴蜀・雲南の軍政長官に任命される。

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ルイスの資金

敵対するニューヨーク・マフィア から奪った朱堤銀200億両「日本円で400兆円」という莫大な隠し財産を為替で持っている。
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ルイスの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:次男アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 

・弟アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。

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真珠湾基地責任者と家族
・ジェームズ・ハリントン大佐: 真珠湾基地の責任者。45歳。長年の軍歴を持ち、特に戦略的思考と組織運営に長けている。
・マーガレット・ハリントン(42歳): ジェームズの妻。地域社会でのボランティア活動に積極的で、特に子供たちの教育と福祉に関心を持っている。
・エリザベス・ハリントン(20歳): 長女。大学で政治学を学びながら、軍事基地内での青少年プログラムに参加している。
・ウィリアム・ハリントン(18歳): 長男。大学進学を控え、将来は海軍に入隊することを夢見ている。

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マフィアの組織図「パブリックドメイン」


紅軍の長征


瀘定橋

中国全土

山川出版社「地域の世界史9……市場の世界史」P171

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P10

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P11

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P49

麗江古城

 

 

☆ヘクターの動向
1935年5月11日土曜日午後3時:カーペンター家の豪邸「ダラス郊外」
キャサリンとヘクターが情事の真っ最中、今や大団円を迎えようとする時、野暮な電話が屋敷中リンリンと鳴り響いた。元より二人の耳には聞こえない。

しかし、侍女たちがキャサリンの寝室のドアをどんどんと叩き始めた。"奥様。お起きになって下さい。お部屋の電話が鳴り響いておりますよ。私どもの部屋まで響いています"

キャサリンは已む無く起き上がろうとしたが、ヘクターは単独行動を許さず、キャサリンを背後から抱きかかえキャサリンを貫いたたままで電話のある場所まで移動した。

キャサリンはヘクターが歩く度に逝ってしまい、朦朧とした状態で受話器を取った。

エドワード:キャサリンか?悪いが、大事な書類の入ったカバンを家に置き忘れた。誰かに持ってこさせてくれ。

キャサリンが"分かったわ。すぐに持って行かせるわ"と答えようとした瞬間、ヘクターは大きく腰を動かした。キャサリンはヘクターが歩く度に軽く絶頂していたが"何とか電話を取るまでは大きく絶頂するのを我慢しよう"と思っていた矢先である。

キャサリンは辛抱堪らず、大きく絶頂し"ああ。逝く逝く!もう駄目!逝ってしまうわ"というが早いか失神してしまった。

エドワード:キャサリン。どうした。何があったんだ。大丈夫か?

キャサリンは2,3分後に意識を回復し、大慌てで受話器を握りしめ"ああ。私、どうかしていたわ。貴方としている夢を見て夢の中で逝ってしまったようだわ"と言い訳した。

その言い訳を聞いたヘクターはもう一度スパートを掛け、大腰を使った。キャサリンは"うーん!私もう駄目。これ以上は耐えられないわ。ヘクターもう許して頂戴"と大声で叫び、受話器をその場に落とした。

エドワード:キャサリン。どうした。ヘクターもその場に居るのか。ヘクターに代われ。

ヘクター:エドワードさん。キャサリンさんは僕とソフィアの結婚をどうしても許さないと言い張り、僕と言い争いになったんです。ヒステリーの発作が起きて気絶しましたが、もう大丈夫です。キャサリンさんに電話を代わります。

キャサリン:貴方。もう大丈夫よ。私も少しヘクターに言い過ぎたわ。彼とソフィアとの結婚は許すことにするわ。

エドワード:そうか。お前が大丈夫なら良いのだが。

エドワード:"うーん!私もう駄目。これ以上は耐えられないわ。ヘクターもう許して頂戴"と言ったような気がするんだが。どういう意味なんだ?

