残り葉が舞い落ちる様を上で観察していた2人が下へと下りた
「・・・・コレをみたらお前は納得するか?」
柏から受け取った袋を秋を挟んで彰へと回す。袋の中身を見た瞬間彰が袋を秋へ押しつけた。
「・・・・2人は、殺された?」
「おそらくマノリアにな。人間はつくづくよく分からない」
「毒林檎を食べた姫が仲間を殺した か」
十夜の言葉を思い出す。秋には覚えがあるから思い出すのは嫌だった。毒林檎と良心はよく似ている。
もしも毒林檎ではなく人の良心を食ったら、どうなるのだろう。
「天狗が人を食っても所詮は天狗だ、何も代わりはしないぜ」
分かり易い指の音の次に飛び降りるカラス。鴉と烏は似ていて違う。天狗とトリはよく似ていた。
その次に続いて十夜本人が木から飛び降りる。現代には珍しく着物を好む男であった為か着物調の服を着ている。正直ふつうにスーツが似合いそうだと彰は思った。
「返す。ここの奴らはみんな中身をみた」
秋が袋を投げ返す。中身の骨を確認してカラスに咥えさせた。土に戻してやるらしい。
「・・・・この村は終わっとる。今の村長があんなんやからしょうがないが・・・・奈保は最後の希望だったんだろうな、この村にとっては。」
そういって踵を返した。手を振り彰らと別行動を示す。彰は柏にあれは何だと問うたが何も答えはしなかった。


「助けて、ください! 奈保の事もあるんだ・・・・!!」
村を出る寸前に縋り付く手に彰は振り返る。やめておけと柏が止めるも村人は手を伸ばさずには居られなかった。
「何も求めない。・・・・この場から逃がしてくれ!」
その手が左肩を掴む。左肩がその手から出る手の主のトラウマを映し出し、思わず尻餅をつきそうになった。
〈■が付けた傷跡にはその者のトラウマが--〉
マノリアとあいつは、一体何をしたんだろう。こんな忌々しい---
記憶 を   植え付けて。
考え事をすると周りが見えなくなるのが彰のクセであり弱点だった。縋る手を離すことに集中しろと頭の中で忠告する。柏がその手を肩から剥がしたそのとき。
「---! 黒天狗!!」
光が葉を裂き、名を呼ばれた頃には。
 それが村人の頭を貫いた。
「なっ・・・・」
「あーぶないよっと!!」
村人の頭を貫いたそれを木から下りた十夜が指で受け止める。
「あーっぶないよ、俺が止めなかったら君の大好きな黒天狗が死んでたねえ そうでしょ?」
ドシャリと倒れる村人の後ろに居たのは、
「ねえ?神威ちゃん♪」
マノリアの隣にいる、あいつ。
「ふーん、結構鋭いんですね十夜。想定内ですけどね」
振り返り3歩、進んだところで神威が仕込みナイフを取り出した。パチンと音が爆ぜる。憎いほどの笑顔だった
「我々に関われば大変なことになりかねますよ。そう」
彰が口を出す前に言葉が発せられた。

「死んでも文句は言えない」

笑顔の裏に隠された素顔は、人が震え上がるには十分な表情をしていた。


「お前らは帰れ。この村の依頼は無かったことにするんだ。それが人間のルールだろ?」
柏のトゲのある言葉にシュンとしながら彼らは自分たちの住むホームへと戻る。
自分の家に帰れなかった犠牲者。彼女たちは報われるのだろうかと彰は自分の事のように考えて考えて。
「・・・・心配か。・・・・不思議なもんだな」
「え?」
「人は人の命を奪う奴だが、人の魂のことまで気にする奴も居るんだと思ったんだ。」
実に人間らしくない言葉だよ、秋。
一日が始まろうとしている時刻の中、一日ぶりにホームへと翼をひろげた。











