小学校や中学校の英語の授業を拝見する機会が多いのですが、最近、言語活動の途中や直後に児童生徒が「考える」時間を設けている先生が増えていると感じます。

大修館書店の『英語教育』2022年11月号の第2特集で「児童・生徒の「今度はできた!」を引き出す中間指導のコツ」という特集が組まれているので、実際に増えているのかもしれません。

例えば、昨年拝見した小学校のある授業でこんな活動が展開されていました。

ペア(AとB)のAが正面のテレビモニターを見る。Bは目をつむる。
   ↓
モニターにイラスト(あるいは写真)が映し出される。apple、baseballなど小学生が確実に知っている語のイラスト。
   ↓
イラストが消える。Bは目を開ける。
   ↓
AがBに、何のイラストだったのかを英語で説明する。その際、Aは答えの単語を言ってはいけない。ジェスチャーも禁止。
   ↓
30秒~1分で活動終了。第2ラウンドではAとBが役割を交代する。

ヒントを出す児童は色や形など、自分が知っている単語を使い、相手が当てるまで英語を話し続けます。すぐに答えがわかるヒントを出せる児童もいれば、伝わらなくてやきもきしている児童もいます。

活動のあとで「すぐ」に「言いたかったけど言えなかった英語」をクラス全体で共有します。その際、すぐに教師が答えを教えるのではなく、児童が自分で、あるいはペアの児童と一緒に考えます。さらに教室全体で考えて、意見を出し合います。

「言いたかったけど言えなかった英語」だけでなく、よりよく伝える方法も考えます。「はじめに "Fruit" とか "Sports" などと言ったほうがわかりやすい」などの意見が出てきて、より効果的な伝え方についても、深く思考していきます。

数年から10年前までは、このように「考える」場面は多くなかったと思います。変化を感じます。

英語の学習に「量」が大切であることは言うまでもないので、活動時間を増やして一定の「量」を確保することは大切ですが、活動を「やりっぱなし」にせず、振り返って考えることで、「質」を高め、より深い学習につながると思います。