キャサリン:私、そんなこと言ったつもりはないわ。こう言ったのよ。

"ヘクター。大の大人が床に頭を付けて謝るもんじゃないわ。私、そんなのはこれ以上耐えられないわ。ヘクターもう許してあげる"

エドワードは疑念を抱いたがその場は収めることにした。エドワードはゴルフ場でハミルトン家と一緒だったのである。ジェームズ・ハミルトンと娘ソフィアとの婚約破棄について話し合うためであった。その問題自体は簡単に話が着いた。双方慰謝料抜きで円満に破断にするということで決着が着いた。

ただ、チャールズ・ハミルトン(50歳)にはまだ別の問題が発生していた。大恐慌の影響は銀行業界を大きく揺るがしており、彼の経営している投資銀行などは毎日が火の車であった。ヘクターのアメリカ国籍取得の1件でエドワードから50万ドル受け取り、当面の危機はしのいだが、月末までには更に50万ドルが必要なのである。

チャールズ・ハミルトン:エドワード。5月末までには50万ドルが追加で必要なんだ。何とかならないか?

エドワードはチャールズに50万ドルの融資を頼まれ、一計を案じた。

エドワード:俺もお前に頼みがある。お前の女房エリザベス・ハミルトン(48歳)は俺の妻キャサリン(40歳)と親しかったよな。

チャールズ・ハミルトン:同じ慈善団体で仲良くしていると聞いているが、それがどうかしたか?

エドワード:言いにくいことだが、キャサリンとヘクターの関係を俺は疑っているんだ。

チャールズはエリザベス・ハミルトンを呼び、キャサリンとヘクターの関係を調べてくれと指示した。

エリザベスはキャサリンに電話し、"今からお宅にお邪魔しても構わないかしら"と聞いた。

キャサリンは"今自宅にヘクターが来ているから"と言い、断ってきた。

エリザベス:戸籍の上だけの関係だけど、ヘクターさんは私の実子なのよ。彼にも会わせて頂戴。

キャサリンは拒む理由が思い当たらず、エリザベスが来ることを認めてしまった。

☆ルイスと王華ワン・ファ
1935年5月30日木曜日の清新な朝、納西族の家族は、族長である王華ワン・ファの父、テンパ・ドルジェ(60歳)のもと、日の出と共に家族の新たな始まりを祝った。母、チャオ・ユン(42歳)は、家の中心であり、暖かさと母性の象徴である。

王華ワン・ファ(34歳)は長女として、家族の中で特別な地位を占めており、彼女の決断は家族の未来に大きな影響を与える。彼女が将来納西族の族長となることは既定の事実と目されていた。彼女だけが先妻の子供であり、3人の弟たちは後妻チャオ・ユンの産んだ子供であった。後妻チャオ・ユン(42歳)と王華ワン・ファ(34歳)とは納西族の跡目を巡って長年激しく争って来ている。

王華ワン・ファは子供がいないことを理由に今の夫「石鼓鎮シー・グゥ・ジェンの村長」と離婚し、彼を解任したいと家族に告げた。王華ワン・ファの父、テンパ・ドルジェ(60歳)は娘の意志を尊重し、王華ワン・ファは自由の身となった。

朝食の席には、王華ワン・ファの3人の弟たちも加わっていた。長弟のテンパ・ティンリー(24歳)は、新たな石鼓鎮シー・グゥ・ジェンの村長に任命された。彼のリーダーシップが今後の家族と村の発展に寄与するものと期待されている。次弟のテンパ・ノルブ(22歳)は、学問に熱心で、家族の知恵となるべく勉強に励んでいる。三弟のテンパ・ソナム(20歳)は、音楽と芸術に情熱を注ぎ、納西族の文化を次世代に伝える役割を果たしている。

テーブルには、雲南の朝の恵みが並んだ。蒸したジャガイモとピーマンの辛い炒め物、手作りの香ばしいパン、爽やかなミントを効かせたキュウリのサラダ、そして新鮮な果物が添えられたヨーグルトで、家族の食事が始まった。母チャン・ユンは、手仕事で作った豆腐と、家庭の庭で育てたハーブで彩りを添えた。

ルイスは、納西族の朝食に囲まれながら、家族の暖かさと王華ワン・ファの強い意志を肌で感じ取った。食事を共にしながら、彼は納西族の言葉を学び、彼らの豊かな文化を体験し、新しい家族の一員としての歓迎を受けた。王華ワン・ファの家族は、彼女が新しい未来への一歩を踏み出すことを全面的に支援し、彼らの家は常に変化と成長の場であることを示した。

朝食後、チャオ・ユン(42歳)がルイスに話しかけてきた。"ルイスさん。今日の予定は決まっているの?"