「柏、お前はどうするんだ あの村で暮らしていても意味がないんだろ?なら」
「俺が人間と暮らせると思うか? それも」
4拍くらいの間の後、柏はただ虚空を見詰めている。
「お前を奪った人間が居る空間で。」
そこには何も無い。星すら浮かばない空だ。
こんな環境になったのもすべてお前を奪った者達だと、口にしてしまいたかった。
「・・・・それも、そうだな」
「お前が一番理解できない。どうしてそこまで彼女にこだわる」
「真相が知りたいワケじゃないんだ。・・・・ただ傍にいたいだけだ」
「・・・・人間くさいなお前も。」
「人間の下のついて色々してきたんだ。仕方がないだろう?」
右目に指を押し当てる。自分の記憶を封印するために彼女に付けられたものだった。最もそれは意味をなさず5年間嘘を付いて暮らしてきた。
「彼女は俺の事なんてさっぱりさ、転成してるのは確かだけど彼女は・・・・それを拒んでる」
「今の彼女はお前の事なんて、親なしの日本人だろうな。まだ正体ばらしてないんだろ?」
「嗚呼、それをきっかけに思い出したとしても・・・・嫌な記憶だから俺は逃げるだろうな」
柏は苦笑いをする。話題になっている彼女のせいで彼は人間嫌いになったと断言できる。
「・・・・柏、俺は人間じゃないからよく分からないが、・・・・封印を解かれる前に戻りたいと最近よく思うんだ。一生封印されてたいのか、・・・・その前に戻りたいのか」
「俺たちは、そういう感情を持ってはいけないのかもな」
口では笑うが顔は笑ってない。昔はこんなに巧く嘘をつける奴じゃなかったなと感心はする。柏の気持ちも今は揺らぎつつあるのだ。
「・・・・心配するな、俺たちはいつでも逢えるだろ?」
柏は秋のしていたように左目を押さえつける。左の目がだんだんと茶色へと戻ってゆく。
感情を押し殺すために、天狗は昔、全員に付けられた“封印の眼”。これのおかげで自分の主人なんてさっぱり思い出せなくなっていた。封印の眼の効果がきついと本当に記憶を失うので少々厄介だ。
「お前のは強すぎて、俺のは弱かったな…これ」
「互いに封印されたことは覚えてたけどな」
真夜中の3時、黒と白の羽根が月に照らされ舞い上がった。


何時になれば、楽になれるのか。
「なんですか?私は夜に起きてるので眠たいのですが」
奈保を起こして貰い話をする予定で呼び出した。朝であった頃とは違うダボッとした服を着ていたのですでに寝ていたところだったのかもしれない。
「すみません・・・・マノリアさん見つかりましたよ」
彰の言葉に少し目が覚めたようだ。反応が早い。
「ほんとうですか?・・・・どこで」
「ついてきてくれますか?」
こくんと頷き彼女は彰の後に続いた。途端に木々が揺れた。両脇に立つ木々が一斉に共鳴を始める。
「・・・・・・この感じは…」
揺れる木の上で見守る天狗sはある違和感を覚えていた。
「・・・・ここは」
「いらっしゃいませ、彰さん?」
「・・・・マノリア!」
「どうしてここがお分かりになったのです?わたくしは何かヘマを・・・・」
「いいんだよこれで。俺は君たちに会えて嬉しいよ」
彼がみる視線の先には。
「・・・・お見通しか、マノリアの部下?それとも上司?」
「失礼ですね柏さま。マノリアの仲間と言っていただきたい」
迷いのない笑顔の裏に隠された素顔はどんなものなのだろうかとふと思う。彰はふとある違和感の理由に気づいた。
「・・・・秋、見える?」
「--すまないが俺たちには見えてない。最初からな」
これが違和感の正体かと彰は思わず口に出した。
見えてないのだ。何も。
「・・・・じゃあこの心は」
「奈保のじゃない。これはマノリアが捨てた良心だ。もっとも見えてないからよく分からないがな」
どうして言ってくれないのかと彰は問う。それに2人が反応する前に彼らの声が耳に響く
「貴方が、見えるからでしょう?」
彰が左肩を押さえて唇を噛む。見えるのはこの忌々しい力のせいだ。
過去のある事件を思い出して思わず目眩みがした。
「もう一度言う。君は---」


「・・・・黒、奈保が見えないのは俺だけなのか」
「奇遇だな柏、俺には彰が一人で喋ってるようにしか見えない。おそらくそれ類が見えるんだろ?あいつは」
〈■鬼が付けた傷跡にはその■のトラウマが--〉
いつか彰が言っていた台詞を思い出す。一部がノイズのように再生されて思い出せなかったが。
「マノリアの心はあいつに毒されている。そして奈保は・・・・」
パチンと音が鳴り響き、甘い声が彼らの耳に流れ込む
「毒林檎を食べた姫は毒に犯され、次々とお友達とさよならをしました。って所かい?」
指パッチンで現れたその声と姿を柏は懐かしそうに声を出した
「十夜!この姿は何年ぶりだー?」
「久しぶり、柏に黒 約束、終わったぜ」
もう一度指を鳴らすと袋に入ったそれを袋ごと柏に渡す。柏は500円を親指をはじいて投げると上手いこと受け取りにやりと笑った。
「十夜、お前未だにその姿なのか?」
「ええやないか黒、お前だって姿は変わらんやろ」
笑って指パッチンをする。その直後には消えているのだから不思議な男だとしかコメントのしようがない。
「・・・・それは、」
「あーやっぱり・・・・白骨、っと。」
袋の中には小さく折りたたまれた人間2体の骨だった。


