宮本輝の「錦繡」を寝ながら読み始めて朝を迎えた。
不本意ながら別離した夫婦が、時を経て偶然に再会し、 それをきっかけに1年弱に渡って手紙のやりとりをする。
離婚の原因は、夫の無理心中未遂事件、
夫は一命を取り留めたが相手の女性は死亡、・・・・・・・
テーマは、生きていることと、死んでいることは同じ。
樋口一葉の日記に手紙の代書の話が度々出てくる、だからか『通俗書簡文』という手紙の書き方を書いた。
病の床での執筆で、
私の若い時も手紙は、ハードルは高いというか勇気がいった。
生涯に手紙を書いたのも、貰ったのも幾らもない。
大学に入って中学校のクラスメイトに手紙を書いた。
電話番号を教えてもらうためだった。
新入社員の頃、会社宛てに白い封筒が届いた。
新宿歌舞伎町のナイトクラブの女性から上野でやっていたギュスターブモローの展覧会の誘い。
その頃会社ではカーボン紙を敷いて「拝啓、時下益々の御清祥の段、慶賀に存じます。」で始まる手紙を書いた。
今はメイルになり、コロナでZoomもどきになった。
蜻蛉日記(勿論現代語訳)を読むと当時の通い婚の実態や貴族の生活がよく分かる。
1000年前だからLineなんてない、でも伝令(従者や牛車の御者)が文(手紙)を持って走り回っていた。
さらっとしたためた歌、例えば、
を携えて、・・・
この返事も和歌だから即興のセンスが求められた。
更に紙に香を焚きしめたり、梅の枝を添えたりと工夫を凝らした。
手紙などの文書のやり取りだけで構成された物語を「書簡体小説」と言い、18世紀のフランスで流行したジャンルだという。
推薦図書として挙げられていたのは、
①往復書簡 湊かなえ
②恋文の技術 森見登美彦
③危険な関係 ピエール・ショデルロ・ド ラクロ
④十二人の手紙 井上ひさし
⑤レター教室 三島由紀夫