古都のブログ小説 京の鐘914
それにしても、秋山の招きに応じて彼のマンションに
来て、奈菜や穂香の活躍を聞くと、安堵反面、
何かが心の片隅にしこりとなって疼いていたのも事実で
あった。
あの時、確かに素直に喜んでいたのに、何処かに何かが
固い塊となって身を苛んでいたのだ。
それが、つい、口にしなくても良い甘えた言葉が口を
ついて出た。
「せんせはうちが、こないなひ弱い身なのに、いつもと
変わらず、うちのこと、愛して下さってる」
「何を気にしているんだ。私が君への気持ちが変わるはず
がないじゃないか。そんな弱気な言葉が君には似合わない
ことを一番知ってる君なのに・・」
「嬉しいけど、うちには、男はんは病弱なおなごに、
心から好きにはならへんのかもと・・」
「心配しなくてもいい。私は君以外の女性に生涯、
しかも心を寄せることはないと誓えるよ」
「ほんと」
「勿論・・」
秋山が志乃の言葉尻を抑え、痩せた身をそっと引き寄せ、
唇を優しく重ねた。
志乃の右の目じりから熱いものが滴り落ちた。
「うちみたいな、一年中、入退院を繰り返す、子やけど、
未だ、せんせの恋人に選ばれているなんて夢のよう・・」
「私の方こそ、この世の人とは思えない美しく優しい子
からまさかにも、惚れて貰えるなんて、感無量だよ」
志乃が秋山の胸に頬を寄せた。
翌日、秋山が講義の前に奈菜と穂香を呼んで
「今の勢いを次に繋ぐために、１２月に白河流の初の
オワラの舞納めをするつもりだ。
家元には内々に伝えてあるが、すべては君たちの気持ち
次第と言っている。君たちはどうなのだ」
二人とも一瞬、耳をうがったが、事の次第を知ると
満面に笑みを浮かべ、即座に賛意を返した。
「まっ、時間はまだあるから、そのつもりで稽古に励んで
くれ」
秋山の重ねた言葉に軽く肯いた二人は手に手を取り、
足を弾ませた。
志乃は知ってはいたが、二人から聞かされたとき、
嬉しそうに頷いたが、
「うちも出られたら嬉しいのだけど・・」
気弱に口も籠った。
「大丈夫。それまで、ゆっくりと身を休めて、
体調を回復させれば間に合うと思うよ」
早口でまくし立てる穂香の顔も紅潮し、奈菜と共に
志乃を励まし、
「彩ちゃんや、小夜ちゃんにも知らせよ」
あくまでも前向きの穂香に参ったか、奈菜も口元を
緩め、一カ月先を夢見ていた。
古都の徒然 京は怖いかも・・(笑)
私が熱いものが苦手の典型的な猫舌なのですと、
何回か言ってきているの
ご存じの方も・・
私は子供の頃から熱いご飯や、熱いお味噌汁が苦手で
まったく食べられず、
母親を泣かせたことが始まりで、一人っ子だった為か、
母が気をつけて
私のご飯は少し冷やしたものにして
お味噌汁は
水を入れて暖かい程度のものに代えてもらって
頂いていましたが・・(*´Д｀)
ところで、京都も相当、変わったことも有って、
もしかして、
全国でもあるのかもしれませんが・・
京の料亭や和食店などでは、
お酒料理が終わりに来ると、〆に熱々のご飯が運ばれて
来るのですが、
これが考えられないほど、
細いお茶椀に小さく詰められたもので・・
これがまた、
信じらんないほどの熱さで、また横に据えられた
お吸い物も蓋を開けると
暖房の効いている部屋でもほどの眼鏡が曇る代物で‥（笑）
しかも、
細いご飯茶碗の底には空気抜きの小さな穴が
開けられていて、
そんなくらいなら、もう少し熱さを調整すればよいのに
と思いますが、
それは野暮の極みなどと・・"(-""-)"
で、このため、まったく知らない方が
お茶碗があまりに熱いので
水を入れてお茶漬けにしようと細いお茶碗に
入れると、
たちまち、底から熱いものが漏れて出て、
テーブルに
盛り上がって来て、
次いで、ぎゃーっの悲鳴と同時に細いお茶碗から
零れた熱いお吸い物が
膝の上に流れ込み・・(笑)
軽く火傷するほどの小事故が起きる様には・・ホント
ムカつきます。
客はみなさん知っている訳ではないのに、
ほどほどにしなよ‥と言ってやりたいくらいで・・
ことほど京には怪しげな魔物が住んでいることが
多いので
気をつけないといけません(笑)。
でも、実際は、客が他都市の方と知っていれば
お茶碗が熱いので気をつけてくださいねとか、
念のため
と、言って冷たいナプキンをおいていくことも
有りますので・・
今年の春に来客を連れて入った店では
私が常連なので、
お願いしますねと断りを入れての接待なので、間違いは
ありませんが・・
でも、
出来の悪い俄か和食店では何が起きるか分かりません
ので気をつけてくださいね(笑)