古都のブログ小説 京の鐘958 

 

 

   

   奈菜と小夜は残った二枚のうち、奈菜が決めたものは

   裾に小菊が描かれた地味な作品に、

   小夜も京に関係ない初冬の日本海の荒波を描いたものを

   取り上げていた。

 

 

 

 帯はともに家から持って来た自分のものを使うことで

   折り 合った。

 

 

 

 その後、暫くコーヒータイムを続け、志乃の体調が戻る 

   と、さっそく、試着をして、その出来具合を確かめ

    あった。

 

 

 

  ここで、やはり穂香の帯が着物の絵柄と帯の釣り合い          に、幾らかの異論が出たが、穂香かが押し切り、

    何とか仕上がった。

 

 

 

 この後、地方衆の出演交渉を依頼し、新しい歌詞は明日、 

   現場で渡し、問題があれば、話し合うことで、

   纏まった。

 

 

 

 また、秋山も明日の着付けにも、都連の役員らのお手伝い

   を依頼すると、全員、顔を赤らめながらも、

    二つ返事で請け負った。

 

 

 

 明日は本番前の2時間前に、会社のロビーで落ち合う

   ことも申し合わせ、この後、本橋らの帰りをホテルの

   玄関まで皆で見送り、全員、どっと疲れが出て、

   口も利くまもなく、ベッドに倒れ込んだ。

 

 

 

 翌朝、志乃の体調異変が分かり、持ち合わせの投薬を

   施して、様子を見ても回復の兆が診られず、

   不安に思った小夜が秋山へ電話をしたが、繋がらず、

   会社へ電話すると、秋山も体調不良で、直ちにT大病院へ

   緊急入院していることが分かった。

 

 

 

 朝食もそこそこに、

 志乃を含め全員がT大病院へ向かった。

 

 

 

 日曜は休診日で診察は無く、志乃は緊急入院した秋山に

 付き添うことも出来ず、途方に暮れた。

 

 

 

 番組DRから、志乃へ電話があり、秋山が番組に出演出来

 ないことを告げた後、志乃にはぜひ、出演して欲しい

 との要請があった。

 

 

 

 志乃に代わって、小夜が志乃の病状も悪化し、

 現在、T大病院に来ていると伝えると、担当DRが絶句し、

 言葉を失っていた。

 

 

 

 志乃は薬を服用すれば、

 何とかなると言って元気ぶったが、傍から見ても、

 とても舞える状況ではないことは目に

 見えていた。

 

 

 

 責任感が強い志乃の気持ちは分かるが、今は舞うべき

 ではないとの小夜の説明に、無言で肯くだけで

 あった。

 

 

 

 奈菜や穂香らが、このまま病院にいても、埒が開かない

 から、急ぎ京都へ帰り、府立病院で診てもらい、

 場合によっては入院も必要との説明に、涙を浮かべ、

 無言で肯くばかりであった。

 

 

 

 その内、

 会社の制作部のスタッフが駆けつけ、秋山の病状の確認と

 共に、志乃の病状を聞き取り、急ぎ本社にいる部長の

 指示を仰ぐと、小夜ら三人へ穴埋めの出演依頼が

 舞い込んだ。 

 

 

 

 志乃は当直医へ緊急患者として、診察をして、

 入院が必要なら、お願いしますと伝え、返事を求めると、  

 まもなく、

 「急ぎ、診察室への来訪を」

 との話があり、三人の付き添いで、日曜当直医の診察を

 受け、休養のための一時入院を許可してくれた。

 

 

  

     古都の徒然 小説 古都の鐘の・・

                作者の独り言・・

 

   

 現在連載中の小説 京の鐘を

 御覧頂いている方はほんの少人数で、とても、

 皆様から

 愛されている作品とは言えないかと思います。

 

 

 それは、仕方の無いものと諦めていますが・・(-_-)。

 

 

 それでいて、私がこの作品をなかなか終りにできない

 のは、

 多分、私がこの作品を・・と思いつつも、

 愛しているからだろうなと思っている気がするからで・・

 

 

 物書きには

 一つの作品はみな我が子のように可愛くて、

 その行く末が楽しみでもあるから、日々、心を籠めて

 書いているつもりなのですが・・

 

 

 何と言っても、私が生きている限り、

 日々書き綴っている小説も私と共に活きていると思って

 いるので・・

 

 

 終わらせるのは、寂しいですが、

 それ以上に、こんな作品でも、愛読されている人がいる

 かぎり、

 どこかに我が子を愛してくれる人のことを思い

 何とか、

 素敵な結末にもっていく努力はして行かないと・・

 

 

 こうした考えになったのは

 初出版された作品の出版記念会で編集長が

 この作品は・・氏の素晴らしい我が子となって、

 巣立つていくことは間違いありませんと話されたことで

 

 

 当時、あの言葉は重かったですね。

 

 

 確かに我が子はいませんでしたが、代わりに私が書く子

 がきっと大きく巣立っていくとの言葉は

 私たち夫婦の

 大きな糧になったことは間違いありません。

 

 

 なので、当分はもう少し頑張って、一人、一人の行く末を

 書いていきますね。

 

 

 今少し頑張ってみますので、御愛読頂ければ嬉しいです。

 

 

 明日は作中登場人物のお話です・・(#^^#)

 お楽しみにね・・

 

 

 追記 

 

 

 都内で闘病されている櫻さん、今年は上京して、

 また、会えたら嬉しいです(#^^#)。

 その時、いつものように、読後感が聞ききたいです。