古都のブログ小説 京の鐘891

 

 

 やがて新幹線の乗車時間が近づいて来て、

 四人はそれぞれ、持ち物を整理していると、

 秋山のスマホが鳴り、社の送迎用の車が玄関口に付いた

 との話であった。

 

 

 

「今日は付き纏う者もいないと思うが、念の為、若い者を

 何人か、付けてあるから、心配しないで帰りなさい」

 乾いた喉が少し痛んだ。

 

 

 

「せんせ、そないなことまで手配してくれはったんですか」

 志乃が目を潤ませながら、すり寄って来た。

 

 

 

「君たちは、もう、すっかり我が社の売れっ子だから、

 このくらいは当然だよ。遠慮なく、乗って行きなさい」

 志乃が珍しく、爪先立てて、秋山の耳元に手を当て、

「少し、二人だけにして・・」

 蚊の鳴くような小声が耳元に響いた。

 

 

 

 秋山は一瞬、我が耳を疑った。

 迂闊であった。

 

 

 

 こんな年甲斐の無い男の為に、恥を忍んで女心を囁く

 まで、志乃の気持ちに気づかなかった己の未熟さに身が

 竦んだ。

 

 

 

 確かに、これまでも、せっかく東京まで会いに来たのに、

 二人りきりの時間を一度も持とうとしなかった

 野暮さにも、あきれ果てていたことだろう。

 

 

 

「先生、私ら少し早めに出て、トランクに手荷物を入れて

 いるので、志乃ちゃんをお願いしますね」 

 小夜が背後から何気に口を差した。

 

 

 

 秋山が軽く肯くと、奈菜や穂香を誘って、そそくさと

 部屋を出て行った。

 

 

 

 意味が呑み込めない穂香の戸惑いを無視して、

 その背に手を当て押し出して行った。

 

 

 

 この子にはいつも、借りばかりして、立つ瀬が無かった。

 

 

 

「せんせ、もし、うちのこと、未だ愛しいと思ってくれはる

 なら、軽くでいいの」

 と言って、また爪先を立てた。

 

 

 

 秋山が志乃の細身を軽く抱いて、唇を重ねた。

 

 

 

 袂の内から零れ出る、白檀の甘い香りが鼻孔を

 くすぐった。

 

 

 

 秋山がこんな若い子に少し無理かなと、

 一度は逡巡したが、あの爽やかな甘い香りは控えめな

 性格の志乃には、寧ろ相応しいのではとの思いで、

 贈ったものだ。

 

 

 

 こうして、わざわざ付けて来てくれているのに

 気づかなかった自分の愚かさに臍を噛む

 思いであった。

 

 

 

「悪かった・・ほんと、ごめんな。君の気持ちを寸借せず、

 ただ詫びるしかないが、私の君への思いは初めての時と

 何も変わらないよ。むしろ、会えば合うほど君への思いは

 高まるばかりで、結婚を急ぎたいほどなのだ」

 無言の志乃の頬に熱いものが零れ落ちていた。

 

 

       古都の徒然 鼻風邪とクシャミ・・

 

 

 春先から始まった鼻風邪が今も、完治しないので、

 聊か困り果てているところです。

 

 

 こんなに長いのは近年にないことで、

 熱もなく咳もでないのにと・・

 医師に言うと、寒暖の差が激しいからだ・・・と

 

 

 そっれて

 花粉との関連が分からず、不思議な気がしますが・・

 

 

 何が嫌かと言うと、

 鼻がムズムズしていると、クシャミが出やすくなり、

 なぜか家では出ないのに、外ばかり出るので、

 恥ずかしさと

 もしかして、コロナかとの思いも過って・・(笑)

 また、

 治らない辛さと、恐怖が重なり・・"(-""-)"

 

 

 当分は、

 くしゃみの無い日々が早く過ぎ去って行くことを

 祈るばかりです(~_~;)。

 

 

 幸い、平安神宮で散策中には何も発作は起きず、

 良かったのですが、本当に不思議な話です。

 

 

 あっ、そうだ、バスの中でも出そうになったことが

 ありますが、

 その時は必死になって我慢して、

 クシャミは引っ込みましたが、これも不思議な話です。