「---見える。だから、君の過去も暴いてあげようか?」
両手を挙げて降参のアピールをする
「遠慮しておきます。マノリア、今日はもうやめようか。俺は色々と飽きた」
彼がそう言ったとたんに木々がざわめく。葉が舞い視界に覆い被さる。
すべてが収まった頃には、彼ら2人はいなくなっていた。
「---やめろッ」
秋が叫んだその声に子が驚いて逃げ出してしまった。柏本人は声の大きさにビックリしながら秋の肩を掴む。
柏の手が震えているのか秋の肩が震えているのか・・・・小刻みに揺れる。
「-あ、ごめんなさい・・・・」
謝りはしたものの、どうすれば良いのか分からず持っていた良心をみた。少し色が濃くなってる気がしてもう一度見直したがあまり変わらなかった。
「どうして」
彰がつぶやいた。自分の目は正常なはずだと何度も目をこする。その異変に気づいたのか秋がどうしたものかと彰の方を向く。
「・・・・色が濃くなって・・・・ッく」
秋が良心に触れた途端に良心から色が飛び出した。それと同時に秋がよろけたが自分で体勢を取り戻す。
「色が・・・・」
深紅の赤が抜け、真っ黒い悪心へと変わる
「--悪心に変わったな・・・・あンの野郎・・・・・・・」
頭を押さえつつ呻くようにしゃがみこむ。先ほどの色に触れたせいかもしれない。
「・・・・人間の心は俺たちには重すぎるんだ。黒、平気か」
「平気、だ。彰マノリアを探してくれ。悪心に変わったって事は・・・・マノリアは・・・・」
「彰とやら、奈保が言ってたマノリアを探せ。先代の実の子と言う事はあいつも危険かもしれん」
彰は思考の隅でまだ日も昇ってない頃の出来事を思い出す。齢18の彼女は奈保というのか。
「まさか・・・・彼女は理由を知ってて俺たちを・・・・」
「多分な・・・・飛ぶぞ」
柏は少し不満そうに秋を止める。人間に協力するなとでも言いたいのだろうか。
「・・・・悪い。でも俺は--行く」
掴む腕を振り払おうとしたとき不意に力が緩む。顔を見ると少し柔らかい表情になった。
〈そういう所はお前らしいな---〉
(…なんだ?)
頭の中で聞こえる声は、いつも聞く声とは違った。今より少し若い柏の姿が脳裏に浮かぶ。勿論過去に出会ったことのあるだろう柏だろうが記憶にはなかった。だが
「・・・・・ありがとな」
「どういたしまして」
「・・・・久しぶりだな、黒天狗」
日本人らしい真っ黒の髪を後ろで束ねているその男は、秋には覚えのない・・・・だが懐かしい雰囲気の漂う男だった。
「・・・・・・・」
「・・・・嗚呼、まあ覚えてないならいいさ。俺の名前は、」
「・・・・かしわ お前、柏?」
柏、彼の名前だ。何故知っているのかは自分も分からないのか少し変な顔つきになっている。
「・・・・あ、うん。覚えてたんだな」
「名前は正直曖昧だったがな…悪い」
「仕方がない。・・・・俺が何かは覚えてるか?」
「・・・・この村の守り主、白天狗だろ?」
白い翼を持つ彼は、にんまりと笑った。隠していた翼をひろげるとオセロのように対になった彼らが向き合う方になる。
「・・・・ところでく・・・・黒天狗、どうしてあんな所にいた。この時間にお前がここに来るのは久しいじゃないか」
「・・・・彰が仕事で来てるんだ。その手伝いだ」
「・・・・封印解いたのは、そいつ?」
秋はこくんと頷く。柏は少し苦い顔をしてつぶやいた。「また人間か」と。
「どうしてそこまで人間を嫌う。お前が思うほどあいつらは、」
言葉を遮り柏が秋の首根っこを掴む。よほど堪えた涙が噴き出すように彼は叫んだ。
「記憶が無くなって感覚が鈍ったか!!お前を封印したのが何だったかお前は覚えているか!?お前を必要とし捨てたのは!」
一呼吸おいて柏は小声になる。それが事実であり実際の出来事であることを確かめるように、
「・・・・人間なんだ、」
〈悪いのは君だ、黒天狗〉
強調されるその声と脳に響く分からない声にどちらがどちらか分からなくなる。
思考を変えようと秋は先ほど別れた彰の事を考える。
「マノリア・・・・か」


