残り葉が舞い落ちる様を上で観察していた2人が下へと下りた
「・・・・コレをみたらお前は納得するか?」
柏から受け取った袋を秋を挟んで彰へと回す。袋の中身を見た瞬間彰が袋を秋へ押しつけた。
「・・・・2人は、殺された?」
「おそらくマノリアにな。人間はつくづくよく分からない」
「毒林檎を食べた姫が仲間を殺した か」
十夜の言葉を思い出す。秋には覚えがあるから思い出すのは嫌だった。毒林檎と良心はよく似ている。
もしも毒林檎ではなく人の良心を食ったら、どうなるのだろう。
「天狗が人を食っても所詮は天狗だ、何も代わりはしないぜ」
分かり易い指の音の次に飛び降りるカラス。鴉と烏は似ていて違う。天狗とトリはよく似ていた。
その次に続いて十夜本人が木から飛び降りる。現代には珍しく着物を好む男であった為か着物調の服を着ている。正直ふつうにスーツが似合いそうだと彰は思った。
「返す。ここの奴らはみんな中身をみた」
秋が袋を投げ返す。中身の骨を確認してカラスに咥えさせた。土に戻してやるらしい。
「・・・・この村は終わっとる。今の村長があんなんやからしょうがないが・・・・奈保は最後の希望だったんだろうな、この村にとっては。」
そういって踵を返した。手を振り彰らと別行動を示す。彰は柏にあれは何だと問うたが何も答えはしなかった。
「助けて、ください! 奈保の事もあるんだ・・・・!!」
村を出る寸前に縋り付く手に彰は振り返る。やめておけと柏が止めるも村人は手を伸ばさずには居られなかった。
「何も求めない。・・・・この場から逃がしてくれ!」
その手が左肩を掴む。左肩がその手から出る手の主のトラウマを映し出し、思わず尻餅をつきそうになった。
〈■が付けた傷跡にはその者のトラウマが--〉
マノリアとあいつは、一体何をしたんだろう。こんな忌々しい---
記憶 を 植え付けて。
考え事をすると周りが見えなくなるのが彰のクセであり弱点だった。縋る手を離すことに集中しろと頭の中で忠告する。柏がその手を肩から剥がしたそのとき。
「---! 黒天狗!!」
光が葉を裂き、名を呼ばれた頃には。
それが村人の頭を貫いた。
「なっ・・・・」
「あーぶないよっと!!」
村人の頭を貫いたそれを木から下りた十夜が指で受け止める。
「あーっぶないよ、俺が止めなかったら君の大好きな黒天狗が死んでたねえ そうでしょ?」
ドシャリと倒れる村人の後ろに居たのは、
「ねえ?神威ちゃん♪」
マノリアの隣にいる、あいつ。
「ふーん、結構鋭いんですね十夜。想定内ですけどね」
振り返り3歩、進んだところで神威が仕込みナイフを取り出した。パチンと音が爆ぜる。憎いほどの笑顔だった
「我々に関われば大変なことになりかねますよ。そう」
彰が口を出す前に言葉が発せられた。
「死んでも文句は言えない」
笑顔の裏に隠された素顔は、人が震え上がるには十分な表情をしていた。
「お前らは帰れ。この村の依頼は無かったことにするんだ。それが人間のルールだろ?」
柏のトゲのある言葉にシュンとしながら彼らは自分たちの住むホームへと戻る。
自分の家に帰れなかった犠牲者。彼女たちは報われるのだろうかと彰は自分の事のように考えて考えて。
「・・・・心配か。・・・・不思議なもんだな」
「え?」
「人は人の命を奪う奴だが、人の魂のことまで気にする奴も居るんだと思ったんだ。」
実に人間らしくない言葉だよ、秋。
一日が始まろうとしている時刻の中、一日ぶりにホームへと翼をひろげた。
「柏、お前はどうするんだ あの村で暮らしていても意味がないんだろ?なら」
「俺が人間と暮らせると思うか? それも」
4拍くらいの間の後、柏はただ虚空を見詰めている。
「お前を奪った人間が居る空間で。」
そこには何も無い。星すら浮かばない空だ。
こんな環境になったのもすべてお前を奪った者達だと、口にしてしまいたかった。
