古都のブログ小説 京の鐘  

 

 

 

 やんやの喝采に出迎えられ舞台にそろって立ち、

 感謝の礼を尽くし、

 タイム・オーバー無しに撮り終えたことに秋山も本気で

 志乃に感謝の意を伝えた。

 

 

 

 

 涙目の志乃が何か言いたげに、

 口を開きかけたが、またも穂香が志乃の手を引いて

 楽屋へと導いていた。

 

 

 

 

 穂香が何かしらを気ずかったのか、

 それにしても、いかにも、あからさま過ぎて、

 聊か不快ではあった。

 

 

 

 

 番組は終了したが、

 200人の舞姫たちが最後の舞をしたいらしいとの

 知らせが田中から入ると、

 志乃は別として、穂香らも賛成したらしく、

 秋山の指示もないまま、

 舞台と客席に作った花道と新京極でも南北に分かれて

 舞う手筈が伝えられた。

 

 

 

 

 すると、

 志乃が悔しそうに顔を曇らせ、さっと背を向けた。

 

 

 

 

 志乃の舞いた風情がその背にあったが秋山はこれには

 反対し、

「もっと自分を大切にしないといけないよ。

 君一人だけの君ではないのだからね」

 秋山の声に、力なく肯いたところに、

 それまで何処にいたのか、志乃の母の志保と弟の蒼汰が

 楽屋に顔を見せた。

 

 

 

 

 他にも医師や看護師らも、

 同時に顔を見せ、全員が顔をほてらせ、

 挨拶もそこ々に

「嫌―っ、良いものを見せて頂き、本夏、

 最高の一夜でした」

 志乃の主治医の高辻が言葉を尽くして志乃を

 ほめちぎった。

 

 

 

 

 志保が幾重にも御礼の言葉を繰り返し、狭い楽屋も、

 束の間、ことのほか賑わった。

 

 

 

 

 その内、地方衆が帰り支度を止めて、

 学生たちの懇願を引き取り、もうひと舞するのに

 付き合うこととなった。

 

 

 

 

 会社のメンバーも、もう少し照明や音響を引き受け、

 さっそく、舞うこととなった。

 

 

 

 

 これを知った観衆が慌ててかけて戻って来た。

 

 

 

 

 穂香が鼻の頭に汗粒を乗せて帰って来て

「志乃姫ちゃんはお休みしてね」

 穂香が一人で差配し、満面の笑みを浮かべて舞台へ

 戻って行った。

 

 

 

 

「せんせ、うち、もう一つの歌謡・おわらを舞って

 はいけまへんか」

 小さく囁くように話すと、医師団が先ず反応し、

「こればかりはいけませんよ。

 もう、志乃ちゃんの

 行動制限時間は過ぎていて、本来なら、私たちと

 一緒に病院へ戻って、

 安静にしていなければならないのですから・・」  

 笑顔ではあったが、

 やはり医師は患者を診る目は間違いなかった。

 

 

 

 

 秋山も、即座に同意して、志乃の願いを叶えなかった。

 

 

 

 

 肩を落とした志乃が、

「うちは、おわらを舞っている時が一番、

 気持ちが晴れやかになるのに・・やはり、うちは幸せ

 遠い女なのですね」

 泣き出しそうに顔を曇らせた志乃に秋山も高辻も

 本気で慌てた。

 

 

 

            古都の徒然 体調不良で・・

 

 

 

   本日の徒然は体調不良でお休みいたします(__)。

 

 

 

   熱はそれほどではありませんので、明日には

   復帰できると願っています。

 

 

   

   何しろ、京の寒さは呆れるほどで、

   この寒さを凌げはなんとかなるはずで・・

 

 

  

   皆様も、お気をつけ、くださいね。