「ああ!返してよ!!」
「それはお兄ちゃんのなんだ、お願い返して」
村に住む居なくなっては戻って来た子供の一人だった。必死に良心を抱えて「返して返して」と言っている。
「それはお兄ちゃん達のものなんだ。お願いだから」
するとその子は目に大きな涙を溜め、堪えるように必死に彰をにらみつけた
「だって・・・・だって・・・・!これが無いと・・・・!!!」
「・・・・これがないと?」
「奈保姉が死んじゃうよお・・・・!!」
 その子が言うにはこの良心を失った奈保という人が死んでしまうので良心を取り戻したいらしい。
「でもね・・・・これはもう遅いんだよ。これを失った人間はもう・・・・」
彰は次の言葉を発することが出来なかった。だが反応は違った
「何言ってんだよ!これを無理矢理抜かれた奈保姉は悪心に満ちそうなんだよ!!早くしないと・・・・!!」
「それってどういう・・・・」
「良心は悪霊に取り憑かれた時に失うが、ごく一部の人間は良心を抜き出せる者が居る」
頭上から声がした気がして上を向いた。
「柏さん!木から下りたら危ないですよ」
柏という男が彰の前に現れた。子供に大丈夫だよと頭を撫でている。その後ろに続いて秋が下りてきた。先ほどであったときのように頭を押さえていたので少し心配になる
「秋・・・・さっきはほっていってゴメンね」
「気にするなよ、俺が引き留めてたんだ・・・・なあ」
柏の言葉に頷いて下を向いた。日の当たる場所では彼の格好がひどく目立つ。明るい場所に立つ陰のように。
「それより秋、この人のいったことって…」
「俺もさっき知ったんだが、良心を抜き出す者がこの世界には居るらしい。それと今回の依頼は関係するとも聞いた」
柏の方を向くと柏は頷いた。辛そうな表情に疲れているのかと思った。
「柏さん・・・・大丈夫ですか?」
彰が柏に近づく。柏は考え事をしていたのか気づいては居ない。その肩に触れようとした
「---やめろ」
「・・・・とりあえず何が原因かは分からない?」
「原因が分かれば私だってあなたたちには依頼しません」
きっぱりと言い張るが彼女の目は揺らいでいる。
・・・・嘘だと彰は想定する。じゃあ、どういうワケがあったんだろう。
 その後、村の周囲にある山を調べるために彼女とは別れた。
「・・・・マノリアさん…ねえ」
聞き覚えのあるその名に少し違和感を感じる。そんな知り合いは居なかったはずだが。
「・・・・マノリアさーん 居たら返事をしてくださ-・・・・」
最後の言葉が出なかったのは、山の上の方から物音がして振り返ったからだ。振り返ったとたんに音の原因が彰の横を滑り落ちた。
「秋!」
「なんだお前か・・・・こいつが名前に反応したんだ・・・・ってて」
頭を押さえながら秋は手に持つこいつを・・・・何コレ
「・・・・嗚呼、お前は知らないのか?これは“良心”だ」
女子が好きそうなハートの形をしたそれは、秋の片手にすっかり収まる大きさだった。
「で、コレ何なの?俺全然知らないんだけど」
「これは良心。悪霊に取り憑かれた心、悪心になるとコイツが追い出されるんだよ」
良心は手の中で彰を誘うようにジタバタ暴れる。秋はあまりの勢いに手を離すと良心は奥の方へ走り去ってしまう
「あ、まって!」
彰は良心の後を追いかけた。周りは明るさを取り戻しつつあった。
「久々だな、黒天狗」


