古都のブログ小説 京の鐘897
甲高い悲鳴があちこちから上がった。
秋山が馬から降りて、舞台に飛び上がった。
後方にいた二人の救急救命士も同時に舞台に上がって、
志乃の身を抱き上げた。
看護師が酸素マスクを持って来て、志乃の鼻と口に
被せる
旧型の用具を手早く取り付けた。
「誰か、至急、救急車を回すよう電話をかけろ」
康則が傍に来て
「救急車に直接繋がる番号をせんせ、ご存じですか」
言うと同時に激しく咽た。
「知っていたが、スマホに打ち込んでいなかった。
大失敗だ」
救急救命士の一人が無言のまま、スマホを掛けた。
呼び出し音のあとすぐ、救急車専用の直電が繋がった。
秋山が受話器を代わり、
名前と自分が何処にいるかを告げた後、
大至急御苑内にある特設舞台へ来て欲しい。
志乃が突然、倒れ、状況はかなり厳しいので、
可能な限り最短コースで来てと、
早口で一気に言い切った。
志乃を囲んでいた警護班や、救急班員がポカーンとして
見入っているばかりで、秋山の次の言葉が跳んでいた。
「こちらの病理状況を看護師から説明させます」
と、言って、日々教室で志乃らの列の真後ろにいる三人
組の一人の福井麻由子に代わった。
「現在の病状を申し上げます。パルスは96と下がり始めで、
この先、94を目指しています。
心拍は42と、極めて弱く、30代に入りそうで焦ってい
ます。血圧は上が158 下が99と高いですが、
熱は平熱です。
今、何をしたらよいでしょうか」
麻由子も
精神的に追い込まれていることが手に取るように分かる。
「しっかり、して・・みんなが君に頼っているのだ」
秋山がひと息をついたあと、
「現在酸素マスクをつけていますが、このあと、
心臓マッサージをさせますが、何か注意事項があったら、
今言ってください。
そして、車は今、どちらから発車していますか」
秋山が矢継ぎ早に指示など応答を繰り返した。
急遽、舞台を寝台代わりにして、客席から差し出された
座布団を敷き布団代わりにし、
小さな物は枕にして、臨戦態勢を手早く作り上げた。
次いで、
リンゲルが取り付けられ、秋山も何とか救命が出来たか
と少しは安堵した。
この間、康則には詰めかけて来る野次馬と、
遠くから走って来る報道陣に規制を掛けるよう指示し、
同時に女性たちに
志乃の周りを取り囲み、背を向けさせ、
志乃の体形が他に見えないように
狭く囲ませた。
男子も舞台近くで警護する者は押し寄せる人波を必死に
止めようと、中腰になって構え始めた。
古都の徒然 理解不能な災害策・・
今回の豪雨で家を失ったり、倒壊した家とともに、
押し流されるような悲惨な状況が
相変わらず、各地で起きていますが、私がいつも不思議に
思うのは、
どうして、あのような悲劇を毎年、毎年、繰り返される
のか・・・と
単純に言えば、
川はいつか氾濫するのに、なぜ川の傍に住んでいる
のか・・
大量の雨が降り続けているのに、なぜ事前に避難され
ないのか・・
不思議でならないのです。
山の裾野や川の土手近くに、または、海の傍に住む方は
何を信じて、
そんな危険地帯に住まわれるのか・・
災害が起きる可能性の高い、いわゆる建造物の危険地帯を
売ってはいけない、
住んではいけないとの緩いが一応、法案があるのに、
何故、事故が毎年、続くのか・・
理解できないのです。
どうして、そんな
命にかかわる危険地帯に住み続けているのかも
分かりません。
災害を未然に防止するには、危険地帯に住んでは
いけない
強制力ある法案の元で暮らせないのか・・
無いとしたら、これは明らかに行政の弛緩が原因となる
もので、すぐにも対策を立てないと
また、
大雨になると、今回同様なことが繰り返され・・
資金不足なら、無利子で融資するべきではないのか。
役所や政治家は何故こうした基本的な
防止策を立案して、人の命を危険にさらす現状を
黙認しているのか・・・とも
それにしても
我が国は小さな国なのに、全国に孤立するのも
当たり前の家々が
何か起きるたびに悲惨な現場になるのに、
何も手を打たず、
死者や行方不明者・・そして、怪我人を出す治世は
どこか間違っているとしか
思えないのです。
22年前の今世紀、最大の地震が起きた町々に
新たな生活をするため、
新しい家が建てられているのも不可解な思いが募る
のです。
住んでいたら、いつか、来た道で、またまた大震災に
襲われる可能性がある場所に
新たに家を建てる無謀さに・・適切な言葉が見つかり
ません。
どうして、そんな危険な場所が安全だと思うのか、
分からないことばかりで、
このままでは、何十年に一度、悲惨な状況が再燃する
可能性があることは間違いないでしょう。
我が国は国際的に見ても、安全な国と言われいるのに
毎年、繰り返される
この悲惨な状況をどうして改善しようとしないのか・・
わたしには、
到底理解できないことばかりなのですが・・"(-""-)"。
今回の災害で落命された皆様には心より
哀悼の意を表します。