古都のブログ小説 京の鐘890 

 

 

 いつもなら、秋山の姿を見つけたら、誰よりも早く、

 跳んで来るはずだが、そ

 の時は何故か、ゆっくりと足音もたてず、やって来て、

 息苦しそうに眉を顰めた。

 

 

 

 

「大丈夫か、額に汗をかいているが・・」

 

「そんな、大それたことはありませんが」

 

「だが、少しは息遣いが荒いだろう」

 

 明らかに、今朝の様子と面立ちも緩く、何かしらの

 シグナルを放っていたのかも知れない。

 

 

 

 

 秋山は看護師と救命士を急ぎ、呼んだ。

 

「そんな大げさなこと、せぇんでも、うちはうちを一番、

 知ってますぅ」

 むきになる志乃の赤ら顔が色っぽく見えた。

 

 

 

 

「念のためだ。直にあの子らに測ってもらううのが、

 今の君のお仕事だ」 

 秋山の少し語彙が強いのに気づいた志乃がそれ以上に逆ら 

 う姿勢を取らなかった。

 

 

 

 

 やはり、

 自分でも、体調がベストでないことは分かって

 いたのだ。

 

 

 

 

 だが、それを今更言ってどうなるものではない。

 

 

 

 

 秋山の性格なら、一つでも、危険な要素が見えれば、

 即、退任解除へと結びつくはずだ。

 

 

 

  

 志乃は、もう、ダメかとジタバタするのを諦めた。

 

 

 

 

 看護師と二人の救命士が顔色を変えて跳んで来た。

 

 

 

 

 その頃、出番待ちを聞いた穂香や奈菜らが固まって、

 何やら相談事をしていたようで、救命士らが跳んで

 来たことを完全に見失っていた。

 

 

 

 

 中には、それぞれが南門の壁を背景にしたり、小さな

 森を取り込んだりしてカメラを撮り合い、

 甲高い笑い声をあげて、

 はしゃいでいた。

 

 

 

 

 秋山が、こうした自由で伸び伸びした姿を見るのは

 いつ以来かと、少し懐かしさと共に、

 感傷的になる自分に

 呆れてもいた。

 

 

 

 

 志乃のひと指し指にパルスを取り付けた瞬間、あっと

 いう、驚きの数字が飛び出し、

 悲鳴に近い声を立てた。

 

 

 

 

 なんと、初見で94と、考えられる数字の中で最も重い

 症状を来しているのに気づくと、

 更に悲鳴が上がった。

 

 

 

 

 流石に、それまで賑やかに騒いでいた、穂香らが一斉に

 志乃の居場所を目で探り、特別臨時救急車の中へ

 眼をやった。

 

 

 

 

 秋山が何かを言っている様子が、ただならぬ状況がすぐ

 に知れた。

 

 

 

 

 声が出ないのか、幹部クラスの6人が全力で向かって

 走って来る。

 

 

 

 

 事態は更に深刻となり、志乃の病状が危険ラインに

 達していて、

 とても時代祭りに出演出来る状態ではない。

 

 

 

 

 秋山はある時点で覚悟を決めなければならないことを

 思い出し、愕然として、暫く声も出なかった。

 

 

 

         古都の徒然   読書三昧の・・

 

 

 

   未だ、秋でもないのに、最近、妙に読書がしたくて、

 毎日、

 昼となく、夜となく、何かしらの本を読み回し、

 久しぶりに読書三昧を楽しんでいます(#^^#)。

 

 

 

 ただ、

 宗教哲学などは、昔と変わらず、睡眠薬いらずで、

 気が付くと、朝を迎えていて・・(笑)。

 

 

 

 あとは、何度も読んでいる医学書で、初めて読んだ

 ような錯覚さえ覚え、人間の記憶力の衰えとは

 悲しいものですね。

 

 

 

 まさか、私がこれほどボケが進んでいるのかと、

 知ると、がっかりしますが、より難しい本が意外に

 覚えがあって、

 少し意味が分かりません。

 

 

 

 学問的なものは大事ないのに、お気楽に読める本は

 まさかの、まさかで、

 もう少し、はっきりさせないと、この先、

 私は誰でしょう・・と

 なったら、確実に認知症と言われるらしく、

 そんな日が私に公平にやって来るのなら、どうしようかと

 つい、先走ってしまい・・

 

 

 

 なぜか我が家には医学書が想像以上にあり、

 長い年月、薬の無い日が記憶にないほど、薬石に頼って

 いて、

 もっとも、この為に、服用する薬石の多さに、

 胃を痛め、

 何をしているのかと、自分に言い聞かせるなんて

 打つ手がもありません。

   ※

 医師に言って何年も前から胃腸薬を服用していますよ。

 

 

 明日こそ、元気になりたい・・と

 毎晩、祈っていませんが・・何とかなるでしょう・・と

 

 さっーて、と、

 今夜は何を読むか、それが問題です・・(*^_^*)