古都のブログ小説 京の鐘816
秋山が京都へ戻った29日の夜には、京都・新おわら
町流しの中継班が既にホテルに入っていて、
秋山をロビーで出迎えた。
一部は夜の現場の状況の視察と光源確認の為、
三条商店街の
関係者らとともに現場を見て歩いているとの事であった。
別の班は夕食前には新京極まで現場探査の下調べに
廻っていると言う。
流石、制作班はやることに間違いがない。
そのスケジュールを聞いていなかった秋山も、思わず
頬が緩んだ。
しかも、現場の中継所では、自社の女子アナの高宮沙也
香と地元M社の河野碧アナの二人も参加して、
現場の足取りを確かめているようだ。
いつもに似合わない、スタッフの肩の力の入れ具合が
見てとれ、満更では無い顔で、頷いて見せた。
ホテルの部屋から連絡を受けた志乃と穂香に奈菜の
三人が小鼻に汗を浮かべ、走り寄って来た。
「せんせ、出迎えもせず、ごめんなさい」
との志乃の声にも奮い立っていることが一目でわかった。
「いや、その心配はいらないよ。
下着とシャツの着替えと、台本だけしか持っていない
から、身軽なんだ。
気を遣わせて、此方の方が有難うと言いたいほどだよ」
「せんせも緊張して、いらはるんですか」
穂香が茶々を入れる。
「それは未だ無いよ。だけど、後は当日に参加してくれる
予定の男子の人数や、名簿を誰か持っている?」
との問いには
「明日のドライ・スルーやゲネプロまでには連絡があるか
と思います」
奈菜が生真面目な表情で何気に返した。
「先ずは安心していいんだな」
「と、思いますが念の為、一度、連絡してみましょうか」
「出来たら、アバウトでもいいんだが、
当日の昼食と夕食の手配の為、知っていれば、それに越し
たことはないが・・」
秋山の言葉に即座に反応した奈菜が電話を入れた。
普通、
このような雑事は秋山のような常務取り締り役がする事
ではないが、東京では分からないことが
多々あるので、
少し気を遣っているのだ。
「明日は、当日の行動範囲と所要時間の確認が狙いで、
撮影班が何処で固定カメラを据え付けるか、
それと、何処かの店の二階からの撮影場所の確定が
問題なのだ」
秋山の言葉に三人とも声も出さず、静に頷いた。
古都の徒然 小説作法2!
昨日に続いて私の小説作法2を付け加えますね。
現代小説では時代小説より、
神経を遣わねばならない、いくつかの例があります。
私が現在、連載している京の鐘では青蓮院さんを
重要な場面に登場させています。
ここでは、割と旨く纏まっている思ってたら、
(一部は読み飛ばして欲しいカ所もあって時には目を
瞑って下さい)
のもあるので・・・。
不倫小説等で使うホテルなどの名前は原則禁止です。
※喜ぶラブホもありますが・・(笑)。
時には内容次第で、営業妨害に当たるケースも
あって、要注意なのです。
幸い、わたしはそのような作品は一本もないので
安心ですが・・・(笑)。
また、
レストランや飲食店なども、ストレートでの表現では
気をつけないと困る場合があります。
特に、
食中毒が発生した店や、客との紛議がある店なども
辞めた方が得策です。
京の鐘の場合では
舞台となる大学では場所を、ほぼ書き込んでいる為、
京都の方なら、
即、何処の大学かは分かるはずです。
別に迷惑をかける内容ではないので、
分かっても良いのですが、学内の地図のような記事は
見送ったほうが良いのです。
実在する企業でも、大学でも、何かを企む人には校内
地図のような見取り図は遠慮した方が
問題が
発生した時、困ることがあります。
なので、詳細な表現を避けるとともに、
部屋の構図なども、遠慮した方が安全なのです。
昔、出版した作品で病院名は隠したのですが、
登場する院長さんが有名人で
少し、心配したのですが、事前に了解を得たので、
なんとか、アップしたのですが、
でも、ヒロインがその病院で亡くなって、
少し気まずいことに・・(-_-;)。
また、登場人物で本名が同じ人がいては何かと、
難しい問題があり、
出来るだけ見当たらないような名前を取り入れている
つもりですが
実は、今回の小説で、同名の女の子がいたのです。
しかも、
登場人物の中で、とても重要な人物で、書いている内に
何となく、
見覚えのする感じがあったのですが、
どうしても、誰のことか思い出せずにいたので、
気をつけて書いていたのですが、
ある時、
偶然にも彼女の名前が分かり・・・唖然!
で、急に会いたくなりましたが・・(笑)。
今頃どうしているか分かると嬉しいのですが(#^^#)。
もう、
彼女も40代の中半のはずですから、お子さんも
おられる事でしょうし・・。
その昔、
テレビドラマのヒロインの名前と私の小説のヒロイン
の名前がまったく同じで、
これを教えてくれた子たちが直ぐに見抜いて、
言い当てられたのには
参りました(__)。
これは私が好きだと言っていた女優さんと同名だった
のを覚えていたもので、
油断禁物を肌で実感したものです( 一一)。
しかも、この小説は当時、好評発売中で、
恥ずかしくって・・
何事も、安易と油断は禁物ですね(-_-;)。