ルイス:特に決めてはいないのですが、最低限飛行機の燃料「オクタン価の高いガソリン」の購入と南京の国民党政府への連絡及び小切手と為替の両替をせねばなりません。

チャオ・ユン(42歳):それなら私と一緒に出かけましょう。テンパ・ドルジェ(60歳)が王華ワン・ファと話があるそうなの。

王華ワン・ファも"お父さんが納西族の跡目のことで話しがあるそうなの。チャオ・ユンが街を案内してくれるわ。一緒に行ってらっしゃい"と言う。ルイスもチャオ・ユンのお言葉に甘えることにした。

1935年5月30日の清々しい朝、麗江リージャンの街は穏やかな日の光に包まれていました。ルイスとチャオ・ユンは、納西族の家族の朝食が終わると、街へと出かける準備をしました。チャオ・ユンは、伝統的な納西族の衣装を身にまとい、彼女の自然な優雅さが、古い街の石畳に映えていました。

二人はまず、街の中心部にある小さな店に向かいました。その店は、外観こそ古めかしいものの、麗江リージャンでガソリンを販売している唯一の場所であり、また通信手段として電話を提供している数少ない場所の一つでした。店の内部は、木製の棚とカウンターが並び、壁には様々な商品が並べられていましたが、ルイスの目的はガソリンの購入と連絡手段の確保でした。

チャオ・ユンは、店の主人と親しげに話を交わし、ルイスが必要とするガソリンの手配と、国民党政府への連絡をスムーズに進める手助けをしました。店の主人は、電話の使い方を丁寧に説明し、ルイスが必要とする両替も手早く済ませてくれました。

ガソリンは馬車で納西族族長テンパ・ドルジェ(60歳)の邸宅に運ばれ、ルイスは当面の資金として10万ドルの両替を済ませました。

☆蒋介石との電話

ルイス:私が催涙ガスを用いて毛沢東一派の幹部200名を拘束しましたが、機内でジェームズが毛沢東を機関銃で撃ち殺しました。これを切っ掛けに揉み合いとなり、ジェームズは敵軍に押しつぶされ、圧死しました。200名のうち殆どが飛行機を逃げ出し、朱徳将軍と合流しました。私は男ひとり、女3人を拘束しました。

蒋介石:そうか。良くやった。毛沢東を殺したのは大手柄だ。彼らは逃してしまったが、紅軍にとっては大きな打撃だろう。ジェームズの家族はこちらが引き取りハワイへ送り返す。今ジェームズの家族は何処にいるのだ?

ルイス:彼女たち3名は石鼓鎮シー・グゥ・ジェンの村長宅にいます。

蒋介石:早速飛行機を迎えにやる。それから君の処遇だがとりあえずは雲南省と四川省の軍政長官を引き受けてくれないか?

ルイス:非才ではありますが、懸命に務めさせていただきます。

蒋介石:それとアメリカから宜賓イービンに君宛の荷物「1000台の飛行機と1万名の軍隊」が届けられるそうだ。一度宜賓イービンに行き給え。

ルイス:了解いたしました。

チャオ・ユンはルイスと蒋介石のやり取りを固唾を飲んで聞き入っていた。ルイスが中国にとって最重要な人物だと確信し、チャン・ユンはルイスを我が物にしようと画策した。

電話を終えたルイスは、チャオ・ユンに感謝の意を示し、彼女は微笑みを返しました。"ルイスさん、雲南の街は静かですが、こうして人々は互いに支え合って生活しているのです"と彼女は言いました。

