『思い出が消えないうちに』著者 川口俊和
を読みました。
少し前に時空小説三部作の一作目『コーヒーが冷めないうちに』を読み、アマプラで映画も観たけれど、期待した割にフツーでがっかりでした。
三作目『思い出が消えないうちに』は評価がかなり高かったので読んでみることに。
大切な人を亡くした人が、大切な人に逢って言えなかった言葉を伝えるために、過去と未来に行くことが出来る喫茶店。函館が舞台。
感想、、、とても良かったです。読みながら涙が止まりませんでした。
第二話の芸人(ゲンちゃん)の話が心に沁みました。
5年前、最愛の妻を亡くしたゲンちゃん。妻の夢を叶えて芸人グランプリで優勝する。
妻に報告するために過去に戻り喜びあうのだけれど、「お前がいないんじゃ、生きてても意味がない、、、」帰らない、と泣くゲンちゃん。(気持ち解りすぎる)
それに答える妻の言葉が凄くいいんです。
「ゲンちゃんが忘れない限り、いつでもゲンちゃんの心の中にいる。そばにいる。」
「私は死んでも、ゲンちゃんか活躍すればとっても幸せなの。
死んだ私を幸せにできるのはゲンちゃんだけなんだからね。
死んだら終わりなんていわせないんだから。
死ぬまで私を幸せにするんだぞ、わかった?」(原文少しまとめました)
この言葉に心をつかまれ、胸に響き、涙で行が追えなくなりました。
亡くなった大切な人を死ぬまで幸せにできる
娘を……私が死ぬ瞬間まで幸せにできる。
今までぼんやりと見えていたことを、はっきり見せてくれる言葉でした。物語りの中とはいえ、亡くなった人が発する言葉はとても重みがあり、真に迫り、説得力があります。
娘に言われたように心に入ってきました。
これからも、私が死ぬまで娘を幸せにすることができるのなら、あなたを想い、愛して精一杯生きるよ。
必要としてくれる家族のため、
仕事で私を待っていてくれる人のため。
目の前にある出来ることから少しずつ少しずつ。
そして人の役に立てるよう。
昼休みに見上げた空、青空に雲が立ち昇り清々しい空でした