古都のブログ小説 京の鐘856

 

 

 

  秋山は朝食をゆっくり取り、

 10時頃に府立大病院へ見舞に出かけることにした。

 

 

 

 

 志乃は今回の舞台が京都で最も賑わう繁華街の街流し

 とあって、成功するか否かは予測できる、

 ものではなかった。

 

 

 

 しかも、

 京で最も繁栄している商業地区とあって、人出も多く、

 映像環境に不満はなかった。

 

 

 

 だが、志乃は無理の効かない我が身の弱さに涙したが、

 喝采を受ける資格があったのか、

 との思いが交錯して、眠りも浅く、半睡半眠であった。

 

 

 

 そんな、

 志乃を癒してくれたのは秋山の存在の重さであった。

 

 

 

 ともかくも、

 全コースをなんとか務め終えたことで、少しは責任が

 果たせたかと思えたのは、秋山から

「君の存在の大きさを改めて思い知らされたよ。

 繰り返すが、君は充分過ぎる活躍をしてくれたんだ。

 わたしは、君に感謝するばかりなんだ」

 

 

 

 

 

「そないなこと、言わはったら、うち、身の置き所が

 見つかり、まへんえ」

 いつもの京ことばが志乃の本気度が伝わり、

 秋山は病院にいて、

 もしも、傍に誰もいなかったら、きっと、

 あの細い身を、

 しっかと抱きしめてやりたいとの思いが瞬時、

 脳裏を駆け巡っていた。

 

 

 

 

「だから私の言葉を素直に信じなさい。君は何も恥じる

 ことなど、ないのだから、

 胸を張って、かまわないのだからね。むしろ、

 変な責任感などで自分を責めるのだけは止めて欲しんだ。 

 わかるよね」

 

 

 

 

「おおきに、さんどす」

 志乃はほんの少しだが、迂闊にも、予期せぬ甘えた

 言葉遣いが飛び出して、熱くなった頬に

 手を当てた。

 

 

 

 

 秋山が本音を語っているに違いないとの思いが

 沸き上がって来ると、

 知らぬ間に、涙が一筋、頬を濡らしていた。

 

 

 

 

 志乃は小さな胸のうちを知られては、いけないと

 下唇を軽く嚙んでいた。

 

 

 

 この後、秋山は食事を一人で、のんびり済ませ、

 久しぶりに朝風呂に入り、透明感のある湯舟から見える

 東山を眺め、至福のひと時を過ごした。

 

 

 

 

 昼にはいつものT店の会議室で、

 食事をとりながら、

 昨夜の映像の仕上がり具合を見てから最終構成を経て、

 特集番組に関する意見を集約し、

 了とすることにした。

 

 

 

 

 この会議には奈菜や穂香の他に、彩とN大の小夜に

 仲間の11人も顔を揃え、賑やかな

 会話が飛び交った。

 

 

 

 

 あれもやれば、とか、これも撮って欲しかった等などの

 無駄な会議に見えて、

 案外的を得ているものもあって、白熱した。 

 

 

 

 

 初めて参加した小夜たちは、

 ひたすら聞き耳を立てて、額に油汗を浮かべているのに、

 奈菜と穂香が何事か話し合っていたのが

 目についた。

 

 

 

       古都の徒然 余計な・・

 

 

 

    最近のように気温の落差が激しいと、体調を維持管理

 する能力の無さに我ながら、がっかりする

 日があって、

 若さって雰囲気だけでなく、なんとなく、気合の入って

 いる様子が見て取れて、

 ある意味、感心することが多々あります。

 

 

 

 

 殊に、女子高校生だと思いますが 

 粉雪舞い散る極寒の日でも、よくご両親が許してくれた

 ものと感心するのはウルトラ・ミニ・・・

 

 

 

 

 それも全員、素肌のまんまなのには、本気で死ぬんじゃ

 ないかと、

 余計な、老婆心?があふれでて・・(笑)

 

 

 

 

 でも、

 気持ちだけ心配しても、決して口には出しません(苦笑)。

 

 

 

 

 そんなとき

 口に出したら、かえって罪深くなるので、

 絶対に禁句ではありますが・・

 

 

 

 

 それにしても、どうして、あんなに寒い恰好をして

 繁華街を歩けるのか・・

 

 

 

 

  その気合の入れ方は何処から来るのか・・

 進学試験のまっさい中にもかかわらず、よく頑張れる

 ものがあるかと・・

 

 

 

 

 ある意味、マジ、感心するものではありますが、

 そのくせ、

 繁華街へ来る女子高校生の皆さんの

 アツい思いだけ頂いて、こちらはブルゾンの上に重ねた

 分厚いコート姿で歩いているのに

 少し、

 引け目を感じるのは私ひとりかも知れませんが・・。

 

 

 

 

 これを

 大きなお世話と言うものなのでしょう!(^^)!

 時代に追いつけないのも、

 辛く感じるのは、若さを失った、ひがみでしょうね。