古都のブログ小説 京の鐘136
彩の甲高い悲鳴が上がった。
胸に手を当てて、転がった志乃の身の変化に動転したのだ。
急ぎ、ベッドの頭の上にぶら下がっている緊急用の呼び出しボタンを握った。
ナース・センターへ走るのを止めて、枕元のミニ・テーブルの上に置いてある錠剤のニトロを取り、包装剤を破ろうとするが、慌てているので、中々開かない。
やっとの思いで取り出した丸くて小さいニトロが指圧で形を無くし、破片となっていた。
荒い息遣いの志乃の口に、ニトロを入れようとしたが、痙攣でもしたか、中々口が開かず、志乃の生への呻き声が悲鳴に似て、断続的に漏れ続けていた。
彩がもう一度、自分で大きく深呼吸をして、志乃の鼻を片手で閉じると息苦しさで口に少しだけ隙間が出来た。
其処からニトロの破片を無利遣り押し込んだ。
このあと、外れていた酸素吸入マスクと血液中の酸素濃度を計測するパルスキオシメーターを人差し指に取り付けた。
ここに心拍数の計測することが出来る一石二鳥の心強い味方だ。
心電図の取り付け方は何度も見ているので、他った気がしていたが、どれから始めて良いやら分からず、もたもたするうちに時は刻々と進んでいた。
その間、ICUの個室が東西に揃って並んでいるが、何処からも何も音は聞こえてこなかった。
不気味な静寂が彩を襲った。
泣きたいのに、どうしてか、泣けないのだ。それにしても、ナースのやって来る気配がしないのが気になった。
秋山に電話して、何とか病院のスタッフにこの事態を知らせたくなり、スマホを取り出そうとした。
すると、先程まで志乃の状態が少し安定して来ていたのだが、また、苦しそうな息遣いに戻っていて、恐怖を覚えた。
もう一度、救急呼び出しのボタンを手早く握りしめた。
このあと、部屋を飛び出し
「誰か助けて下さい。患者さんが危険な状況に陥っているのです。誰か助けて下さい」
と、言ったつもりなのだが、彩は自分でも何を言っているのか分からないほど、混乱していて、明瞭な言葉では無かったかも知れない気がして悪寒が走った。
叫びの返事が何処からも聞こえてこなかった。
やはりヒステリックな叫びでしかなかったのだ。
彩は返事を待つまでも無く、志乃が一人苦しむ室内へ急ぎ舞い戻った。
古都の徒然 相変らずの国会・・
昨日の衆議院の予委員会で、
先日、
わたしがコラムで書いた記事の返信のような野党から
羽田氏の死についての質疑の他、
入院待ちの内に亡くなられた方や、入院先を探していても
受け入れてくれる病院がなく、
亡くなられた方などに関連しての質疑があり、、
総理からは哀悼の意と医療体制の不備に責任を感じ、
陳謝していました。
現在、発表されている緊急事態宣言の延長も
考えられ始められているようで、
2月末までの案が浮上していて、この先のなりゆきが
注目されます。
それにしても、
コロナウイルスの被害の大きさと酷さは
過去から何度も書いているので、わたし自身も嫌になりますが
本当に混乱収束の確約された時期の目途が
つかないことは正に困惑の極みです。
本当に
こんなことがあっていいのかのとの疑問がいつまで続くのか・・
分かる人に
逢えるものなら、逢ってみたいところです。
昨年の2月に、
コロナは簡単には収束できず、このままでは世界的な
大災害となり経済が混乱し、
収束は簡単ではないと結んだのが今更ながら当たって
いても、哀しい正解でしかなく・・・。
そして、
本心から、うんざりで・・・(一一")。