「・・・・それも、そうだな」
「お前が一番理解できない。どうしてそこまで彼女にこだわる」
「真相が知りたいワケじゃないんだ。・・・・ただ傍にいたいだけだ」
「・・・・人間くさいなお前も。」
「人間の下のついて色々してきたんだ。仕方がないだろう?」
右目に指を押し当てる。自分の記憶を封印するために彼女に付けられたものだった。最もそれは意味をなさず5年間嘘を付いて暮らしてきた。
「彼女は俺の事なんてさっぱりさ、転成してるのは確かだけど彼女は・・・・それを拒んでる」
「今の彼女はお前の事なんて、親なしの日本人だろうな。まだ正体ばらしてないんだろ?」
「嗚呼、それをきっかけに思い出したとしても・・・・嫌な記憶だから俺は逃げるだろうな」
柏は苦笑いをする。話題になっている彼女のせいで彼は人間嫌いになったと断言できる。
「・・・・柏、俺は人間じゃないからよく分からないが、・・・・封印を解かれる前に戻りたいと最近よく思うんだ。一生封印されてたいのか、・・・・その前に戻りたいのか」
「俺たちは、そういう感情を持ってはいけないのかもな」
口では笑うが顔は笑ってない。昔はこんなに巧く嘘をつける奴じゃなかったなと感心はする。柏の気持ちも今は揺らぎつつあるのだ。
「・・・・心配するな、俺たちはいつでも逢えるだろ?」
柏は秋のしていたように左目を押さえつける。左の目がだんだんと茶色へと戻ってゆく。
感情を押し殺すために、天狗は昔、全員に付けられた“封印の眼”。これのおかげで自分の主人なんてさっぱり思い出せなくなっていた。封印の眼の効果がきついと本当に記憶を失うので少々厄介だ。
「お前のは強すぎて、俺のは弱かったな…これ」
「互いに封印されたことは覚えてたけどな」
真夜中の3時、黒と白の羽根が月に照らされ舞い上がった。
何時になれば、楽になれるのか。
「・・・・コレをみたらお前は納得するか?」
柏から受け取った袋を秋を挟んで彰へと回す。袋の中身を見た瞬間彰が袋を秋へ押しつけた。
「・・・・2人は、殺された?」
「おそらくマノリアにな。人間はつくづくよく分からない」
「毒林檎を食べた姫が仲間を殺した か」
十夜の言葉を思い出す。秋には覚えがあるから思い出すのは嫌だった。毒林檎と良心はよく似ている。
もしも毒林檎ではなく人の良心を食ったら、どうなるのだろう。
「天狗が人を食っても所詮は天狗だ、何も代わりはしないぜ」
分かり易い指の音の次に飛び降りるカラス。鴉と烏は似ていて違う。天狗とトリはよく似ていた。
その次に続いて十夜本人が木から飛び降りる。現代には珍しく着物を好む男であった為か着物調の服を着ている。正直ふつうにスーツが似合いそうだと彰は思った。
「返す。ここの奴らはみんな中身をみた」
秋が袋を投げ返す。中身の骨を確認してカラスに咥えさせた。土に戻してやるらしい。
「・・・・この村は終わっとる。今の村長があんなんやからしょうがないが・・・・奈保は最後の希望だったんだろうな、この村にとっては。」
そういって踵を返した。手を振り彰らと別行動を示す。彰は柏にあれは何だと問うたが何も答えはしなかった。
「助けて、ください! 奈保の事もあるんだ・・・・!!」
村を出る寸前に縋り付く手に彰は振り返る。やめておけと柏が止めるも村人は手を伸ばさずには居られなかった。
「何も求めない。・・・・この場から逃がしてくれ!」
その手が左肩を掴む。左肩がその手から出る手の主のトラウマを映し出し、思わず尻餅をつきそうになった。
〈■が付けた傷跡にはその者のトラウマが--〉
マノリアとあいつは、一体何をしたんだろう。こんな忌々しい---
記憶 を 植え付けて。
考え事をすると周りが見えなくなるのが彰のクセであり弱点だった。縋る手を離すことに集中しろと頭の中で忠告する。柏がその手を肩から剥がしたそのとき。
