古都のブログ小説 京の鐘837

 

 

 

 一時間の長帳場で、

 二・三の手違いも発生はしたが、

 進行は滞りなく運び、

 大学生の舞姫たちも、明らかに立ち上がりから

 比べると、手筋に慣れたか、一糸乱れぬ調和が取れだし、 

 チラホラ、

 見え隠れする偵察に来たか芸妓連の扇子の揺れが

 乱れだし、遅れを取ったか、少しずつ、

 後ずさりする姿が見え隠れ

 していた。

 

 

 

 

 秋山は京における舞の立場の趨勢がとって変わる

 瞬間に立ち会ったような錯覚にとらわれ

 目を瞬いていた。

 

 

 

 

 二列の先頭を務める穂香と菜奈が河原町通まで

 来たとき、二人は左右に向きを変えた。 

 

 

 

 

 後列が大きく揺れた。

 奥行きが狭くなり、より観客との親近感が湧くことで、

 表情がよくわかり、

 より身近になった。客席から、どっと歓声が上がり、

 拍手が後に続いた。

 

 

 

 

 次の曲に変わると、

 今度は穂香と菜奈が南北に入れ替わり、

 また、ひと際、盛大に拍手と喝采に包まれ、

 おわらも最高潮を

 迎えていた。

 

 

 

 

 舞姫たちも疲れも見せず、足取りも軽く舞続けた。

 

 

 

 

 一方、新京極と寺町通を流している舞姫たちも、

 入りきれない観客からの悲鳴と、

 喝采とが交錯し、

 警護組の男たちもお手上げの状況に陥っていた。

 

 

 

 

 現場中継をしていた、

 地元のM社の河野アナも悲鳴を上げ、混乱状況の酷さに

 恐怖さえ覚えていた。

 

 

 

 

 秋山が迎えに来た警護班の田中の案内で、

 現場の端に姿を見せると、にわかに拍手が上がり、

 緊張状態が幾分、収まった。

 

 

 

 

 音曲を止めさせ、秋山がマイクを取って

「只今は大変な混雑で皆様にご迷惑をおかけし、申しわけ

 ありませんでした」

 その声に被さって、また歓声が上がった。

 

 

 

 

「もう少し経てば、志乃姫が舞える状況になるはずで、

 それまで、観客の皆様も蛸薬師通のように全員、

 腰を降ろしての見学にさせて頂きます」

 

 

 

 

「意義ナーシ」

 との声を上げたのは、田中ら警護班で、この発生で、

 緩々ながら観客が腰を降ろし始めた。

 

 

 

 

 すると不思議なことに、

 あれほど押し合っていた騒ぎが引っ込み、

 舞姫たちも安堵の思いが伝わって来て、どちらも歓喜の

 続きが生まれてきた。

 

 

 

 

「では、ここで、舞姫たちも汗を拭くため、

 今から編み笠を外させますので、盛大な拍手でこれを

 お迎えてください」

 との秋山の発声で、またまた盛大な拍手が舞姫たちを

 励まし、暫しの休戦が成立した。

 

 

 

 

 水を取るもの、あふれる汗を吹く者が笑顔満載で、

 全体の異常な状態から解放され、

 とりあえずは一段楽と

 なった。

 

 

 

      古都の徒然 音楽が・・

 

 

 

 映画や、テレビドラマなどの影の主役が音楽である

 ことを皆様、ご存じでしたか。(#^^#)。

 

 

 

 ドラマが進行中流れるサウンド効果は照明の比では

 ないことは、もう、誰もが知っていますよね。

 

 

 

 私は子供の頃を別として、

 お芝居での効果音の音楽であることは、

 舞や芸能などの中で、音楽の占める割合がかなり

 高くなっていることは皆さま、ご存じかと

 思います。

 

 

 

 私の劇団の効果音は府立文化芸術会館にある音声から

 引き出したものに加えて、

 音響では自分たちが制作した音響が効果的で、

 芝居の進行をしっかり支えてくれていることは

 舞台上からも良く見えた

 ものです。

 

 

 

 うちの劇団で使われていた音響は私が日頃から

 懇意に

 していた若い女性のヴァイオリニストの

 哀愁を帯びた

 旋律の良さが知れ渡ると、

 使用許可を求める劇団がどっと増えたもので(#^^#)

 下手な台詞よりはるかに訴求力があり、

 自分達が使用するのに、困ったことがあったほどで・・

 

 

 

 

 ところで、

 私は作品の中で、悲劇的なシーンには、より哀愁を

 帯びた旋律にしてあり、

 これは私が落ち込んでいる時はより悲しみが漂う

 演奏曲を聴く気質から思い浮かんだもので・・

 

 

 

 

 皆さまはいかがでしょう?

   嬉しいときは楽しい楽曲を、悲しいときは

 思いっきり、

 悲しいものを聞くとなんとなく、絵ずらが旨くまとまる

 気がするのですが・・

 どうでしょう・・(笑)。

 

 

 

 昔、

 失恋した時は中島みゆきのマイナーの唄か一番と

 聞いたことがありますが

 案外、共通している気もしますが・・(笑)。

 

 

 

 

 音楽って、この世で永久に無くてはならない文化の

 一つかと信じます。