古都のブログ小説 京の鐘898

 

 

  

 志乃の意識がはっきりしたのは府立医大の救急救命室に

 入った時であった。

 

 

 

 

 明らかに疲労の蓄積のような肩の重さが気になった。

 

 

 

 

 担当医は主事医ではなかったが、志乃の状況をよく理解し 

 ていたようで、

 次々と新たな検査と同時に適切な対応策が行われ、

 体調回復に努めてくれた。

 

 

 

 

 わずか30分程度だが、

 素早い対応が志乃にある種の自信を齎せてくれた。

 

 

 

 

 何も考えていない時でも、志乃は確かに何かしら、

 先の見込みを常に探っていたたことが

 意識のどこかで無理を犯していたのを把握しては

 いなかったことだ。

 

 

 

 

 思えば、そうしたことが積み重なり、

 時には異常なほどのリアクションが生まれていたのだ。

 

 

 

 

 医師から

「それも一つの原因かもしれない」

 との返事もあり、何か予測外のことが発生すると過剰に

 反応する気質が、

 大きな騒ぎを引き起こすなら、

 以後の対応に気をつければ穏やかに収まる可能性が

 考えられ、気が幾らか楽になった。

 

 

 

 

 それと、常に志乃の側にいて、医師の気づかないことを

 助言する看護師の福井麻由子の存在も

 大きかった。

 

 

 

 

 また、志乃の身の安全に無償で尽くしてくれる

 中井恵美や里中緑ら級友の存在も忘れてはならない。

 

 

 

 

 同時に、

 自分が気づかない内に救いの手を差し出してくれる

 仲間がいることに深く感謝していた。

 

 

 

 

 一方、志乃の急病で突然、お濃の身代わりになった

 穂香は始めこそ緊張して身を固くしていたが、

 あちこちから、

 穂香を力づける声が飛び交うようになると、途端に、

 いつもの癖が飛び出した。

 

 

 

 

 近場で声を上げてくれた同級生に

「おう、ありがと。わらわはお濃・・志乃姫様の代理で

 あるがな」

 などと気軽過ぎる対応に観客から笑いが一斉に上がり、

「こんどの濃姫様は随分とお気楽な方で・・」

 等の声にも満面に笑みを浮かべ、

「みな、大儀じゃ」

 などと、俄かお濃にすっかり満足して、右に左に手を

 振り撒き、

 笑いと喝采を浴びて得意満面であった。

 

 

 

 

 秋山は急ぎ、康則を呼んで穂香に、もう少し口を慎み、

 品格のあるお濃になるよう伝えると、

 気落ちしたように俯いて、肩を震わせ涙を零し、

 康則を慌てさせた。

 

 

 

 

 脇にいた菜奈が穂香に声をかけ、

「ここでは、いつものようなお気軽な言葉は控え、

 いっそ、笑顔だけで、いいのでは」

 との助言を耳にすると

「そうか、いつものように返事は止めて、笑顔と手を振る

 だけでいいのか」 

 との軽い乗りの返事に唖然とする菜奈を尻目に、

 次々と声がかかると、

 笑顔満載にして手を振り返し、またまた人気を

 独り占めにし、

 奈菜も康則も、何も言えず引き返した。

 

 

 

 

      古都の徒然   祇園祭の生放送・・

 

 

 

 

 昨夜のNHKの祇園祭特集を見ていて、近年、すっかり

 現場へ出向くのが、おっくうになっていて、

 忘れていたことが思い出されたり、初めて知ったこと

 など感動と驚きの、

 2時間の時の流れを忘れてしまうほど楽しかったです 

 (#^^#)。

 

 

 

 

 でもね、

 関西局が生中継番組を仕切るには、

 明らかに実力足らずで簡単なミスの連発が

 痛々しい限りで・・

 

 

 

 この為、出演者たちが

 いささか、気の毒に見えるほど、上がりっぱなしが続き、

 昨夜は悪酔いする者も出たのではと

 楽屋話が予想できるほど

 豊富で・・(笑)。

 

