スイスの銀行をネタにしたこんな笑い話がある。米国人がスイスの銀行に大金を預けにいったそうだ。

「100万ドルを預けたいんだが」。金額が大きいので自然、ヒソヒソ声になる
応対した銀行員。客に「もっと大きな声で話してもらっても構いませんよ」という。「

 貧しさはスイスでは決して不名誉なことではありませんから」 

巨額な資金を扱うことが常のスイスの銀行において日本円で一億円そこそこでは懐が寒いとみられてしまうのか。

 そんなジョークが成立するスイスの銀行の買収にしては買い取り価格が少々寂しい気もするが、やむを得ないことなのだろう。

 

経営悪化が伝えられたスイスの金融大手クレディ・スイスである


 同じスイスの大手金融のUBSが買収を決めた。

その額、30億スイスフラン(約4300億円)。

創業166年の名門でかつての株式時価総額が12兆円を超えた大銀行も、その額で売るしかなかったのか?


 クレディ・スイスの経営悪化が世界の金融不安につながらぬように動いたスイス政府の説得でその額を受け入れたと伝わる。

経営悪化は米銀行の破綻の影響もあるが、あの笑い話でいえば不名誉なのは買収額ではなく、ここに至った経営のまずさと相次いだ不祥事だろう

 


 買収するUBSのトレードマークは三つのカギ。信頼、安全、慎重さの意味と聞く。これで金融不安にカギがかかればよいが?