古都のブログ小説 京の鐘825

 

 

 

 秋山は白河流の家元、白河沙織子に筆頭師範の沙緒と、

 志乃に奈菜、そして穂香らが肩を寄せ合い、

 束の間の自由を満喫しているように

 見えた。

 

 

 

 警護班の田中康則と新たに加わった同級生の

 救急救命士の佐野洋子が揃って

 顔を見せ、

 「夕食後、開始体制を立てるのに、必要な時間が、

 どれだけ取れるのか」

 との問いに、

 「最低でも番組開始30分までには、顔を揃えて欲しい。

 康則は原則、志乃の乗る輿を指揮するためと、

 始めに舞う志乃の警護に尽くして欲しい。

 佐野君も康則と行動を共にし、志乃の側から片時も

 離れては困る。

 ミニ酸素缶は常に身に着け、何かが起こったら、

 誰かの指示を待たず、最善をつくしてくれ」

 秋山の最終的な指示を受け、二人は早々に姿を消した。

 

 

 

 特設舞台の完成と、ミニ医療テントと、着替え専用の

 テントも仕上がっているとの報告があり、

 秋山らも食を急いだ。

 

 

 

 やはり本番に強い秋山らしく、事前に準備が間に合った

 ことで、あとは、

 本番前に各班長や責任者達への形式的な激励の時を

 待つだけになった。

 

 

 

 志乃への着付けは未だ、始まってはいなかった。

 

 

 

 志乃は幕開けでは他の学生と同じ着物を身に着けて

 一行の先頭で舞い、

 その後、特設舞台横横にセットされた更衣室へ向かう

 手順が出来上がった。

 

 

 

 この間の移動は新装なった、白木の輿に乗っての

 物々しさに、

 志乃は最後まで異を唱え、秋山を手古摺らせた。

 

 

 

 母の志保と弟の蒼汰が秋山の意を汲んで説得させたが、

 なんとなく、

 志乃が気の毒に思え、喜びは無かった。

 

 

 

 ひたすら、舞後の移動の負担を避けるつもりだったが、

 かえって精神的に疲れさせたようで、胸の痛みは

 取れなかった。

 

 

 

 「私は大きな過ちを犯してしまったのか」

 との思いが交錯し、箸をとる手が重かった。

 

 

 

 志乃のほか、いつもの穂香や奈菜に、他大学の幹部たち

 の食の進み具合も、芳しくなく、

 皆一様に無口になっているのに、嘆息が漏れるばかり

 であった。

 

 

 

 本番前の緊張感とは異なる重い雰囲気は、

 ひとえに志乃の体調を心配することと、慣れない

 輿での移動に、

 心を痛めている志乃の思いを斟酌してのことである

 のは目に見えていた。

 

 

 

 「せめて、うちぐらいが、志乃ちゃんの側にいて、何かと

 気をつけるなら、何とかなるのに・・・」

 との穂香の発言に、一同が一様に頷く有様に、

 秋山も流石に気が滅入り、家元の沙織子に目を向けた。

 

 

 

 「うちも、穂香ちゃんと同意見です。せんせ、どうでも

 志乃ちゃんを一人にさせる、おつもりで・・」

 この一言が決め手になった。

 

 

 

    古都の徒然   私が好きな街は・・

 

 

 

 私が京都で、

 もっとも好きな場所はと、問われれば、

 きっと新京極通と寺町京極通の二つの商店街を上げる

 ことでしょう(#^^#)。

 

 

 

 勿論、

 歴史的な場所や建造物も大切な場所ではありますが

 今は、そうした

 貴重な場所より、生活圏内にある二つの通が大好き

 なのです(*^。^*)。

 

 

 

 では、

 なぜ、この二つの通が好きかと言えば、

 二つの互いに向かい合う商店の屋根上から、

 覆いかぶさっている雨除けの全蓋が有るからなのです。

 

 

 

 この全蓋は

 元々、布で二つの店の屋根上で結ばれていたもので、

 今はFPに変わり、明るく、

 散歩コースとしている者としては、雨露が凌げる点だけ

 でも、とても有難い所なのです。

 

 

 

 また、

 冷暖房がいる季節には寒さ除けと、暑さ除けになって、

 好きになる前提条件がぴったり重なりあう

 からでもあるのです(*^-^*)。

 

 

 

 どちらも、近い所にあることが何より、幸せなのです。

 いつまでも

 この幸せが続きますよう・・と

 

 

 

 京都市内に、他の所にも、あるのかも知れませんが、

 生憎、私には遠すぎる所まで、

 バスに乗って出かける散歩が好きになるはずもなく

 散歩はあくまで、

 交通機関に助けられて行く所ではありませんので、

 この二つがもっとも近く、

 馴染んでいるから、到底、他の散歩ケースは考えられ

 ないのです。

 

 

 あるとき、

 担当医師から、鵜川縁などの散歩はどうでしょう

 と、言われたことが有りましたが、

 天然自然の環境では夏熱く、冬寒く・・(一一")。

 

 

 鴨川東側沿いの遊歩道は景観は抜群なのですが・・・

 

 たまに、

 犬の糞があったりして、とても、とても無理・無理・・

 第一、我が家から遠すぎます。

 

 

 なので、散歩が何も天然自然の世界が一番と言う、

 迷信に

 惑わせられることも無い分けで・・(笑)。

 

 

 後は、その街の人々が気の良い人達だけなら、

 なお最高なのですが・・

 何事も、欲張りはいけませんよね(笑)。