ちょっと変わった作品を観劇

 

*広島まで興味深いお芝居を見に行ってきました。

INGO-DX(イナゴデラックスという劇団の『遺食』という作品ですわざわざ広島まで出かけたのは、作品がとても興味深かったから。




なんと、「故人の意思を次世代へ継承する」という目的で、亡くなった人の肉を相続して食べる遺食制度が制定された近未来の話なんです。ありえない設定ですね。物語は、その提唱者である文化人類学者が他界したことから遺食をめぐって家族が葛藤する展開なんですが、ここではお芝居の内容や感想は割愛しますね。


突飛な話だと驚いた方も多いでしょう! カニバリズムの怖い話だと不快に思う方もいらっしゃるかもしれまんね。でも実は戦前の日本でも、死者の骨を噛み(場合によっては飲み込む)「骨噛み(ほねがみ)」という風習もあったといいます。また、世界には実際に「死者の魂を受け継ぐ」という意味で死者を食べる風習があった地域もあります。例えば私たちは小さな我が子を「食べちゃいたいぐらいかわいい」と表現しますが(だからと言ってもちろん食べませんが!)、愛情表現と結びつく行為でもあるんですね。

 

ここまで強烈な話はともかくとして、大事な人と永遠の別れについて考えました。父が他界した後に、父の部屋に入るとまだ父がいるような空気を感じました。時が経てばそれがだんだん薄れていくのかな、嫌だなと思ったのを覚えています。あれから5年近く経ちその空気は確かに薄くなったのかもしれませんが、父が遺した字だったり本棚だったり、色んな物で折に触れて父を思い出します。父が私の中に生きているってことですね。そう考えると、先に挙げた芝居の設定も「死者が私の中に生き続けて欲しい」という想いの表れってこと…なのかな…?

そんなことを考えた、秋の一日でした。

(文責:フルヤ)