古都のブログ小説 京の鐘135 

 

投稿者らしい女子大生に辿り着いた時、秋山が声を掛けた。

 

「もしかして、このメッセの佐和子さんではありませんか」

 

「はーい、佐和子でーす」

との声をマイクが拾った。

 

どうしても彼女にマイクが近づけないので

「佐和子さんに舞台に上がってもらいなさい」

秋山の指示で、三人がかりで大混雑している大向うから舞台へ上がる通路へ誘導し、やがて小柄な女の子の姿が目に入った。

 

マイクが口元に届くと

「私、舞台へ上がっても宜しいのでしょうか」

 との声で、恥じらいながらも仲間達からの応援で、瀬を伸ばし、警護役が先導して舞台へ上がると、

「メールを読んで頂いた佐和子です」

物怖じせず、明瞭な声を残してセンターマイク前にやって来た。

 

秋山がコードレスマイクを片手に持ち、

「佐和子さんは名古屋からやって来られたのですか」  

 と問いかけると

「はい」

 

「では、このメッセは何処から」 

 

「新幹線内で仲間たちと相談して書きました」

 

「お仲間の皆さんも、いらしゃるのですね」

 秋山が言い切らない内に、仲間らしい女の

子達が手を振り、目立つ立ち位置へ移った。

 

「今日の為に名古屋から態々来られたのです

ね。有難う御座います。大学病院にいる志乃

君も聴いているはずです。少しお話してみま

すか」

 と、誘うと

「私たちより、旨く話せて誘ってくれた佐和

ちゃんの方が良いと思います」

 目立ちがり屋の女の子ではないのが、秋山

の興味を引いた。

 

「せっかく、京都まで来られたので、記念の

ひとつと思って、お喋りをされてみては・・

佐和君、どうですか」

 仲間内で何かを話し合っていたが、

「リーダーの佐和子さんがお話する方が簡潔

で良いと思いますよ」

 

「分かりました。では態々京都までやって来

てくれた佐和子さんが代表してお話を・・」

 

「そんなリーだなんて違いますよ。みんな恥

ずかしがりやだから口が重いだけなのです。

皆、志乃ちゃんが大好きなのです。なので・・」

 

「分かりました。では先に佐和子さんから話

してみますか」

 

「恥ずかしいけど、志乃さんと、お話出来れ

ば超嬉しいです」

 会場が少しどよめいた。

 

「では志乃君を呼び出してみましょう。志乃

君、聞こえていましたか」

 秋山が府立医大のICU室にいる志乃へ呼び掛けた。

 

 

古都の徒然 コロナ・無残死・・

 

 

コロナで亡くなられる人が増え、人智の無力さに

声も無しの日々が続いています。

 

 

それにしても、

毎回、

言われている医療崩壊の煽りを喰った、

コロナと宣告されていながら、即、入院できる政治家の

特別待遇と比べると、

一市民は手当てをされるはずの病院が受け入れを拒み、

入院するまで、

自宅で様子を診るという、非常事態が、

引き起こす、

口惜しい限りの死を迎える哀しい犠牲者と言えるでしょう。

 

 

こんな惨い状況を知りながら、

どうする事も出来なかった御家族様の悲しみは

到底、言葉に

表すことさえ、出来ず、

慰めるすべが見当たりません。

 

 

この差別された

無慈悲な対応が、この世に、あっていいものでしょうか。

絶体、

あってはならない事なのに・・

 

 

こうした悲劇は

あの悍ましい先の戦争で、無垢な若者たちを死の攻撃へ

と駆り立てた

軍部の上官たちが生き残り、戦後も充分すぎる恩給を貰い

ぬくぬくと、

長生きてしていた状況とそっくり同じです。

 

 

でも、こんな時にも

日本人とは何と寛大な人種かと思い知らされるのも

妙な話です。

 

 

だって

未だに、どの家庭でも、ひたすら耐えているのか、

暴動が起きたとの話が何一つ

聞こえて来ません。

 

 

他国では、暴徒化するケースが多々見られるのに、

我が国では、誰も責任を取らず、

穏やかな国民性の上に胡坐をかいていることは見苦しく、

けっして許されることでは

ありません。

 

 

どうして国政に参与する方達から釈明をするなり、

総理が

自宅を訪れて詫びるとか・・

 

 

そういう誠実な対応がいっこうに、

みられないのは、人の道を踏み外した悪徳で、

どうして平然と過ごせるのか、

せめて、

亡くなられた方のご親族様に何らかの侘びの一つも

あっても

不思議ではありませんが・・・。

 

 

辛いのは救急隊員の努力が実らず、悲しい結論を

受け入れざるを得ない現状に、

納得させられる屈辱・・( 一一)。

 

 

10月・11月と感染者が増加傾向になっているのに、

緊急事態宣言を拒み続け、

ワンパターンのように、未だ、その時期ではないと繰り返し、

今日の悲惨な状況を齎した責任は

誰がとるのか・・

 

 

決句、誰もとらないのですよね。

 

 

この国の政治家の面の厚さには慣れていても、

このような時こそ、

国が国民の命を救うのが当然なのに、助かるのはいつも

高位高官ばかりで・・

(一一")。

 

 

国民が政治家の無能のため、毎日、沢山の方が

黄泉の国に旅立って行く姿を知っても、

何も感じないのでしょうか・・

 

 

特例として政府自民党の代議士は即座に入院治療を

受けて、直ぐ、退院している現状を

何と考えているのか・・・

 

 

気の毒だったのは野党の羽田代議士が、入院出きず、

50代で

急死されているのに、

何故、野党は一言も政府を追及しないのか・・

※もし、国会で街頭する質問があったとすれば

即、削除致します。

 

本当に我が国の人達の穏やかさと、忖度のみの行動しか

取れない不幸を、

今一度、

真剣に考えてみる必要があるのではありませんか。

 

 

わたしなら

自分の両親がこんな目にあったら、とことん、戦います。

 

 

事実、

わたしは呼吸が難しい父をCT検査の為、

検査室へ運ばれるとき、

酸素ボンベを付けないで搬送しょうとしているナースへ

簡易ボンベを

なぜ使わないのかと、厳しく告げ、

次いで

主治医へナースセンターから直通電話で、厳重に抗議し、

なんとか

息が出来る様になって安堵したのですが、

ナースの質のレベルの低さと、

ドクターの指示の愚さから生じたもので、

回復したあとで、

父はあのときは死ぬかと思ったと、正直なことを言って、

母を驚かせていましたが・・

わたしは

母を心配させないようにと言わなかったのに・・

 

 

それにしても

医療関係者の目を覚まさせないと、簡易な方法で、

片付けさせようとする尊大な体質にも、

問題が有りますが、

大きな公立病院で、これですから、

母の時の民間病院の対応の酷さは最悪で、

死ぬ理由が

一つも見当たらないのに、

死なせてしまい、頭に血が上ったものです。

 

 

後年、

家庭教師をする機会があり、偶然出会った

心映えのする

優秀な子を医学部に入れ(私の願望で・・)、

今では民間大病院の内科部長として、私の望む患者に

優しい

医療体制確立させ、

今も寝る間もなく頑張っています。

 

 

残念ながら彼のいる都会から私は大好きな京都に

来てしまい、

彼の手で見送ってもらえるチャンスは

無くなりましたが、

わたしはこれまで充分、幸せに暮らせていますので、

今のままで死んで行くのも、

生れる以前から決まっているものとし、

別に、

天を恨む気持ちはありません。

 

が、

今、少し生きていたいと思うのも恥ずかしながら、

本音ですが・・( 一一)。