古都のブログ小説 京の鐘836
プログラムは穂香と小夜の大車輪の如く、
汗を振り乱しての熱演で、やんやの喝采を得て順調に
運んでいた。
ここで、秋山はとっさに、
舞台の背後にあった越中八尾の山並みと、
おわらの町流しの様子を立体的に描いた屏風を一旦、
引き下げさせることにした。
その後に、
用意してあった丸障子戸の使い道を急遽改め、
舞台中央の奥に据え、
裏表紙から照明を当て、逆光の絵柄を作り、
その真ん中に志乃の一人舞を
考えてみた。
あくまでも、志乃の体調の回復を待ってのことで、
その間、
回復が遅れるようなら、人気の高い、穂香とN大の
小夜の二人を先頭にして、
舞台から降りて、花道にしてあった幅2mの通路を
街流しの路面舞台にして、
20組200人の総舞をすることにした。
急ぎ、
警護班の田中康則と菜奈や穂香らの役員のほか、
三大学とN大の班長らを集め指示を出した。
秋山の突然の予定変更に驚いた撮影班や音声班に
照明班ら進行のADらを仰天させた。
準備に10分は、
かかるとの照明班からの申し入れに、
肯いた秋山は、その間を短い期間で腕を上げている
志乃らの教室の真後ろにいる中井恵美らに、
三人舞をさせることを告げた。
三人とも、
揃って顔色を変えた。
「せんせ、無理・絶対無理ですぅ」
と、半泣きになって首を振ったが、秋山がことを丁寧に
話し、加えて、
「君たちは、もう班長に等しい腕になっているから
心配はいらないんだよ」
との説明に、
三人が互いに顔を見合わせ、最後には出演することを
渋々承知した。
ただ、
三人とも緊張したか、顔色が悪いのが気になったが、
とりあえずは、
この方針で進めることに同意させ、舵を大きく切った。
混雑する花道を元のままに広げる必要があり、
3分のCM中に済ませねばならず、
スタッフを焦らせたが秋山には、大成功の笑顔で幕を
下ろすシーンが目に見えていたのだ。
急ぎ、小さな芙蓉の花柄行燈に火をつけ、
無理やり広げた花道の両脇に据え付け、幕開けを待った。
この間、
会場をあふれ出るほど埋め尽くした観客からの
インターでは、
「どちらからの・・」
との、ありきたりの質問に、全国からやって来た子たち
が圧倒的なのには返す言葉も
見当たらなかった。
閉会後に聞いたことだが、
当日、地元はこれほど大勢の観衆が来るとは
思いもよらなかったらしく、
みんなテレビで混雑ぶりを知り慌ててやってきた
者ばかりで、
立見席にも入れなかったのは近場の者ばかりであった
との話に、秋山は胸の内で舌打ちし、
「嘗めやがって・・」
微かに吠えた。
古都の徒然 朝ドラ異聞・・
脚本家が変わってから、舞の言葉使いに
不満な方から、
SNでバッシングが目立つようになり、これはまた、
笑止千万かと思います。
言論の自由を満喫している方々の多くはことの本質を
取り違えているような気がするのです。
これは一体どうしたものでしょう。
シナリオライターが変わったからと言っても、
ドラマの大筋は
すでに決まっているので、一人のライターが何かを
しでかすのは元々無理な話なのです。
三谷幸喜でさえ、本筋とは違う所で、うっぷんを
まき散らして評価を上げているもので、
大家のNHKがライターの無茶を認めるのは本筋外
だけの話なのです。
なので、
俳優へのバッシングは本末転倒で、遥さんには責任なんて
あるはずがないのです。
ここを間違えては福原遥さんがあまりにも可愛そ過ぎ
ます。
わたしは
今回の朝ドラでは子役のチビ舞ちゃんの旨さに仰天し、
いままた、遥さんの素人ぽくて初々しい演技も
素晴らしく、
感嘆しているもので、彼女あらばこその
芝居なのです。
なので、
私は全面的に彼女の頑張りに喝采を贈りたいと
思っています。
ただ
気に入らないのは、柏木の横柄な態度や、
尊大なもの言いいで、
あすこだけはもう少し、人間味あふれる台詞を振って
もらいたいものかと・・・
今一人の女性の言葉遣いの悪さにはがっかりで、
俳優を殺すに刃はいらず、
台詞の粗さが、まずさを更に引き立てるので、
言わされる俳優が可愛そうです。
もう少し、気配りをしてほしいものです。
でも、
この作品は多くの国民の皆様が大好きな作品になる
かと思っています(#^^#)。