ルイスがまじまじと観察すると、彼女は赤と黒のチャイナドレスを着ており、黄金の装飾が施されている。衣装は情熱的であり、彼女の強い個性を反映している。

彼女のチャイナドレス「旗袍チーパオ/rt>」には大胆なスリットが入っており、彼女が歩く度にそのスリットから透き通るような真っ白な肌の太ももが見え、ルイスは思わずドギマギした。

チャオ・ユンはルイスの目を十分惹きつけたと見て取り、ルイスの手を取って準備しておいたしもた屋「連れ込み宿」に連れ込んだ。しかし、チャオ・ユンはいざという時に躊躇した。今までそういった経験「誘惑」をしたことが無いのである。王華ワン・ファとの長い確執が気立ての良いチャオ・ユンを此処までの行為に追い込んだとも言える。

ルイスは彼女が男女の駆け引きに疎いと判断し、自ら積極的にリードすることを決意した。元々ヘクター一家はこの分野は得意中の得意なのである。

☆ルイスとチャオ・ユンの初めての情事
ルイスはチャオ・ユンが緊張していることを察し、彼女が安心できるように明るく接することに心を配った。彼の寝室にチャオ・ユンが入ってくると、ルイスは温かく微笑みながら声をかけた。

ルイス:チャオ・ユンさん、大丈夫ですよ。緊張しなくてもいいんです。一緒にリラックスしましょう。

ルイスは彼女の衣服を脱がせる際にも一枚ずつゆっくりと話しかけながら行った。彼は彼女の身体を手のひらで、優しく撫でさすり、衣服のボタンを外す際にも指先で軽く触れ、肌に触れる感触を感じさせた。

次第に彼女の体が露わになるにつれ、背中や脇腹なども優しく指でなぞりつつ、絶えず口づけを交わし、愛を囁いた。乳房に触れる際にも、彼は外側から内側へとゆっくりと撫で、最後に乳首を優しく指と舌及び口で愛撫した。その柔らかな触れ心地と彼の愛情あふれる行為によって、チャオ・ユンは心地よい喜びと快感を感じることができた。

下半身の場合も同様に、ルイスはお尻や内ももから触れながら徐々に中心部へと至った。舌を大きく開き、舌の中央から上部を用いて下腹部の下から上まで広範囲に舐めあげ、彼の舌の動きは優しくて繊細であり、チャオ・ユンはその刺激によって深い快楽に包まれた。

その後、ルイスは指先で彼女の中心部をなぞり、優しく刺激を与えた。彼は舌と指の組み合わせを使い、彼女の快感を高めていった。その繊細な愛撫と舐める動作によって、チャオ・ユンは深い絆と快楽をルイスと共有した。

チャオ・ユンは松葉崩しの体位を望み、仰向けになり、自ら左の太ももを思い切り抱えあげた。ルイスはチャオ・ユンの希望に応え、彼女の要望通りに松葉崩し体位に移行した。

彼女は左の太ももを両手で抱えあげた状態で仰向けになり、ルイスは彼女の左足を抱えながら右肩に掛け、ゆっくりと挿入し腰を蠢くように動かす。二人の身体は完全に組み合い、ルイスの天狗の鼻がゆっくりと彼女の中に滑り込んでいく。

ルイスは彼女のおさねとの位置合わせを丁寧に行いながら、徐々に深く入っていった。ルイスは上下左右にゆっくりと蠢くように体を動かし、チャオ・ユンの蜜壺の感じる部分とおさねを重点的に責め続ける。

彼は天狗の鼻の動きをコントロールし、リズミカルかつ律動的な動きで快感を与えていく。彼らの身体は一体となり、互いに喜びを分かち合いながら、快楽の境地へと導かれていった。

ルイスは徐々に動きを加速させ、天狗の鼻を少しずつ深く挿入し、蜜壺とおさねの刺激を一層強めた。二人は徐々にテンポを速くし、激しく快感を追求していく。彼らの身体の融合は情熱的であり、喜びに満ちた体験となった。最終的に、二人は共に絶頂の快感に達した。彼らの愛の絆は深まり、喜びと幸福感に満たされる。彼らは互いを愛し合い、松葉崩しの体位を通じて一体感と親密さを体現した。