「---! 黒天狗!!」
光が葉を裂き、名を呼ばれた頃には。
それが村人の頭を貫いた。
「なっ・・・・」
「あーぶないよっと!!」
村人の頭を貫いたそれを木から下りた十夜が指で受け止める。
「あーっぶないよ、俺が止めなかったら君の大好きな黒天狗が死んでたねえ そうでしょ?」
ドシャリと倒れる村人の後ろに居たのは、
「ねえ?神威ちゃん♪」
マノリアの隣にいる、あいつ。
「ふーん、結構鋭いんですね十夜。想定内ですけどね」
振り返り3歩、進んだところで神威が仕込みナイフを取り出した。パチンと音が爆ぜる。憎いほどの笑顔だった
「我々に関われば大変なことになりかねますよ。そう」
彰が口を出す前に言葉が発せられた。
「死んでも文句は言えない」
笑顔の裏に隠された素顔は、人が震え上がるには十分な表情をしていた。
「お前らは帰れ。この村の依頼は無かったことにするんだ。それが人間のルールだろ?」
柏のトゲのある言葉にシュンとしながら彼らは自分たちの住むホームへと戻る。
自分の家に帰れなかった犠牲者。彼女たちは報われるのだろうかと彰は自分の事のように考えて考えて。
「・・・・心配か。・・・・不思議なもんだな」
「え?」
「人は人の命を奪う奴だが、人の魂のことまで気にする奴も居るんだと思ったんだ。」
実に人間らしくない言葉だよ、秋。
一日が始まろうとしている時刻の中、一日ぶりにホームへと翼をひろげた。
「柏、お前はどうするんだ あの村で暮らしていても意味がないんだろ?なら」
「俺が人間と暮らせると思うか? それも」
4拍くらいの間の後、柏はただ虚空を見詰めている。
「お前を奪った人間が居る空間で。」
そこには何も無い。星すら浮かばない空だ。
こんな環境になったのもすべてお前を奪った者達だと、口にしてしまいたかった。
「・・・・それも、そうだな」
「お前が一番理解できない。どうしてそこまで彼女にこだわる」
「真相が知りたいワケじゃないんだ。・・・・ただ傍にいたいだけだ」
「・・・・人間くさいなお前も。」
「人間の下のついて色々してきたんだ。仕方がないだろう?」
右目に指を押し当てる。自分の記憶を封印するために彼女に付けられたものだった。最もそれは意味をなさず5年間嘘を付いて暮らしてきた。
「彼女は俺の事なんてさっぱりさ、転成してるのは確かだけど彼女は・・・・それを拒んでる」
「今の彼女はお前の事なんて、親なしの日本人だろうな。まだ正体ばらしてないんだろ?」
「嗚呼、それをきっかけに思い出したとしても・・・・嫌な記憶だから俺は逃げるだろうな」
柏は苦笑いをする。話題になっている彼女のせいで彼は人間嫌いになったと断言できる。
「・・・・柏、俺は人間じゃないからよく分からないが、・・・・封印を解かれる前に戻りたいと最近よく思うんだ。一生封印されてたいのか、・・・・その前に戻りたいのか」
「俺たちは、そういう感情を持ってはいけないのかもな」
口では笑うが顔は笑ってない。昔はこんなに巧く嘘をつける奴じゃなかったなと感心はする。柏の気持ちも今は揺らぎつつあるのだ。
「・・・・心配するな、俺たちはいつでも逢えるだろ?」
柏は秋のしていたように左目を押さえつける。左の目がだんだんと茶色へと戻ってゆく。
感情を押し殺すために、天狗は昔、全員に付けられた“封印の眼”。これのおかげで自分の主人なんてさっぱり思い出せなくなっていた。封印の眼の効果がきついと本当に記憶を失うので少々厄介だ。
「お前のは強すぎて、俺のは弱かったな…これ」
「互いに封印されたことは覚えてたけどな」
真夜中の3時、黒と白の羽根が月に照らされ舞い上がった。
何時になれば、楽になれるのか。
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