「・・・・いい加減にしません?わたくしもう疲れました」
「そう言われても。貴女が考えたゲームですよ」
真っ広い部屋の中心で女はグラスに入った液体を口に含む。薔薇を想像させるその色は同時に血液を思い出す。深紅。
静寂に包まれたその部屋は、外が明るいのに比べ、暗い。巨大な窓は光を遮断し、すべての音がその場の2人に吸い取られた錯覚に陥る。その場に他者がいれば間違いなくそう思うだろう。
「だって退屈なんですもの。貴方はそんなにジャパンがお好き?」
「ええ、大好きですよ・・・・」
備え付けられているカメラを見る。人間味のない黒いそれを、彼は見詰める。
「とても興味深いね、ルシファー」
ルシファー。悪魔に見えるその外見にとても興味があるんだよ。でも君は悪魔じゃない。堕天使でもない。
「君は、見えない物を信じるかい?」
「貴方さまが信じろと言うならば・・・・」
言葉の遮断と共に鉄パイプが首元に当てられる。彼女は動じずただ謝った。
「信じては居ません」
「そう。じゃあ、あれは?」
彼が指す方向には、リンゴのような大きさに色。形はハートの形をしていた。
「あれは我々の敵だよ」
「・・・・という事は、」

「君を捜してるんだろうね、マノリア」
「明け方って言ってもまだ暗いんだね~おまけに寒いし」
「当たり前だ。俺は、」
黒い翼を広げて空を飛ぶ。寒がりな彰はいつもより厚着で。それを抱える秋の表情を彰は見えないハズだ。何を言おうがバレはしない。だが
「居てはいけないとか言ったら、殺すよ」
淡々と言い放つ彰に少し違和感を覚えた。この感覚を彼は知っているハズだ。忘れていても脳裏を横切るその感覚を。
〈--悪いのは君だ、黒天狗〉
「・・・・もうすぐだから」


「・・・・おはようございます」
村に入ると村の入り口から近い所に家があった。窓から声を掛けられ思わず出た言葉だった。
「・・・来ていただき有り難うございます」
村長と名乗る女が彰に声を掛けた。
「あの・・・・失礼ですが 本当に村長ですか・・・・?」
女は、齢18あまりで、見た目もそこまで大人には見えない姿だった。
「何か問題が?」
「い、いえ・・・・」
問題アリまくりです。とはツッコめない彰だった。
「代々先代の家系は若い頃に村長を引き継いでいるのです。子に恵まれなければ先代が適任者を選びます。先代の子が居なくなっているので・・・・適任者として今は村長をしております」
きびきびと、そして淡々と言葉を言う彼女は確かに適任だろう。
「じゃあ、帰ってこない子っていうのは、次の村長候補だったわけだね?」
「ええ、先代が死去したので。ですがそれより前から先代のお子様が居なくなって帰ってこないので・・・・それでお子様と年の近い私が村長となっております」
「・・・・じゃあ、そのお子さん。居なくなった子を見つけてどうするの?君が村長となってるのに・・・・変わるのかい?」
彼女は少し下を向いて少しの間を開けてもう一度彰を見た。
「先代は私を選びました。しかしお子様は・・・・マノリアはそれを知りません。先代が養子にした彼女は母君が死んだことも自分が候補から外れてしまったことも知らないのです」
「・・・・先代の子供、マノリアさんは 先代が身ごもった子じゃないんだ。だから余計に話が難しくねじれてるんだね」
「はい、この村は日本の物ですから。外人のマノリアが継ぐのをいやがる者も居ました。」
それにと彼女は付け足した。彰が何かを言う前に。
「ややこしいことに、私は先代から生まれた子供だったのです」