情事の後、すっかり仲良くなったルイスとチャオ・ユンは手を繋ぎながら麗江リージャンの街をゆるゆると散歩し、族長の家に帰った。

1935年5月30日木曜日午後5時:納西族族長テンパ・ドルジェ(60歳)の邸宅
ルイスとチャオ・ユンが帰ってきた時、邸内には緊張が走っていた。チャオ・ユンが侍女に訳を聞くと、"王華ワン・ファお嬢様が納西族族長になり、テンパ・ドルジェ様は隠居されました"と言うではないか。

チャオ・ユンが大慌てでテンパ・ドルジェに会いに行くと、テンパ・ドルジェの座っていた族長の席には王華ワン・ファが座っており、その右側にテンパ・ドルジェ、左側に次弟のテンパ・ノルブ(22歳)が座っている。

王華ワン・ファ:只今から私が納西族族長となりました。父には顧問を務めてもらいます。また次弟のテンパ・ノルブ(22歳)には私の補佐を務めてもらいます。

チャオ・ユンにはもう言うべき言葉も対抗する言葉も無かった。その時、ルイスが一同に宣言した。

ルイス:私は雲南省及び四川省の軍政長官を国民党政府首班蒋介石様から仰せつかった。一同の者、今後は私の命令に従うのだ。

ルイス:三弟のテンパ・ソナム(20歳)と母親のチャオ・ユン(42歳)は私と一緒に宜賓イービンへ向かい、その後は巴蜀の蜀の地で駐屯する。異存は無いな?

もちろん、雲南省と四川省の支配者たる軍政長官に逆らう者などいなかった。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

用語解説

 

納西族(Naxi people)

 

納西族(Naxi people)は中国南西部、特に雲南省の麗江地域に住む少数民族です。彼らの文化は中国、チベット、そしてシャーマニズムの伝統的な医学システムが統合されたものであり、非常にユニークです。納西族の食文化や伝統医学には、多様な植物が使用されており、彼らの日常生活や健康管理に深く根ざしています​​。また、納西族とチベット文化は長い歴史を通じて相互に影響を与え合ってきました。特に、納西族のドンバ教とチベットのボン教、仏教との間には、文化的な統合が見られます​​。

納西族は、自然と調和して生きるという強い意識を持っており、その伝統的な生活様式や宗教的慣習は、彼らが住む地域の生態系保護に貢献しています​​。教育の面では、納西族と漢族の間の統合を促進する役割を果たしてきましたが、納西文化を学校で教える余地はまだあります​​。

納西族の文化は、彼らの農業生活や生計にも影響を与えており、伝統的な農業方法や土地利用が、地域の自然環境との調和を保っています​​。また、納西族の言語や数字に対する見方は、彼らの国民性、文化、哲学への理解を深める手がかりを提供しています​​。

最後に、納西族の伝統的なマニュスクリプトやドンバ経典は、デジタル化によってより広く研究されるようになり、納西族の文化や伝統を保存し、次世代に伝えるための重要な資源となっています​​。

簡単に言えば、納西族は独自の文化と伝統を持つ中国の少数民族であり、彼らの生活様式や信仰は、自然との調和を重視しています。彼らの多様な食文化、伝統医学、そして自然保護への意識は、現代社会においても価値があり、注目されています。

 

後書き

ルイス・ディアンジェロの四川省:宜賓イービンへの再訪は、彼にとって新たな局面の始まりでした。このエピソードを通じて、ルイスはただの亡命者から、雲南省及び四川省の軍政長官としての新たな役割を受け入れることになります。彼の選択は、周囲の人々にも大きな影響を与え、彼自身の内面も変化していきます。ルイスとチャオ・ユンの関係の進展は、彼の人生において新たな章の始まりを告げています。納西族との関わりは、ルイスにとってこれまでにない挑戦と成長の機会を提供しました。この物語は、ルイスがどのように自己の運命を乗り越え、新たな地平を切り開いていくのかを示唆して終わります。読者の皆様には、ルイスの旅がこれからどのように展開していくのか、次回のエピソードにご期待いただきたいと思います。