古都のブログ小説 京の鐘766

 

   始めて入る志乃の家の湯船は意外にも大きく、

   秋山のマンションより一回り

   大きく感じた。

 

 

   少し熱めの湯温に驚いたが、

   勝手に水を入れてかき回し、入り易い温度に

   下げてから、身を沈めた。

 

 

   湯船の端に頭を乗せ、足を延ばしても窮屈では

   無かった。

 

 

   多分、

   志乃が幼い頃、親子が風呂で楽しく燥いでいる

   様子が思い描けた。

 

 

   それは志乃にとって、先に何の不安も感じられない

   至福の頃のことであろう。

 

 

   それから、まもなく父親が早逝し、志乃一家は

   心臓の悪い志乃の医療費もあって、

   蒼汰が新聞配達を始めたのも小学生の頃から

   とのことだから、

   この親子は互いに固い絆で結ばれ今日まで、

   生き抜いて来たのだ。

 

 

   秋山は知らぬ間に、この愛しい親子の為にも、

   何かしらの役に立ちたいとの思いが胸の奥底から

   沸き上がっていた。

 

 

   その時、脱衣所の外から

   「せんせ、湯温は自由に調整してくださって

   結構ですので、

   遠慮されないで下さいね」

   母親の志保の遠慮気味の声が聞こえた。

 

 

   「はい、有難う御座います」  

   秋山は湯船の中に身を沈めたくなった。

 

 

   秋山に代わって、志乃が湯に入り、二階へ上がて

   戻って来る頃、

   既に日は翌日に代わっていた。

 

 

   寝着姿になった志乃が秋山の誘いで、慎み深く、

   同衾すると、

   おわらの町流しの新しい企画の一つを口にした。

 

 

   9月1日の町流しの途中、三条河原町寺町通と

   六角の交差点の二カ所で、

   日舞・歌謡のミニ・ライブ開催の趣旨を説明した。

 

 

   この舞の為の、おわらをテーマにした演歌に

   合わせた舞を

   志乃に舞ってもらいたいとの申し出に、

   志乃はこの唐突な話に、暫し絶句し返す言葉を

   失っていた。

 

 

   秋山がこの為の演歌をスマホで聞かせると、

   志乃は絶対、

   演歌は唄えないと固く拒んだ。

 

 

   無理な話である。

   もっともなことだ。

   

 

   だが、秋山が何度かスマホで40代の歌手が歌う 

   新曲 

       一人風の盆 を何度か聞かせると、

   始めは無理、無理と言っていたが、

   その内、軽く口の中で小さくハミングしていた。

 

 

   音感の良い志乃が早くも歌詞と曲を覚えている。

 

 

   流石、知能指数が200を超える子である。

 

 

   何度も首をひねりながら小さく呻吟していた。

 

 

   この曲を君が唄った声をCDに乗せ、

   それを伴奏にして、

   君が舞う新企画の意外性に志乃は疑問を抱き

   ながらも、

   なにかを思い描いていたようだ。

 

 

   急かすことは無用である。 

 

 

   そこで、

   他には家元の沙織子や筆頭師範の沙緒には

   石川さゆりの 風の盆恋歌 を舞って貰う積り

   だと告げると、目を輝かせた。

   

 

     古都の徒然 京の鐘・四苦八苦(一一")。

 

         

         最近のブログ小説 京の鐘を

    執筆するのが息苦しくて、中々、筆が走らず、

    何年振りかの

    スランプに陥っているのですが、お気づきでしたか?

 

         

    よもやの展開になって自分でもびっくり!

 

    日頃に似合ず、

    なんか、あたふたなんかして(一一")。

 

 

    なんてことを書いたのか、後悔の日々に・・(一一")。

 

 

    人間、

      似あわぬことは手を出してはいけませんね。

    

    

    元々、わたしは恋愛シーンが書けないので、

    物書きとしては

    その昔、女性の副編から

    「そろそろ、大人の小説を書いてみませんか」    

    との嫌味を言われたのが

    20代後半で、

    「いつまで、少年少女もの?を書くつもりですか」

    との前言があってのことで・・

 

    

    渡辺純一とは言わないけれど、なんとか素敵な

    ラブ・ストーリーを待っていますね

    と言われてから、

    その社とは縁が切れ・・その後も書けず(一一")。

 

    

            知るかっ💢ッツ!

    

    いつか、

       死ぬまでにきっと凄いのを書いてやるぅ・・