クラシコ イタリアな日々のブログ

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20169月から東京で最も古い刷毛・ブラシの老舗「江戸屋」さんに別注している「Brift H」さんの手植え靴ブラシが値上げになりましたネ。

「Brift H」さんのコメントでは「昨今の原材料価格の高騰や人件費の増大など様々なコストの増加により、江戸屋様が価格の見直しをされ、それに伴い、当店での販売価格も改定させて頂きます。」とのこと。

「江戸屋」さんでもこれに先立ち2016年8月から一部ブラシの価格変更を実施されていました。


【江戸屋:新旧価格(税込)】
・クリーム付けブラシ(白豚毛、白馬毛) ¥1,728→2,160
・コバブラシ(白馬毛) ¥1,728→2,160
・スエードブラシ ¥3,240→5,400
・白馬毛ブラシ(小判型、角反り型) ¥5,184→7,560
・花馬毛ブラシ(小判型、角反り型) ¥5,184→8,640
・豚毛ブラシ(小判型、角反り型) ¥5,184→6,480
・山羊毛ブラシ(小判型、角反り型) ¥5,184→10,800


Brift H:新旧価格(税別)】
・クリーム付けブラシ ¥2,000→2,500
・コバブラシ ¥1,800→2,400
・スエードブラシ ¥3,500→5,600
・馬毛ブラシ(小判型) ¥5,500→10,000
・豚毛ブラシ(小判型) ¥5,500→8,000
・山羊毛ブラシ(小判型) ¥6,500→12,000


靴磨きを生業にしている方々や靴愛好家の方々の中には、「江戸屋」さんの手植え靴ブラシのファンは多いと思います。
今回の値上げで数年前の倍近いプライスとなり、さすがに「江戸屋」さんの靴ブラシは一般人には実用品の価格帯から嗜好品の価格帯になってしまったように思います。
 
他の老舗店は今のところ据置かれているようですが、原材料価格の高騰が続けば値上げも時間の問題かもしれません。
先日伺った話では、特に洋服ブラシなどで使用されている中国重慶産の「豚毛(特に白豚毛)」の価格高騰が最近著しく、入手しにくくなっているとのこと。
 
そして、原材料価格の高騰よりもさらに深刻なのが、手植え職人の減少でしょう。
近年では、東京森下の老舗「田中ブラシ製作所」さんが廃業されたように、今後も職人の高齢化に伴う事業縮小や廃業が想定されます。
恐らく現状の需要とプライスでは、希少な「手植えブラシ」の大半はいずれ姿を消し、今以上に「機械植えブラシ」だらけの世の中になってしまうのかもしれません。
 
日本に限らずイタリアでもさまざまな分野のアルティジャーノ(職人)が減ってきており、ハンドメイドを愛するものにとっては大変残念なことです。



わたしは「宮川刷毛ブラシ製作所(白豚毛、黒豚毛、白馬毛、黒馬毛)」、「江戸屋(白豚毛、山羊毛)」、「藤本虎(白豚毛、黒豚毛)」の手植え靴ブラシ(小判型)を長年使用していますが、機械植えとは違うそれぞれの持ち味があり、大変素晴らしい使い心地とエイジングを堪能しています。
 
ちなみに、Brift Hさんでは「埃払い=花馬毛」「クリーム=白豚毛」「仕上げ=山羊毛」ですが、わたしは「埃払い=白豚毛」「クリーム=黒豚毛(硬)、白豚毛(軟)」「仕上げ=山羊毛」を使用しています。
 
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こちらは「宮川刷毛ブラシ製作所」謹製の毛足長6.5cmの「白豚毛」ブラシ。商品棚に置いてあった甲冑や鎧兜などの埃払い用ブラシを譲ってもらい、毎日靴の埃払い用に使用しています。

毛足長ブラシの「豚毛」と「馬毛」の違いは、毛質のハリ・コシもありますが、長年使用すると馬毛は毛が反って開いてくるのに対し、職人が植えた豚毛は豚毛本来の反りを内方向に向くよう計算して植えているため反りにくいとのこと。やはり手植えブラシの真骨頂は「豚毛」なのでしょう。そういえば「江戸屋」さんの手植え洋服ブラシも全て「豚毛」ですネ。

このブラシを見ると、以前「宮川刷毛ブラシ製作所」さんで靴ブラシをいくつか買おうとしたら、今は亡きご主人が「うちのは長持ちするからひとつでイイと思うヨ。靴ブラシは実用品だからガンガン使っても長持ちするようにつくってあるから。洋服ブラシのような値段で売るようなもんじゃ無いしね」と訥々と言われ、江戸っ子の職人気質と商売っ気の無さを強く感じたことを思い出します。
 

最後にひとつ朗報が…
長らく生産休止となっていた「江戸屋」さんの手植え靴ブラシですが、この度「手植え靴ブラシ 角反り型」が復刻するとのこと。
2016年9月9日から「江戸屋オンラインショップ」にて再販するとのことで、待ち望んでいた方々の争奪戦となりそうですネ!
先日伺ったとき店頭で靴ブラシの箱詰めをされていたのを見て、今まで小回りの利く小判型を使ってきましたが、角反り型も試してみたくなりました…