古都のブログ小説 京の鐘862

 

 

 

 その日、

 癒しのテレビの時間前に客席が入れ替わると、

 突然、

 出雲からやって来た女子大生が志乃宛てに豪華な花束を

 持って来ているとの知らせが入った。

 

 

 

 送り主が出来たら志乃に直接、手渡したいとの

 意向だったので、

 医務室で安静状態にしている志乃が今一度、

 舞台に戻るのは可能かとの思いに対して、医局では

 リモートでの検査状況から無理との答えが

 出ていたのだが、

 秋山はどうしたものか即答が出来なかった。

 

 

 

 とりあえず、医務室にいる救急救命士を呼び出して、

 女子大生に説明させることで、

 折り合いが付き、秋山も何とか乗り切るつもりで

 あったが・・

 

 

 

 

 このまま、安静にしていても、この番組が跳ねたら、

 志乃は府立医大へ運ばれるので、

 その直前でも、少し合わせて、やっても良いかもとの

 思いと、志乃がせっかく遠くから来て抱いた方の

 お気持ちを無視するのも辛く、少しでも会いたいとの

 意向が最終決断を躊躇わせた。

 

 

 

 後ほど、体調の具合をみて、合わせることもありうる

 状態にして、

 番組を正常に戻し、改めて検討することにした。

 

 

 

 

 このような変則的な処置をとったのは、

 偏に数字である。

 

 

 

 実は志乃が顔出しをしていた時のラジオが過去最高の

 15%を超えていて、

 会社のスタッフらの歓喜の渦が満ち溢れているとの

 知らせが届いていたからだ。

 

 

 

 テレビやラジオが弾き出す数字は魔物で何より評価が

 高いことが、すべてでだ。

 

 

 

 

 本日の志乃の市場価格は最頂点に達しているのだ。

 

 

 

 

 前日の特集番組・京の新・おわらの街流しの訴求力が

 抜群であったことの証明でもあった。

 

 

 

 それだけに志乃が医務室へ入ってから、時間と共に

 客離れが続き、

 10%を切る状況で、ほんの少しでも、志乃が登場する

 ことが必要になって来たのだ。

 

 

 

 秋山は正直、数字をそれほど信用していないのだが、

 始めから少ないなら仕方ないが、

 顔出しすることで、数字が跳ねるものなら、

 多少のことは目を瞑るのが

 この業界の常識だ。

 

 

 

 しかも、苦衷の判断だが、志乃の意向も尊重しないと

 悲しむのは志乃なのだ。

 

 

 

 秋山は最愛の人を金儲けの為に、

 無理強いだけは避けたかったが、予想通り、話を聞いた

 志乃は積極的に自ら出たいとの意向を

 申し出て、

 この舟に乗らざるを得ない自らの立ち位置を

 恨めるものなら、恨みたかった。

 

 

 

     古都の徒然 京都御所の櫻・・

 

 

 

 

 

   京都御所の庭園に咲く枝垂れ櫻

 

   

   一昨日の雨の一日と違って、

 昨日は早朝から日差しが眩しいほどの好天で、

 こんな日は

 日課の繁華街散歩も楽しくて・・(#^.^#)。

 

 

 

 こしてみると、何度も同じことを書いていますが、

 日々、京都が観光客で賑わっていることを実感すると、

 なぜか嬉しいですね(笑)。

 

 

 

 更に、日々、マスクを外す人が増えているのも、

 なんだか、早くも夏到来の雰囲気まで

 聞こえて来るようで・・

 足取りまで、軽くなります。

 

 

 

 でも、

 その前に何年振りかで、京都御所の櫻を堪能して来たい

 思いもあって、少々微妙・・

 

 

  御苑の櫻

 

 あそこは自転車で行っていた日々が懐かしく

 過ぎ去りしの思いが湧きあがり、

 自転車で出かける気力も無いのが口惜しく・・

 

 

 御所で咲く枝垂れ櫻

 

 わたしはもう

 若くないのだと思い知らされる悔しさが邪魔をして、 

 バスで出かけるのも

 口惜しく・・

 

  御苑に咲く染井吉野櫻

 

 

 只今、

 御所が公開されていて、平安の都の絵模様を見るような

 優雅な舞など、色々な催事があり

 それを

 見るのも楽しいのですが・・

 

 

 

 行きたい気持ちはあるのですが、バスの混雑を思うと

 足が遠のくばかりで・・

 

 

 

 やはり、

 思い出は大切にしまっておくものなのですかね。