「JRの予測は不確実」 副知事が御前崎市議らに説明
リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、難波喬司副知事は20日、御前崎市議会の勉強会に出席し、懸念される工事の影響などについて説明した。
JR東海が、工事で出る湧水が県外に流出しても大井川下流に影響がないと主張する点について「予測には不確実性がある。どう影響するか分からない」と反論した。
JRの工事計画では、トンネル掘削で出る湧水を椹島(さわらじま)(大井川上流部)の導水路出口から大井川に流すほか、工事の一時期は山梨県側に300万〜500万トンの湧水が流出する。
難波副知事は「強制的に湧水を外に出せば、下流側につけが回る」と指摘。
JRや国土交通省の有識者会議が「下流の河川流量は維持される」と結論づけている点は、「明らかに科学的に正確性を欠いている」と批判した。
有識者会議の議論を振り返り「水循環の全体像や(JRの)解析が完全でないことは分かってきた。最後は県とJRで議論する」との方針を示した。
勉強会には柳沢重夫市長と全市議15人が出席。「山梨側への流出は何とかできないのか」「(トンネル残土に含まれる)重金属の(水質への)影響は」といった質問や意見が出た。
現在、JRとの交渉は県が窓口となっているが、JRは流域市町に直接説明する意向を示している。
難波副知事は終了後、記者団に「首長は『分かりにくい説明をされても時間の無駄』と言っている。県でまとめないと、余計不信感を呼ぶ」と懸念を示した。
同社の宇野護副社長は17日の有識者会議後の会見で、「流域市町への説明はできるだけ早い時期がいい。同会議の中間報告がまとまった段階が一つのタイミング」と述べている。
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