古都のブログ小説 京の鐘850

 

 

 

 それまで、黙って聞いていた河野が

「皆さんのお言葉、有難く受け取って頂きます」

 しゃらっと口にする河野に全員が拍手で応えた。

 

 

 

 

「少しほめ過ぎかも知れないが、君も旨くなったものだよ」  

 秋山が少し茶化すように口を差すと、

「それなりに、私も年季は入っていますので」

 河野が素早く返したので、また、笑いと拍手が交錯した。

 

 

 

 

「それにしても、常務、いつも、ここで皆さんと、

 ごろ寝をしているのですか」

 年季の入った川野の物言いに、穂香や菜奈が顔色を

 変えた。

 

 

 

 

「でも、経費の件でしたら、スイート・ルームは格安料金

 なので、お得なのですよ」

 高瀬彩が口を返すと

「料金のことは別にしても、常務が教え子の女の子と

 一緒に、ごろ寝をするのはいかがでしょう」

 河野の追及の手が緩まない。

 

 

 

 

「なら、君だけ別の部屋をとるか」

 秋山が口調を改め厳しく返した。

 

 

 

 

「そんな問題ではないのですよ。やはり、一般の社会では

 通用しないことかと思うのですが・・

 これは一般社会の規範に抵触しませんか」

 

 

 

 

「大丈夫だよ。私はここで一泊することはなんだから」

 

 

 

 

「あっ、そうなのですか。私はてっきり若いお嬢さんたち

 と一緒に過ごすのかと思い・・それは失礼しました」

 素直に詫びた。

 

 

 

 

「私も煩わしいことはないのだが、今夜はみんなと

 一緒にニュースを見るつもりで、

 同室していたのだが、別室を取った方が君も

 眠れるかもよ」

 

 

 

 

「そんなつもりで言ったわけではありませんが、

 確かに常務のおっしゃるとおり、別室の方がいいかも

 知れませんね」

 河野の口調がしっかり変わっていた。

 

 

 

 

 菜奈が室内の受話器を取り、

「せんせの、室とは別に、もう一部屋お願いしたいのです

 が・・大丈夫ですか」

 見事に話を引き取った。

 

 

 

 

 菜奈のひと際、冴える物言いに、他の者たちも、

 あまりのことに、

 口が緩むのを必死でこらえていた。

 

 

 

 

「河野さんのお部屋はここの一つ下の部屋が取れました」

 穂香は古都の成り行きの速さに開いた口が閉じず、

 呆然と菜奈の顔を見つめていた。

 

 

 

 

 菜奈はいかにも当然との態度で、川野を送り出し、

「せんせは今少し、いてくださいね、

 明日の番組の打ち合わせを済ませたいので・・・

 志乃ちゃんが出られるか、どうかも、知りたいので・・」

 もう、

 完全に菜奈の独走であった。

 

 

 

    古都の徒然 今年の大河ドラマの・・

 

 

 

 昨夜の大河ドラマは

 歴史的には無理があり過ぎですが、ドラマとしての

 展開は見せる山場をしっかり取り、

 見終わったあとには、家康の無茶ぶりを別として、

 中々のもので、

 お正月に言った最低悪の大河ドラマとして

 批判しましたが

 視聴者を引き付けるドラマの展開には一本、取られた

 感じの出来でしたね(笑)。

 

 

 

 

 あそこまで、家康をコケにした優柔不断な気質の

 男として描いては、

 笑わざるを得ないのですが、

 面白くさえあれば、充分との進行に慣れると

 あまり気にしなくなるかも

 知れませんね。

 

 

 

 

 大河を歴史ドラマとして見るのではなく、

 娯楽作品として見る分には何も問題はありません

 ので、これは

 これで良いのかもと・・(笑)。