古都のブログ小説 京の鐘

 

 

 

 いつもなら、秋山の姿を見つけたら、誰よりも早く、

 跳んで来るはずだが、その時は何故か、

 ゆっくりと足音もたてず、やって来て、息苦しそうに

 眉を顰めた。

 

 

 

 

「大丈夫か、額に汗をかいているが・・」

 

「そんな、大それたことはありませんが」

 

「だが、少しは息遣いが荒いだろう」

 明らかに、今朝の様子と面立ちも緩く、何かしらの

 シグナルを放っていたのかも知れない。

 

 

 

 

 秋山は看護師と救命士を急ぎ呼んだ。

「そんな大げさなこと、せぇんでも、うちはうちを一番、

 知ってますぅ」

 むきになる志乃の赤ら顔が色っぽく見えた。

 

 

 

 

「念のためだ。直にあの子らに測ってもらうのが、今の君

 の仕事だ」 

 秋山の少し語彙が強いのに気づいた志乃が、それ以上に

 逆らう姿勢を見せなかった。

 

 

 

 

 やはり、自分でも、体調がベストでないことは分かって

 いた。

 

 

 

 

 だが、それを今更言ってどうなるものではない。

 

 

 

 

 秋山の性格なら、一つでも、危険な要素が見えれば、

 即、退任解除へと結びつくはずだ。

 

 

 

  

 志乃は、もう、ダメかとジタバタするのを諦めた。

 

 

 

 

 看護師と二人の救命士が顔色を変えて跳んで来た。

 

 

 

 

 その頃、出番待ちに穂香や奈菜らが固まって、

 何やら相談をしていたようで、

 救命士らが跳んで来たことを完全に見失っていた。

 

 

 

 

 中には、

 それぞれが南門の壁を背景にしたり、小さな森を取り

 込んだりしてカメラを撮り合い、

 甲高い笑い声をあげて、はしゃいでいた。

 

 

 

 

 秋山が、こうした自由で伸び伸びした姿を見るのは

 いつ以来かと、少し懐かしさと共に、

 感傷的になる自分にも

 呆れていた。

 

 

 

 

 志乃の、ひと指し指にパルスを取り付けた瞬間、

 あっという、驚きの数字が飛び出し、悲鳴に近い声を

 立てた。

 

 

 

 

 なんと、初見で94と、考えられる数字の中で最も重い

 症状を来しているのに気づくと、

 更に悲鳴が上がった。

 

 

 

 

 流石に、それまで賑やかに騒いでいた、穂香らが一斉に

 志乃の居場所を目で探り、特別臨時救急車の中へ

 眼をやった。

 

 

 

 

 秋山が何かを言っている様子が、ただならぬ状況を

 すぐに知れた。

 

 

 

 

 声が出ないのか、幹部クラスの6人が全力で走って来る。

 

 

 

 

 事態は更に深刻となり、志乃の病状が危険ラインに

 達していて、

 とても時代祭りに出演出来る状態ではない。

 

 

 

 

 秋山はある時点で覚悟を決めなければならないことを

 思い出し、愕然として、暫く声も出なかった。

 

 

 

     古都の徒然 智積院の青葉まつり

 

 

 

 青葉まつりは智積院の宗派の開祖の生誕を祝う

 まつりで

 毎年、6月15日に開かれているものです。

 

 智積院本堂前の大門

 

 

 わたしが大好きなのは

 この青葉祭りの日だけ、全山、無料開放されていて、

 新装なった素晴らしい宝庫に

 安土桃山時代に活躍した長谷川等伯の国宝の

 日本画が、

 ただで

 見られるので、嬉しくて・・(#^^#)

 

 長谷川等伯の楓図

 

 ここのは、レプリカなので写真が撮れるのです。

 

 

 大好きな長谷川等伯の

 国宝の楓図など迫力のある作品を見るだけの積もれり

 で、入ったのですが、

 新装なった宝庫は素晴らしく、環境に優しくて、

 薄明りの照明も見事に映えて、大作が手に取るように

 近くで見ることが出来て、

 大興奮でした。

 

 

 

 

 中庭も見事なもので、

 この部屋から、楓図のレプリカが見えるため、

 一つ部屋で、うちと外の二つの見ものがあるなんて・・

 よく考えたものです!(^^)!。

 

 

 

 それにしても、壮大な景観も、手の込んだ中庭も

 綺麗に掃き清められている参道も、

 すべてが一体となって迫って来る造りの旨さに

 ほとほと感嘆します(#^^#)

 

 

 

 

 途中で、頂いた資料ペーパーを、何処かに落とした

 らしく、出口で、これに気づき、

 元来た道を辿って行くと、なんと、散策の道の端に

 二枚揃って落ちていて・・

 まずは

 ほっと・・(笑)。

 

 

 

 

 私の家の宗派とは違いますが、等伯と縁のある町から

 来ていたので

 なんとなく、学生時代から、

 京都にくると、一度は宝物を見るのが楽しくて・・

 

 

 

 

 来年も体調次第ですが、多分、来ると思います。

 今度は

 誰かと一緒に来たいと思いますが、永遠に無理かと 

 思いますが、

 京都は遠いはるかな国かも知れませんね。

 

 

 

 でも、

 今年も雨模様との天気予報を見事に破って、清々しい

 お天気になり、

 誰かさんと一緒で、私の晴れ男の運が未だ、続いて

 いるようです(笑)。

 

 

 ※

 実は前日の小説の誤植があまりにもひどく、

 急ぎ加筆訂正してあります。

 でも、

 今日の原稿を読めば済むことですが・・・(笑)