見た目は大事

   コンパクトクロスオーバーが流行りらしい。
   クロスオーバーと言うと、ネーミングそのものにこの言葉を付したミニ・クロスオーバーを思い浮かべ、国産車ではトヨタRAV4やホンダCR-V等を連想し、どうしてもゴツイ印象が頭から離れない。
   ルノー キャプチャーと一日過ごせると聞いたとき、ルーテシアをゴツくしたもの程度に考えていた。ルーテシア自体も、なかなか魅力的なコンパクトハッチであるから、それがどうアレンジされているか興味深い。
  キャプチャーが用意された場所まで、我がプジョー206swで向かう。こうして並べてみると、やはりキャプチャーはデカい。それでも、デザインの成せる技か決してゴツく感じさせない。ボディーサイドの下端をブラックで抉った塗装と、クリームがかったホワイトボディーにブラックルーフがアクセントになって、とてもオシャレな固まり感が漂っている。自動車雑誌ではオレンジボディーにホワイトルーフのモデルを見ることが多いが、このホワイトボディーにブラックルーフもとても魅力的である。どこかへ出掛けてみたくなるようなこのカラーリングは、この手のクルマでは重要なチャームポイントである。見た目の第一印象はマルである。






フランス車の肝を忘れない

   乗り込んでみて、まず嬉しくなったのはシートの出来である。座った瞬間、腰や背中そして太股を優しく包み、リラックスさせてくれる。これぞ、フランス車である。乗用車よりも少しだけ高めの着座位置と合いまって、とても快適な空間を作り出している。乗り手をリラックスさせるこの空間、何か2CVに通ずるものがある。ただ、ひとつ注文をつけさせて頂くと、センターコンソールのピアノブラック調の装飾とステアリング下部の銀の市松模様は、私には要らないと感じた。高級感を狙ったのか、遊び心を狙ったのかチョッと中途半端である。



想像以上の名脇役

   フランス車のエンジンは、一部のスポーツモデルを除いて、どちらかと言うと地味な脇役的な存在が多い。このクルマのエンジンも1.2リッターと聞いていたので、それほど期待はしていなかった。ところが、その期待は良い方に大きく裏切られることになる。
   早速、今日の目的地である日光霧降スケートセンターに向けて出発しよう。横浜から首都高、東北道経由で約200km、順調に行けば三時間程度の道程である。パーキングスピードでは随分と軽く感じたステアリングも、走り出すとしっとりとしたフィーリングに変わる。この感触は高速道に入ってからは更に頼もしいものとなる。
   低速からトルクの出るこのエンジンは、常に静かで、決して存在を主張する訳ではないが、低速から高速までスムーズな仕事をする。東北道の追い越し車線の速い流れをリードできる速度で走りながら、「本当にこれ1.2リッターなの?」と何度呟いたことか。
  さらに ロードノイズや風切り音も上手く遮断されており、どこまで走っても疲れない。クルーズコントロールを使い、さらに安楽なドライブも可能である。ただし、安楽に任していると、時々流れが滞ったときに、慌ててブレーキを踏むこともある。欲を言えば、衝突防止システムまでを追加して欲しかった。
   乗り心地についても、概ね良好でフラットなクルージングを楽しめる。レーンチェンジでも思ったほどロールせず、全く不安を与えない。直進性、安定性、乗り心地については、装着されているタイアの寄与している部分も考えられるが、やはりこのクルマの基本性能がしっかりしているのだろう。因みに今回装着されていたタイアは、205/55R17サイズのミシュラン・プライマシー3。高速を下りてからのつづら折りを少し早めのペースで走っても、全く不安を感じなかった。あえて難点を探すと、段差の大きめの高速道の継ぎ目(例えば首都高横羽線)を走るときは、ゴツンとしたショックを感じる場合もあった。同じキャプチャーでも、このインテンスではなく、ゼンというグレードならもうワンサイズ下のタイアを履いているので、そちらを試してみたい。
   目的地の日光霧降スケートセンターでは、こんなクルマが待ち受けていた。


   第七回大人の文化セミナーが開催されていて、楽しい一時を過ごした。大人の文化セミナーについては、Facebookページもあるので、そちらをご覧ください。また詳しいレポートは、CGCLUBの会報誌NEWSLETTERにも掲載予定なので、そちらをご覧ください。

   こちらはC7コルベットとのツーショット。7MTモデルでした、カッコいいですね。
C7コルベットについては、発売中のCARGRAPHIC6月号でも特集しているので、そちらをご覧ください。

これ一台ですべてを

   さて、話題をキャプチャーに戻す。帰路の東北道も途中から案の定渋滞である。しかも、事故渋滞とのことで、途中1時間以上にわたり停止したり動いたりの繰り返し。それでもほとんど疲れなかったのは、やはりこのクルマの美点である。無事に横浜に到着しガソリンを満タンにしたところで燃費を確認。ドライブコンピューター上では、7.1/100。つまり100km走るのに7.1リッターのガソリンを要した。リッターあたり14.08kmという計算である。高速道を主体であったが、往復約2時間程度の渋滞と、空いているときは追い越し車線をかなりのハイペースで走ったことを考えると、まあこの程度の燃費は仕方ないかなとも思う。ライバルのプジョー2008のようにアイドリングストップ機能が付いていれば、もう少し燃費は好転したかもしれない。
   一日このルノーキャプチャーインテンスと付き合ってみたが、2CVのようなホンワカした雰囲気と、その気になればかなり高速でもストレス無く移動できるエンジン、そして何よりどこかに出掛けたくなるオシャレなスタイル、リアシートを畳めば楽にロードバイクも積めそうなラゲッジルームなど、良いことづくめである。
   もしも、我が家に2CVもプジョー206swも無く、一台を選ばなくてはならないとしたら、このクルマは有力候補の最右翼となりそうだ。