古都のブログ小説 京の鐘983

 

 

 

「ううん、今気がついたの」

 小夜が穂香が口にする前に素早く口を差し、

 頭を抑えつけた。

 

 

 

 穂香が何か喚いていたが、その内、静かになった。

 

 

 

「なんだか騒がしいようだが、大丈夫か。都合が悪ければ、

 君が帰宅して、体調が良くなってから電話するね」

 秋山が電話を切ろうとすると

「もう大丈夫だと思うけど・・」

「そうかもしれないけど、今は少し身を休めていた方が良い

 からさ」

 志乃が暫く躊躇っていたが、やがて気落ちしたかのような

 掠れ声で

「うちと話したくないのね」

 志乃が可愛く拗ねる。

 

 

 

「志乃の拗ねた声が堪らないね」 

 秋山が傷口に塩を塗るような言葉で返すと、

「もう、せんせ、なんて、知らないっ」

 秋山が弁解しかけようとする前に、スマホを切られた。

 

 

 

 秋山も、流石に言い過ぎたと思い、慌ててメールで必死に

 詫びて、

「明日、講義が全て終わった後、二人に言って、

 志乃と二人っきりになるから、」

 と言って、何とか、志乃の機嫌を直させた。  

 

 

 

 翌朝十時に秋山の直轄部下を集めての緊急会義を開き、

 今後の予定について、話し合ことにして、

 主だった者たちへ連絡して、志乃からの電話を待った。

 

 

 

 22時になっても、音沙汰無しなので、何かあったのかも

 知れないと、不安になり、自ら志乃のスマホを入れた。

 

 

 

 やはり心配していた通りになっていた。

 家に帰るなり、志乃は倒れたらしい。

 

 

 

 慌てて蒼汰が府立病院へ電話を入れ、すぐ、

 救急車が迎えに来て、即入院となった。

 

 

 

 普通なら、今夜の最後の新幹線も考えたが、

 取れる確約も無いのと、何より明日の緊急会議に自分が

 出ないと、年末年始の企画があやゆくなることから、

 泣く泣く、仕事が終われば、

 必ず行くからと志乃の家人に言づけて電話を切った。

 

 

 

 定刻に会社へ行き、未だ社長が出社していないことを

 確認して、全員の顔が揃うのを待つばかりであった。

 

 

 

 予め、常務室の室長に言って、本日の議題の簡単な

 メモを渡し、その旨の説明をさせた。

 

 

 

 やがて全員が揃ったとのことで、さっそく、会議室に

 室長と共に向かった。

 

 

 

 室内へ入ると、全員が一斉に席をつと、何かしらの緊張感

 が室内に漂っていた。

 

 

 

 会議には報道部・撮影部・企画制作部・アナウンス部の

 他に特別にラテ営業部が顔を見せていた。

 

※    ラテ部とはラジオ・テレビ部のことです。

 

 

       古都の徒然 寓話のような・・

 

 

   パパはくさい

   ママはめんどくさい。

 

 

 これは、ある小学生のことばとして、紹介されている

 ものですが、

 実に、軽いノリなのに、何となく、思い当たる言葉に 

 覚える気もして・・

 笑うに、笑えないものでもあるかと・・

 

 

 私はパパのくさいは 分かります。

 

 

 パパは確かにタバコの匂いが強く・・傍に拠りたく

 ならないのも仕方ないかなとも

 思いますが(笑)

 

 

 ただ、その後の

 

      ママはめんどくさい 

 

 私は子供心にも、そんな風に思ったことは一度もなかった

 と思います(#^^#)。

 これは自信を持って言えるもので・・(*^_^*)

 

 

 父の存在感の無さらと比べ、母の存在感は実に大きく、

 我が家の中心が、

 母のような錯覚さえ覚えていたからで(笑)

 

 

 父が何かの理由で2.3日留守になっても

 何も気にしなかったのに、

 母が実家に帰っていた時は、身が焦がれるような不安と

 焦りを

 覚えたものです。

 

 

 それほど、

 私は母が大好きで、母も私を溺愛してくれていたので、

 母のいない我が家は

 空疎以外の何物でもなかったはずで・・

 

 

 なので、何かといえば、母の側から離れないので、

 母の方が、めんどくさい

 お思っていたかも知れませんが・・(笑)。

 

 

 父が随分と損な役割を演じていたのは、

 多分、

 男は無駄口は叩かないものとの信念があったような

 気がするからです。

 

 

 本当に古武士のような生き様で、何かといえば、

 武士は剣術は学ばねばならないとの信念が

 揺るぎがなかったのも

 私にとって迷惑な限りであったような・・・(笑)

 

 

 でも、母の勧める日本舞踊は苦手で、

 剣術は大好きになり・・

 でも、教えてくれる父は常にいないのが・・"(-""-)"

 

 

 なので、我が家はなにかしら、変な気もしましたが

 それでも、

 平和な日々ではありました(#^^#)

 

 

   ※ 参考資料 朝日新聞朝刊 24.6.19 

           折々のことば 鷲田精一