古都のブログ小説 京の鐘823

 

 

 

 だいたい、

 撮影部のカメラマンは拘り者が多く、何も芸術祭参加作品

 でも無いのに、

 拘りが熱くて、ロス・タイムが多すぎた。

 

 

 

 だが、

 これを見通して、参集時間を午前9時にしたことが

 幸いして、

 足を止める人がほとんど、おらず、顔を見せたのは

 地元商店街の役員や、その家族と関係者だけで、

 何も問題は無かった。

 

 

 

 中でも、

 街流しの一行を店先へ、招く商店では、おわらを舞う予定

 のチームと、気楽に談笑したり、早くも記念写真等を

 撮ったりして内輪だけで、おわらムードを

 盛り上げていた。

 

 

 

 また、

 街流しの先頭を切る志乃は衣装に、用意された着物に

 初めて袖を通したのだが、

 金糸銀糸で彩られた鶴と亀の絵も鮮やかな、

 西陣織の豪華絢爛な着物に、

 目が点になり、

 暫く声もなく、

 茫然として眺めているばかりであった。

 

 

 

 聞けば、

 この着物は白河沙織子が六代目家元に就任した、

 おりのお披露目の着物であったのだ。

 

 

 

 それを惜しげもなく、志乃に着せる沙織子の熱い思いが

 分るだけに、志乃も歓喜の声も喉に閊えて、

 暫くは言葉にならなかった。

 

 

 

 穂香も何か気の利いた言葉も思い浮かばず、

 ただ、ひときわ大きな声で、

 「凄い、凄い」の連発で燥ぐばかりであった。

 

 

 

 奈菜もひたすら深い溜息を漏らすばかりで、らしい言葉が

 ついて出なかった。

 

 

 

 着せ終わると沙織子が

 「着る子が着れば、

 この西陣も一段と冴え渡るから憎いよね」

 と、言って、志乃の肩をポンと打って、軽く睨む。

 

 

 

 「ごめんなさい。ちっとも知らひんかったもので、

 こんなん、着せてもろおても、うちは何を、

 どないすれば、

 ええのか、うちが今、何処にいてるのかも、

 分からひんほど、

 この美し過ぎるお着物に取り込まれていて、

 ほんま、怖いことどす」

 息も絶え絶えに言葉を繋ぎ、大きく息を吸い込んで目頭を

 指で押さえた。

 

 

 

 「慣れてくれば、裾捌きも、見事なものになるから、

 心配はいらないよ」

 

 

 「家元様、うちみたいな駆け出しが、こないな、ええもの

 着せて、もろうても、ほんまに、宜しおすのか」

 志乃が不安げに問いかけても

 「そないなこと、なーにも気にせんで、ええから。

 うちの白河流次期家元はんに、不足はないから、むしろ

 お着物の方がこないな、可愛い子に着てもろうて、

 かえって喜んではるよ」

 紗織子が元気づける言葉を乱発して、志乃の不安と、

 戸惑いを消し去た。

 

 

 

 「ほな、大きにさんどす。精一杯、気張らせもらいます」

 畳に正座し、頭を下げると、この俄か芝居に

 木が入った。

 

 

 

     古都の徒然 平安神宮神苑と・・

 

 

 平安神宮って私にとって、人生最大の記念すべき

 大切な

 思い出が残る大好きな神宮です(#^^#)。

 

 私の古い頃からの読者の皆様は、もう、何度も書いている

 ので飽きているかと思いますが、

 でも、何処かで、

 書かせてもらいますね(笑)。

 

 

  応天門

  

  写真は昔、私が撮った思い出のあるものばかりです。

 

  正面にみえるのは、平安神宮の正門の

  応天門です。

  

 

  ちなみに、

  平安神宮の内外の建物は全て重文指定に

  なっています。

 

 

  実は今年の秋こそ、今一度、平安神宮に

  出かけたいと

  思もっていたのですが、昨日は残念なことに台風来襲

  とのことで、神苑の

  一般公開が中止となり、がっかり・・(--〆)。

  

 

 白虎楼です。

 

 折り重なる屋根の美しさは、例え様も無い楼門です。

 

 京都の鬼門を護る建物で、右側には蒼龍楼がありますが

 カットしました(笑)。

 

 

 

 このような色とりどりの可憐な花々が一年を通して、

 咲き誇る

 神苑の美しさは格別のものが有ります。

 ※

 神苑は東西南北の四つ神苑に分かれています。

 

 あ・・・それにしても、

 行きたかったなーっ(-。-)y-゜゜゜。

 

 

 

  このような

  濁った水面から美しい花々を咲かせる水連の美しさも

  神苑ならばこそで・・・。

 

 

 

  この大きな池泉回遊式の池に架かる、

  泰平閣は私の大好きな所で、外から眺めるのも良し、

  泰平閣から眺めるのも良しで、

  いつも、

  束の間ですが、この景観に至福を感じます。

 

 

  こんな時はいつも、

  京都に住んでいて、幸せだなーって(#^.^#)。  

 

 

  このように住んで良し、見て良しの京のお宝の

  平安神宮は毎年、

  10月に京都三大祭のひとつ、時代祭りが

  行われますが、

  その時代祭りで織田信長公を演じて市中を闊歩し・・・

 

 

洛  

 

  馬上から

  眺めた嬉しさは格別でバスやタクシーで見る町並とは、

  まるで違う、

  異星に来ているような錯覚さへ、

  覚えたものです(#^.^#)。

 

 

  先ず、5月に配役が決り、その後から、

  次々と打ち合わせや着物の試着など準備が進み、

  殊に、馬上訓練があったのも嬉しいことで、

  少々の経験が有るので、

  実は私はお馬さんが大好きなのです♡♡♡!

 

  

  なので、馬上から配下を従え、市中を闊歩する幸せは

    信長公になって、こその最大の

  幸せでしたね。

 

 

  沿道を埋めた人々の中で、幼い子達が声を揃えて

  信長さまーと声を掛けてくれて、

  大感激・・

 

 

  あまりの嬉しさに、つられて、 

  思わず手にした白い房のある指揮棒を振ると、

  大歓声と拍手が涌き上がり・・・(^'^)。

 

 

  反対側からも

  こっち向いて―っと

  外人さん親子からも声が跳び、

  右に左にと手を振り続けた、あの至福の時は

  もう二度と

  無いのもしかた無いですよね・・・

 

  ※

  実はその後、二度も再出演の呼び掛けが有りましたが、

  ご遠慮しました。

  これが京都風なのです。

 

  

  一度でも、大役を頂けた、だけでも最高の一日に

  なったもので、

  しかも、平安神宮がその大行列の最終点地なので、

  やはり、

  平安神宮は

  私っに、とって最大の幸せな所になりました(笑)。