古都のブログ小説 京の鐘988

 

 

 

「何も詫びることは無いんだよ。ただ、君は営業職が自分

  にあっているのか、どうか、それを訊きたかったんだよ」

 返事の声が聞こえなかった。

 

 

 

「営業職は毎年、同じことで口を濁すことでは、

  社員は一円もギャラは上らないないことを分かっている

  よね。制作は、より高い数字を取るために日々、

   頑張っているんだよ」

 秋山が声のトーンを下げ、語り聞かせた。

 

 

 

 男が、すっと立ち上がって、

「今少し、自分が営業に適しているかを、考えたいと

   思いますので・・」

 か細い声で呟くよう口にした。

 

 

 

「そうだな、では、退席していいから、上司や同僚などと

   話し合い、君のこれからの生き方を、見つけると良い。

   あとひとつ、次いで悪いが、営業局長に、

   すぐ、ここへ来るよう伝えてくれ」

 秋山の言葉に男が軽く肯き、戸口へって姿を消した。

 

 

 

 辺りは目の前で一人の男の人生が決まって行く様子を

   目の当たりにして、

   青ざめる者や歯を喰い縛っている者もいて、室内は混乱

   から、静寂へと影がゆっくり移っていった。

 

 

 

「さて、ここで、今回の特別な企画に関して、

   異議ある者は遠慮なく言っていいから、手を上げてくれ」

 立て続けの秋山の指示に肩を絞るように締め付け、

   吐息を漏らする者が相次いでいた。

 

 

 

 制作局長がやおら、手を上げた。

 

 

 

「常務の企画書をみると、この制作には相当の資金が

   必要かと思いますが・・」

 

 

 

「いくらほどと推察しているかな」

 一声あって、 

「多分、億は超えるかと思いますが・・少な過ぎますか」

 

 

 

「いい所をつくな・・流石、制作局長殿だ」

 秋山の口元が笑っていた。

 

 

 

「では、もしや、今一つ上を行きますか」

「私は2億近くは行くと思っているが・・」

 一同、堪えた、どよめきに揺れた。

 

 

 

「それはまた、剛毅な想定ですな」

「そうだな・・これがあるので、営業にひと働き、

  してもらわんとならんのだ」

 

 

 

「分かりました。これなら、我々としても、この壮大な

   企画を成功させるためにも、新たに、

   頑張る気力が湧きますな」

 

 

 

 制作局長の気力溢れる言辞に、席にいた全員から盛大な

   拍手が上がり、互いに、顔を見合わせ、

   頑張ろうの気合の入った蛮声が飛び交った。

 

 

 

 室長が秋山に代わって、深々と頭を下げた。

 

 

 

「勿論、これは飲み食い等の無駄金は一切、使わないから、

  本当に志のある者だけが京に集まれば良いのだ。

  当社の幹部の来訪との触れ込みで、

   意気込みが場を盛り上げる働きに役立つのだ」

 

 

               古都の徒然 祝・男子体操逆転の金!

 

 

   毎日、仏五輪の記事ばかりで,飽き飽きしているかと

 思いますが、

 別にネタ切れでは無く、本当に五輪の持つ、

 ある種の魅力か魔力に取りつかれているのもか

 知れませんが(笑)

 

 多分、

 世界各地からやって来た選手たちが、

 国と個人の名誉の為、戦う内に、醸し出す雰囲気に

 なんとなく、

 魅かれるものがあるのでしょうかね!(^^)!。

 

 

 最後の最後まで戦い切る姿が美しく見えるのも

 不思議ですね。

 

 

 昨日一番、目立った種目は一時は我が国の国技かと

 思わせるほどの人気を誇っていた男子の

 体操競技です。

 

 

 昨日は

 この競技の団体戦でのことで、エースの高橋大輝が

 あん馬で落馬する悲劇が発生し、

 私なんかは呆然とするだけでしたが、

 この時、同僚の4人が駆け寄り、一人一人が高橋の

 背を叩き、大丈夫、大丈夫の連呼で、

 彼を勇気づけ、このシーンは格別の意味がありましたね。

 

 

 この時、中国との激しい戦いの中で、3点負けていて、 

 これを取り戻すには、どんなに大変かは

 誰もが知っているのに、

 彼らはカラ元気だけでなく、その後の鉄棒で全員が

 鳥肌が立つほどの名演技で

 観衆から盛大な拍手が是を物語っていたのも

 分かるような気がします。

 

 

 特に

 この時、鉄棒の名手の杉野正尭が目を見張るような

 名演技を見せ、

 会場から割れんばかりの喝采を得たもので・・

 

 

 これに続いて誰もが最高の演技を見せて、

 高得点を叩き出し、

 中国を僅かの差で勝ち抜き、金メダルの栄光を手に

 入れたものです。

 

 

 この後の五人のメンバー全員が、

 あの柔道の阿部詩さんと同様の豪快な泣き声を上げ、

 喜びを分かち合っていたのには、

 見ていて、少し恥ずかしい気もしましたが、

 大の男の涙で濡れた

 顔も、まんざらでもないなーっと

 思いましたが・・(#^^#)。