古都のブログ小説 京の鐘791

 

 

   救急車には奈菜が一人付き添いで乗り込み、

   穂香は不平たらたらだったが、

   そのあと、秋山は通りに出て、タクシーを止め、

   穂香を伴い救急車を追った。

 

 

   いつものICUへ直行し、

   ドア前で立ち尽くす奈菜へ声をかけると

   「志乃ちゃんの声の小さいのが気になって」

   奈菜には不似合いなほどの気の弱さを見せた。

 

 

   「そりゃ、あの発作で声が出せるだけでも、

   めっけもんだ。

   今は口を利くのも辛いはずだ」

 

   秋山の言葉を聞き終らぬ内に、

  穂香が奈菜に抱き着き、二人揃って子どもように

  泣きじゃくった。

 

 

  秋山はそんな二人を残して、

  ナース・センターへ足向けると先方から

  足早にやって来た

  顔馴染みの病棟看護師長が

  「せんせ、驚かれたかも知れませんが、

  幸い、担当医が帰宅する前だったので、直ちに検査に

  入ったようです」

 

  「それは有難い・・なんとしても、あの子を助けて

  遣りたくて焦りましたが・・」

  正直な思いをストレートに告げると

  「せんせだけでなく、ここでも、第一報で顔色を変えた

  子らが何人もいて、

  センター内も大騒ぎになって、中には、

  目に涙を溜めて歯を食いしばる子もいて・・」

 

  との思いもよらぬ言葉に、

  秋山も不覚を取りそうになったが、なんとか踏ん張り、

  声も無く、

  暫し首を垂れて謝意を示すだけで精一杯であった。

 

 

  「高辻せんせも、

  自分の患者さんと言う関係だけで無く、

  可能な限の当てをしているはずです。取りあえずは、

  今暫く待って下さいね。何かありましたなら、

  声をかけますので・・」

 

  看護師長が足早に去って行った。

 

 

  奈菜と穂香が泣き濡れた顔で、足取りも重く、

  ふらふらとやって来た。

 

 

   二人とも目元を紅く染めていた。

 

 

  「暫くは、中に入れる状況ではないだろうから、

  ロビーへ行って、

  冷たいものでも飲んで待つか」

  秋山の誘いで三人揃って足を元へ戻した。

 

 

  途中、奈菜が

  「せんせ、志乃ちゃんのお母さんへ電話して

  いいでしょうか」

 

  穂香が秋山の返事も待たず、

  素早く、スマホを取り出し、呼び出しをかけた。

 

 

  業務は確か終わっているはずだが、

  中々電話口に出ない。

 

 

  「何かあったのかしらん」  

  穂香が気の弱い声で呟いた。

 

 

  「もう一度、かけてみて」

  秋山が声をかけると同時に、今度は奈菜が

  短縮番号で呼び出しをかけた。

 

 

  呼び出し音が三度鳴ったとき、ようやく繋がった。

   

   

    古都の徒然 変な体力・・(-_-;)。

 

 

    テレビで人は生涯、20本の歯がないと

  長生きしないとか・・

  てなことを

  聞いた気がして、自分の歯を数えてみたら、

  同年代の平均よりも多く

  24本あり、先ずは安堵したものです・・(*^-^*)。

  ※入れ歯ではありません。念の為・・

 

 

 

  ところが、

  昨日、2年ぶりに開催された

  市の健康診察に出かけ、色々、検査したところ、

  まいったのは握力検査で、

  何と8.7Kしかなく、

  測った若いナースが呆れたような顔で、

  大丈夫ですか

  と、本気で心配され・・(-_-;)。

 

 

  私の年齢では最低でも26K以上はないと、

  生活に不便では・・と

 

 

  間違いなく不便で困っているのですが・・

 

 

  それでも

  何とかなるもので、

  スーパーで牛乳や水に、お茶など重いものを

  買うときは、

  いつも、

  両手で抱えても落とすので、昨年の夏から

  コロコロを使って、

  簡単に持ち帰ることが出来ますので・・(笑)。

 

  

  実は

  この握力不足は高校2年生の夏、

  剣道の稽古中、突然、原因不明の病気が発生し・・

 

 

  先ず、足の神経が変になり、自由に歩けない

  ことと、

  手の握力が弱くなり、

  物を持つとき、特に剣道の竹刀が握れず、

  唖然!

 

 

  それからは大学病院で悩や脊髄の精密検査を

  しましたが、

  残念なことに、病因が分からず、

  回復の見込みも無いことで、病院から追い出され・・

  ※

  実は筋萎縮症の可能性があるとも

  聞かされましたが

  断定はできず・・

  今では誤診とわかりましたが・・

 

 

  でも、気がつけば、

  何時の間にか、歩けるようになり、

  バスに乗り遅れそうになると、懸命に力走して・・(笑)。

 

 

  握力も弱いながらも12~15に快復していて・・・

  (#^^#)。

 

 

  それなのに、今は握力だけが

  劇的に悪くなっていることを知り、呆然!

 

 

  それにしても、

  厄介な病を抱えて、よく、今日まで何とか平気で

  生きて来れたものと・・

  変な感心の仕方ですが・・(笑)。

 

 

  自分で自分を誉めて遣りたいような気がするのは

  可笑しいですね・・(笑)。

 

 

  でも、人間はつくづく不思議な生き物かと思います。

 

 

  誰かがその昔、五体不満足とか、言っていた人が

  いましたが、

  今の私は何もひけめも感じず、

  難病の心臓とメニエルと消化器などとの戦いに

  負けないよう、

  少しだけ、頑張っているところで・・・(笑)。

 

 

  病気なんて、考え方、ひとつで楽しい生活も出来、

  あまり神経質にならないことが 

  案外、

  大切なのかも知れませんね。

 

 

  ただし、

  癌だけは、のんきなことを言っては

  いられませんから、

  余計なお世話ですが、

  癌検診だけは忘れないようにして下さいね(*^-^*)。

 

 

  因みに、

  わたしは来月癌検診を受診するつもりです。