テストで誤答が出てきたとき、配点が2点以上であれば、いわゆる「部分点」を出すか出さないかが問題になりますね。

例えば、以下の文はどうでしょう。5点満点だとして、何点にしますか?

I went to the library to borrow a book on wednesday.

ここでは、本来 “Wednesday” と、最初の文字を大文字にすべきところが小文字になっています。マイナス1点くらい?あるいは2点?

実はこの英文は若林俊輔先生が『ギミア・ぶれいく』という番組にゲスト出演されたときに示された英文です。正直に申し上げれば、正確には覚えておらず、だいたいこんな感じの英文でした。ご容赦を。

ギミア・ぶれいく」(Wikipedia)


先生がおっしゃるには、この英文はある学校の先生が若林先生にお示しした英文で、ある学校の定期テストで出された問題の正解の英文でした。満点は5、6点くらいだったと思うのですが、その学校では上の解答に対し、「0点」を与えたそうです。wを大文字にしなかっただけで、0点でした。これは、たぶんこんな学校もあるだろうという「予想」の話ではなく、実話だそうです。若林先生は、正確さばかりにこだわる英語教育の問題点を指摘するためにこの英文をご紹介されました。

上の例は極端かもしれませんが、マイナーなミスにも関わらず、部分点を与えないという例はいまでもあると思います。

おそらく、上のように小さなミスでも0点とした先生は、入試では小さなミスが命取りになりかねないうお気持ちから、敢えて厳しい採点方法を採ったのだと思います(そう思いたい)。それもわからないではないのですが、それにより、生徒がやる気を失う、などの心理的なダメージの方が大きい気がします(生徒の性格にも依るかな?)。おそらくこの生徒はWを大文字にしなったことで1点マイナスになったとしても、十分にショックを受けて次は気をつけようと思ったと思います。0点では懲罰の意味の方が大きくなってしまいます。

もしかしたら、入試でも同じようなことが起きているのでしょうか。「入試だから厳しく採点すべき」という考え方もあると思いますが、もしそうだとすれば、これは、その学校にとって、「もったいない」ことが起きていると言えます。

例えば、上のwednesdayの英文を0点にした場合、同じ問題で白紙で解答した受験生とこの受験生を同等に扱ってしまうことになります。しかし、どう見ても、上のようにwの大文字を忘れただけの受験生と一語も書けなかった生徒では、英語力に大きな差があります。この2人を同列に並べてしまうことで、英語力のある生徒のほうが、かえって不利になります。他の受験科目の点数によっては、英語ができる受験生が不合格になり、英語ができない受験生が合格することになります。学校としては、できるだけ英語力が高い受験生に入ってもらいたいでしょうから、部分点を認めないことでもったいないということになります。

良いテストでは、おおざっぱに言えば、英語ができる生徒が高い点を取り、できない生徒の点数が低くなるテストです。部分点を与えることで、生徒や受験生の英語力を正しく反映できる可能性が高まり、英語ができる生徒のほうが高い評価を受けることになります。

正しく反映するという観点で言えば、この重要性は入試に限った話ではありません。定期テストでも、小テストでも同じです。配点が1点しかない小テストの場合は別かもしれませんが、部分点を設定することで、生徒の力をより正確に反映できることになります。

配点が低い問題では部分点が難しいこともあるでしょう。でも、たとえ2点満点の問題でも部分点を設けることで少しでも生徒や受験者の英語力を正しく反映できる可能性が高まります。ちょっと面倒でも、部分点は設けたいですね。