古都のブログ小説 京の鐘975
ここで、それまでの、CDの志乃の歌声に変わって、
音曲が歌謡おわらに変わり、
石川さゆりの風の盆恋歌が、志乃の歌声に、とって
変わった。
イントロのメロディに続いて、本歌に移った。
♪ 蚊帳の中から 花をみる
咲いて儚い 酔芙蓉
舞は志乃が肩袖を抑え、蚊帳の中から庭に咲く酔芙蓉を
みる振りつけから始まった。
志乃の白くて細い指の美しい流れに観客の視線が
注がれた。
♪ 若い日の 美しい
私を抱いて ほしかった
いきなり愛する二人の愛を歌う歌詞に誘われるように
両手で胸を軽く抱き絞める振りに、客席から微かな
熱い溜息が零れ出た。
♪ 忍び遇う恋 風の盆
舞の流れの美しさと、品の良い振り付けに、熱い吐息が
柔らかく会場を包んだ。
ここでテープの音がフェイド・アウトすると、志乃が
ゆっくりと舞台袖に身を運んだ。
その背に暖かい追い風が吹いた。
同時に再び、三味・太鼓に胡弓が正調のおわらを奏で
始めた。
入れ替わりに、穂香と菜奈が上下の幕袖から舞出て来た。
舞台のセンターに進み出た小夜が舞って、
姿を見せた。
三人舞が始まった。
♪ お風邪召すなと アッショット
耳まで着せて
聞かせともない オワラ 明けの鐘
三人の真ん中に小夜が立ち、穂香と菜奈が両脇に付いて
膝をつき、両手を小夜に向け、ひらひらさせ、
小夜が両袖を胸の前に摘まんで
決めをつける。
拍手が待っていたように自然に湧き上がった。
お囃子の音が静かに鳴り響く。
三人の位置が変わった。
真ん中に菜奈が立ち、両脇には小夜と穂香が詰めた。
唄無しで、三味と胡弓の音が冴える。
やがて、おわらの閉めの唄が始まった。
♪ 誰の思いか アッショト
月影騒ぐ
何故に寂しや オワラ 三味の音
〆の舞が続いた。
続いて後囃子がはいった。
♪ 越中で立山 加賀では白山
駿河の富士山 三国一だよ
会場から唱和する者もいて、賑やかに、おわらの幕を
引いた。
古都の徒然 小説・京の鐘の・・
私の今回の小説の最大の欠陥は オワラと言う、珍しい
音曲と、舞に、こだわりがあるので、
オワラ好きな方にはたまらない魅力のある物語でも・・
難しい話ですね。
実は、
もう何年も前に、現地で親しくなった八尾の方と
交流があり、今も年賀状交換が続いて、
何度も出かけていて、何いつ頃からか、私に小説で
オワラを書いて欲しいと言われ、
時代劇の小説では刊行しているのですが・・・
生きている内に何とか、現代小説を書きたいと思って
いたのですが、既に八尾を書いた作品があるので、
私は場所を京都に移した物語を書くことにしたもの
です。
抑々、八尾のおわらを見たことのない方には
まったく興味が持たれないのも当然で、時代小説の時は
今より、
多いいいねを頂いていたものですが・・(#^.^#)
古い話です。
でも、だから、どうしたってことですよね。
完全に自己満足の作品なので、何とか話を大きくして
最終を飾るつもりです(笑)。
なので、
これからも頑張って書き上げたいと思っています。
少しでも気になる方は最後までお付き合いして頂ければ
嬉しいです!(^^)!