台湾の『誠品書店』は、書籍を核にセンスのいい生活雑貨などを販売する複合書店、台湾だけで40店舗、香港や中国大陸にも進出している。
『誠品書店』は、読書だけではなく、講演会、展覧会等の様々なパフォーマンスに力を注いでいる。
『誠品書店』を作った呉清友の自伝を読むと、本に対する並々ならぬ愛情を持っていた人だということが伝わってくる。
建築設備関係で財をなし、中年になって書店の経営をスタートさせた。
今、台湾で勢いのある企業と言えば、鴻海精密工業(シャープを買収した世界最大の電子機器製造請負)、TSMC(世界最大の半導体製造受託)、そしてCNNが世界で最も美しい書店と称賛した誠品書店だろう。
三井不動産が自社の新しいオフィスビル・コレド室町テラスに『誠品書店』を呼び込んだ。
行ってみてガッカリ、都心の一等地だから規模も小さい、店舗の設えも台湾の『誠品書店』を真似たと言われている代官山の蔦屋書店や二子玉の蔦屋家電よりずっと見劣りがする。
何故、三井は台湾と同レベルの店づくりが出来なかったのか?
日本進出を夢見ていた呉清友は既に亡くなっているが、この店舗を見たら泣くだろうと思った。
池袋のジュンク堂の1階のレジは、いつもバスケットに本を入れたお客が並んでいる。
しかし、誠品書店・日本橋店は読書スペースも小さい、だいたい本を買う人が居ない!! その時、レジに居たのは私だけだった。
話題のガラス工房も誰もいなかった。
それでも、昨日のアドマチで都内の新名所として取り上げていた。
最近リニューアルした渋谷のパルコから書店がなくなったのも衝撃、未だパルコ出版という会社があるのに。
書店が減り、川上の出版業界は今大変なことになっている。
雑誌の収益で一般書籍の単価を安くしてきた日本独特の経営が雑誌が売れなくなって危機的状況、更にコミックが売れなくなったら出版事業がなりたたない。
今夏のカドカワの所沢進出に伴い、飯田橋(東京の中心)のカドカワ本社の半数近くの社員は泣く泣く東所沢(田舎の所沢の更に辺鄙なところ)に通勤する羽目になった。
空いた飯田橋の本社ビルはオフィスとして貸し出すだろうと言われている。
出版社は給料も高いからこれぐらいのことをやらなければ生き残れない。
