謹告

 

  本日午前9時より、いいねをご遠慮させて頂きます。

 

 

 

     古都のブログ小説 京の鐘858

 

 

 

  看護師が志乃の人指し指に、これを取り付けた。

  一瞬の間があった。

  覗き込んでいた救命士が指から引き抜いた。

 

 

 

 秋山が駆けつけて来て計器を受け取り、数字を確認した。

 

 

  

 

 96で、

 ぎりぎり、正常値内に入っていた。

 

 

 

 

 と言っても、ここが正常値の底なので、

 ここで無理すれば、ドクター・ストップとなるので、

 際どい数値ともいえる。

 

 

 

 

 このパルスオキシメーターは入院経験がある方なら、

 ご存じかも知れませんが、

 血管の中にある酸素の溶解度を図るもので、

 この数値が沈んて行くと、

 危険ラインに入り、

 応急手当では素マスクが必要となります。

 

 

 

 

 コロナ全盛時には保険所から借り出していましたが、

 あっという間に数が足りなくなり、

 大騒ぎとなったものです。

 

 

 

 

 特に心臓疾患がある方は

 毎日、回診の際に測るので、志乃も携帯していたが、

 街流しの折に、

 理事長宅に置いて来たので、手持ちが無かったが、

 看護師と救命士は常に携帯していて、

 素早く測ることが出来たものだ。 

 

 

 

 

 まだ正常値範囲内だが、気を付けるに越したことは無い。

 

 

 

 

 秋山が素早く、志乃を抱き上げ、

 特設舞台から降りて、迎えに出て来たストレッチャーに

 乗せ、医務室へ運ばれて行った。

 

 

 

 

 CMに差し替えられていた時間も過ぎていたので、

 映像を止めて、

 すぐ視聴者から届いたコメント紹介に

 うっつた。

 

 

 

 

 穂香に届いていた横浜の常連さんから

 昨夜、初めて見た志乃姫様の歌謡日舞の美しさに、

 見とれ、半分以上嗚咽していて舞が見られなかったので、 

 良かったと喜んだ途端、

 体調を崩していると知り、また、胸が痛みます。

 

 

 

 

 志乃姫様の様態が良くなりますよう、

 祈っています」

 穂香が読み上げると、同時に賛意を込めた拍手が

 贈られた。

 

 

 

 

 次いで、菜奈が選んだコメントを紹介する寸前に、

 投稿者が会場にいる東京からやって来た学生と

 知って

「東京の志乃姫ちゃんのフアンさんが、

 この会場にいられるようですが、手を上げて頂けますか」 

 との声に従って、

 後方の立見席の一列目にいた可愛い女の子が、

 おずおずと手を上げた。

 

 

 

 

 羨ましさと、

 憎らしさが入り交ざった拍手と歓声が上がった。

 

 

 

 

「では今から読みますね」

 奈菜の言葉に身を捩って

「あの、恥ずかしいので、読まないでくれると嬉しいのですが」 

 なんとコメントの読み上げを辞退する旨の言葉に、

 会場からとんがった、どよめきが渦を巻いた。

 

 

 

     古都の徒然 いい値の中止について・・

 

 

 

 昨日も、いいねの返信が辛くて、肉体的にも、

 精神的にも

 もう、持たなくなりましたので、当分、いいねをお休み

 しますね。

 

 

 

  午前9時からいいねをご遠慮させて頂きます。

 

           (__)