 

 

 ボヤキ話はこの辺にして、

 本当は教えられたこともたくさんあり,見ていて驚く

 ものや感心するものも、あって、

 番組が出来上がって行く楽屋裏を見せてしまったこと

 だけは、

 多分、悔いが残ることでしょうが・・。

 

 

 

 それにしても、祇園祭の奥深さは他国のものと

 比較する

 ことが無理なので、

 全国の皆様にはきっと良い場面だけ覚えてくださって

 いることかと思います。

 つづく・・

 

 

 ※ 私はいつも、自宅からアルミの脚立を持って行き

 警察の大型バスの横に立て、撮影していました(笑)。

 ただ、

 わたしは強度の高所恐怖症なので、階段は1段だけしか

 登れず・・(笑)。

  つづく・・

 

 

 

 

 京都市民としては、BSであっても、プライム・タイムで

 2時間も放映してくれて

 本当にありがたいことと感謝の気持ちは間違いなく

 ありました。

 

 

 

 やはり、こうした特集番組での生中継の

 難しさを知らされた関係者には、一言、ご苦労様と声を

 かけたくなるほど幸せでした(#^^#)。

 

 

 

 私も知っていることの一つは祇園祭の開催町内の

 辛さがよく分かって・・

 そして、それを救ってくれる他の町会の協力が

 あってのことなど、

 嬉しくなることもテンコ盛りで・・・

 

 

 でも、何と言っても、昨年、156年ぶりで復活した

 鷹町は

 囃し方の材料が全くなく、各町から譲ってもらったり、

 唄の練習にも、立ち会ってくれた町があったり、

 嬉しい連携にほっとします。

 

 

 更に、

 わすかな町民で復活させたものの、

 山鉾の大きな車輪を創る資金がなく、田町の古い車輪を

 譲って貰っての復活劇であったことなどは

 まったく知らなかったので、

 本当に驚きました。

 

 

 

 私はてっきり、全国からネットで基金を求めて制作した

 ものと思っていたので、

 啞然としたもので・・京都人の性格の悪さをよく言われ

 ますが、

 そんな人ばかりではありませんよ(笑)。

 

 

 おかしな(笑)話が本物と思われても、気にすることもなく 

 笑っていた町民たちですから・・

 凄い町です。

 

 

 

 それと如何にも京の様子がうかがい知れる話として

 山鉾町で

 戸数が20件と小さな町があり、

 毎年、

 町民が寄付を求めて集めた資金で運営した来た町に

 マンションが建って、

 おまけに入居したの住人の協力で、

 ロビーに飾り物を見せる場所が出来、寄付集めの役員も

 マンション住民の協力があってのこそと・・

 

 

 

 うちの町は町会費から、協力金を払っていますが

 こうした相互互助の精神は

 しっかりと住民に受けらいれられていて、京の町衆を

 笑いものにしないでくださいね(__)。

 

 

 ただ、何処の町にも新興宗教の信者さんの中には

 寄付金には反対の方もいて、

 町会から脱退している方もいます。

 

 

 

 

 わたしの町は無理に町民でなくても、市政・府政などの

 関係書類は

 町が責任を持って支えています。

 

 

 

 なので、新興宗教の信者さんはどうでも、とけ合う気が

 無く・・・こればかりは仕方ないですね。

 

 

 

 そうそう、もう一つ面白い話が出ていましたよ(笑)。

 

 

 

 町内には商店や企業が沢山あって、

 今はどの企業も協力して、本番の宵宮などでは

 企業の女性社員が出て、賑わいを醸し出していたとの

 ことで・・(#^^#)

 

 

 

 大企業も、地元住民との交流に、いいことがあっても

 悪いことは、ほとんどないらしく、

 中には役員が町会の役員として協力し、

 仲良く声を上げていました(笑)。

 

 

 

 そして、当然のこととは言え、

 国宝の祇園祭を大切に継承していく京の町衆の心いきを

 買ってくださいね(笑)。