満九十歳の母1 イブの朝満九十歳の母は 光り輝く雪深き森の 小さな 小さな駅舎から しずかに天国旅立ちました こんど生まれて来るときは 空をはばたく鳥になると どこまでも飛んで行ける 鳥になりたいと ベッドのうえで腕を広げた 2 イブの朝満九十歳の母は ほんとうに鳥になってしまったよ 小さな小さなありがとう わたしの耳元にそっと遺して この頃白髪が目立ちはじめ あなたの顔に似てきたと 近所の人が声をかける 親子だものね こんな普通が今はしあわせ 〈20015・12〉