古都のブログ小説 京の鐘899 

 

 

 

 御苑内アナンスの担当者が駆けつけて来て、

 今の状況を秋山から簡単に説明して貰えないかとの話で、

 今少し待ってくれと言い差して、

 泣きじゃくる穂香ら身近な者と舞台にいる舞姫たちを

 励まし、

 受話器を持ったままの看護師の指示に従い、

 次々と応急対策を次々と取っていった。

 

 

 

 

 志乃の心境を考えれば、おのずと知れたことである。

 今は何より冷静になることだ。

 無駄に騒いで良い結論になるはずもない。

 

 

 

 

 志乃の心臓を止めてはならないことが全てであった。

 

 

 

 

 やがて、遠くから、救急の悲鳴に似たサイレンが自然に

 耳に入った。

 

 

 

 

 秋山がふと、腕時計をみると、未だそれほど時は

 経っていない。

 

 

 

 

 もしかして、

 今までに体験した志乃の病状の変化の中で、救われる

 可能性が断トツに合ったものだ。

 

 

 

 

 秋山も、この思いに至った時、勝った。

 との思いが胸の奥底からせり上がって来る事態が飲み

 込めて来た。

 

 

 

 

 堺町御門にいた警護班から

「車が向かって来ています」

 舌を噛みそうになりながらも、両の手を頭上で大きく

 交錯していた。

 

 

 

 

 「道を取れ! 」

  秋山が冷静に蛮声で、指揮を執った。

  白い影が堺町御門にちらっと姿を見せた。

 

 

 

 

 車を通す道が、あっという間に広がりを見せた。

 大粒の砂利道が、

 ひゅうひゅうと鳴きを上げながら近づいて来た。

 

 

 

 

 舞台に居た者が少しずつ降りて隙間を作った。

 

 

 

 

 身近にいた緊急救命士の三人が回りを囲み、

 志乃の開けた胸元を隠した。

 

 

 

 

 救急隊員が後部のドアを開け、ストレッチャーを取り

 出して、浮かせたまんま舞台に上げた。

 

 

 

 

「数値に移動はありません。いくらか落ち着いてきて、

 マスクは外さず、私たちが志乃姫に寄り添います」

 看護師の麻由子が遠慮なく、思いを口にした。

 

 

 

 

 救急隊員が手早く麻由子の差し出す経過報告をチラと

 見て、軽く肯き、志乃の体を抱き上げた。

 

 

 

 

 穂香が背伸びして羽織を志乃胸に被せた。

「付き添う者は誰か」  

 救急隊長が問いかけた。

 

 

 

 

「何人まで宜しいでしょうか」

「最大三名だ」

「では私と、救急救命士の二人が乗り込みます。

 走り出しても、心臓マッサージを止めません」 

「了解した」

 敬礼に応え、三人とも、揃って腰を折った。 

 

 

 

      古都の徒然 祇園祭宵宮(宵山)

 

 

 

 写真をアップできないので、今年もカメラ無しで街へ

 出向く。

 

 

 

 祇園祭で最も好きなのはこの夜の宵宮です。

 

 

 

 なにより、

 本番の猛烈な熱さが宵宮では、人いきれはするが

 直射日光が無いだけましなので・・(笑)

 

 

 

 

 出かける所は、どうしても長刀鉾で、

 毎年、籤は取らず、一行の先頭と決まっていたからで、

 あの長い長刀で塵芥を払い、

 疫病が拡散させないとの願いを込めて

 一番になっているので・・

 

 

 

 この縁起にあやかって長刀鉾の粽が最も売れるわけで・・

 

 

 

 

 一人っきりで生活している者でも、数えきれない人込みの

 中で、人に揉まれていると

 不思議と孤立感が無くなり、なんとなく、

 足取りも軽くなったみたいで・・

 

 大好きな鉾です!(^^)!

 

 ですが、鉾近くへ来ると、毎年、止まらないで・・の

 声がやたら大きく響き、これで止るかなと

 見ていると、

 写真を撮る方は警官の前でも、足を止めシャッターを

 押しています・・(笑)。

 

 

 

 私だって、と、撮った映像をブログに乗せられないの

 では、今年はどうすることも出来ず・・

 我慢するしかない訳で・・

 

 

 

 今朝は、熱すぎるほど熱く、これから始まる山鉾巡行

 に参加する引き手の疲れが分かり

 気の毒なことになりそうで、少し心配です。

 

 

 

 引き手の多くはボランティアで、毎年参加する外人さんも

 いて、面白いのですが

 日本の夏の蒸し暑さは国際的で

 倒れないことを祈るばかりです!(^^)!。