古都のブログ小説 京の鐘931
「未だ、自分が何をしているのか、分からんのだよ」
秋山が力のない声で、ぼそっと口を零した。
医師とナースたちが一斉に動き出した。
何度も、秋山に目覚めましたね、とか、意識はあるのです
ね、などと早口で、問いかけていた。
ナースたちが基本的な医療作業を始めた。
いずれも、見慣れたもので、ここで、志乃たちの誰もが
秋山の覚醒を確信していた。
感極まった志乃が涙で潤んだ目で、秋山を無言で
見つめるだけで、
何も言葉にならないのを認め、小夜がこれを引き取って、
作業の邪魔にならないように、少し離れた所から、
手際よく、昨夜からの出来事を説明し、
志乃が、この間、どんなに、先生を心配していたかを
付け加えると、秋山が黙って自由の利く手で志乃の手を
握った。
「そんなことがあったのか。まさに不徳の至りだな。
皆に心配かけて、悪かったな、そして態々東京まで、
4人揃って見舞に来てくれたのか」
ぼんやりした目で志乃に声をかけた。
だが、胸が詰まって、何も言えない志乃に代わって、
小夜が更に続けた。
「今朝、来た時も、先生の意識が戻らず、手の施しようが
無かったので、志乃姫ちゃんが京都から持ち込んだ、
京都・新・おわらのCDを流しながら、
ベッドサイドで、舞っていたのよ」
秋山が小夜の言葉尻を手で止めて、せき込むように口を
開いた。
「君に言われて、今、分かったが、私も実は夢か現(うつつ)
か、分からないままに、
志乃のおわらの唄らしいものが、耳元で響いているのが
微かに聞こえたのだよ」
「ほんま・・」
志乃がようやく、小さく口を差した。
「そうなんだ。あまり意味は分からなかったが、
なんとなく、志乃が私に何かを叫び続けてくれている
ように聞こえたのだよ」
「嬉し・・」
それまで、蒼白だった志乃の頬に、ようやく紅が咲いた。
日頃、饒舌な穂香も、気丈夫な奈菜も何も言えず、
ただ、秋山の言葉に耳を傾けていた。
「自分でも、どうして、こんなことになったのか、
わからんのだよ。たぶん、過労からのことかと思う
のだが・・」
志乃には秋山の掠れた声が咽んでいるようにも聞こえた。
「未だ、余りしゃべらないで・・」
医師が軽く制止た。
「患者さんに、同様させないために静かにしてください」
ナースの言葉に穂香が素早く口を差した。
「そないなことを言わはっても、せんせの意識を取り
戻したんは、志乃ちゃんの唄声と、おわらの舞のせい
なのだよ」
言っている穂香の目から、また、大粒の涙が溢れ出て、
医師らを固まらせた。
古都の徒然 嵐山へ行きたいなー・・
京都歴史研究会を随分前に解散してから、
秋の恒例紅葉狩りに出かけることがめっきり減ってしまい
映像も古いものばかりで、
新しいものを撮ってこようかと思うのですが、
歳のせいですか、行きたい嵐山に足が向かないのです。
大宮から嵐電に乗って行くこと自体、疲れそうで・・・
今では以前、撮ったビデオを見るだけで、ほっとする
のも侘しいもので・・
なにしろ、相方がいなくても、嵐山へ跳んで行ったのも
今となってはすべてが懐かしい思い出になっていて、
これから、
出かけるなら、絶対、一人では行かないぞっ、と思ったり
なんかして・・(笑)。
ところで、紅葉の名所でもある嵐山の
天龍寺は
嵐山を借景とした池泉回遊式庭園が国の特別名勝に
指定されていて、
嵐山で唯一つ、世界遺産に指定されている素晴らしい
庭園です。
書いているだけで、溜息がでそうで、
もう、一人っぼっちの嵐山行きはなんか虚しく・・
今年もやっぱり無理かな・・と(-_-)
写真がアップできないのが残念で、
いつか、アップできる日が来ると嬉しいのですが‥(笑)
やはり、
写真をアップさせることが出来ない嵐山行は足が
鈍ります。
生きているうちに、
もう一度、嵐山へ行きたいなーっ(#^^#)。
ただの若者の?戯言でした(笑)