「・・・・え?」
「一回まとめますね。先代の子供マノリアは養子ですが先代が育てた大切なお子様です。その方が突然いなくなり年の近い私が村長に選ばれた。そして私は先代が身ごもられた子供です。」
「あー・・・・うん。簡単に言っちゃったけどそれってつまり良いことなんじゃ…?貴方が村長を継げばなんにでもなるんじゃない?」
「・・・・先代と私と、私を育ててくれた父様以外は知り得ない事なんです。皆に言ったところでマノリアを養子に取り私が離された事を問われます。それは・・・・避けたいのです」
「--分かったよ。とりあえずマノリアさんを探すことから始めますね。じゃあ秋-・・・・」
後ろを向いた。・・・・・・・・秋は、居なかった。
「人捜し?」
基本的にこのホームは地下があり、自分たちは地下で暮らしている。表向きはただの一軒家、裏向きは孤児院。
そして、一般の人にはできない仕事を引き受けている。
感情により悪性化した魂を除く。人間に取り憑いた悪霊祓い。未練ある魂を無事成仏させる。限られた物でなければ出来ないこと。
それを引き受けてるのが自分たちの住む上の階。簡単に言うと「一階」だ。
その一階で相談を受け、調査をした後に仕事をする。
・・・・のだが。
ごくたまに遠いところからの依頼だと、どこから流れてるのかメールでの依頼が来る。
秋の自室にあるパソコンの前で2人はイスを出してその新着メールを見詰めた。時間は23時でチビとマザーは眠りについている時間帯だ。
「・・・・人捜し、っぽいな」
内容はこうだ。「小さな村にいる子供がいなくなったり戻って来たりしてます。ところが最初に居なくなった子だけは戻ってません。探していただけますか」その下には住所があった。
「・・・・この在地はさ、結構寒いんだよね・・・・ここも寒いけどここよりもっと寒いんだよね~・・・・」
「嗚呼、雪も降るらしいな」
焦げ茶色の髪を揺らして彰は身震いした。寒さを想像してか余計寒くなったのだろう。
「・・・・はあ」
漆黒の髪を持ち、右目以外真っ黒の。今回は服装までもが真っ黒の秋が溜息をつき席を立つ。ドアに近いストーブのスイッチを回そうとする。電気のスイッチと同じ位置にある特殊な作りなので、誤って電気を消してしまった。彰の情けない声を聞きつつ秋は「ごめん」と謝った。
「・・・・どうした」
秋がイスの元へ戻るより前に彰がマウスをカチカチさせる。自室にあるといえ秋は昔封印された天狗だ。使い方なんて知らなかったし、音楽を聴く方法しか教えて貰ってない。
「・・・・いや、どうする秋。向こうまで結構遠いけど君は・・・・乗り物苦手でしょ?」
「あれはガタガタ五月蠅い。慣れん」
「だから・・・・向こうに来て貰う?高く付くだろうけど」
「・・・・いや、俺が飛ぶ。お前を抱えるから安心しろ」
秋が少し笑ったような顔をする。無理して笑う所を見ると相当辛いのだろう。
秋には、封印を解く以前の記憶がない。
彰が封印を解いたのは、ほんの5年以上前。その5年以上の記憶しか存在しない。
「・・・・どうした」
弱みを見せないのは彼らしいと彰は思う。自分とは違う彼にいつしか希望を寄せていた時期があった。勿論今も希望はある。
「いや。じゃあ明日の明け方。」
ドアを開けて出て行こうとする彰に対し、秋は「厚着だぞ」と一言言った。

〈優しさは求めない。お前しか、居ないんだよ!〉
不意に思い出した言葉に身震いする。

夜の廊下は、酷く寒い。

泣く子も黙る・・・・というより、腹減る子供が騒ぐ時間帯、午後7時。その場の子供が一カ所に集まる中、一人 男の部屋で響くは・・・・カチカチというボタンを押す音と『さあ、運命の選択だ』。
フルスクリーンに映し出されたその映像と音声。そして、2の選択が出されていた。
「なあ彰ァ 飯らしいぜ?」
小さな子供の一人が彰と呼ばれる男の部屋に入り、ゲーム機の周りに集まる
『残念!失格だよ!!』
「のおおおおおおおおおおおおおおう!!!」
「何してるんだお前、飯の時間裂いてまでゲームかよ?」
キッチンから叫ぶ声が聞こえた。彰の自室とキッチンは近いからよく響くのだろう。
叫んだ男は秋。akiではなくshuuという。漆黒の髪を持ち、右目は少し茶色を帯びている。先ほどの彰と同じ齢に見える。
「何って…ゲームだよ~」
「みりゃ分かる。マザーが帰ってくる前に飯を食えと言ってるんだ。マザーが帰れば仕事の山だぞ」
マザーと呼ばれるのは彼らが暮らすホームの大黒柱とも言えるお人。
 彰は、一見すると平穏な世界に生きる人間だった。髪は焦げ茶色をしていたが眼は日本人特有の黒。少しおかしいところと言えば、金には目がないと言う事、だろうか。
彰は部屋を出てリビングへ出る。
「・・・・マザーは、まだ帰らないの?」
「めずらしい事だ。俺の記憶が正しければこんな事一度も・・・・」
「あら、そうだったかしら?私がいつも規則正しいからかしらね」
「「マザー!!」」
不意打ちで背後に居たマザーに驚きを隠しきれない彰と秋。無理もない話、彼女は生気を消す能力を持っている。仕事帰りはいつも気を張っているせいか生気を消したまま帰宅するときが多い。
「マザー・・・・仕事帰りですね、いい加減生気消すの止めてください」
「仕方ないでしょ秋、私たちの仕事を考えなさい。」
そういって彼女は真顔で秋を見返した。秋は耐えきれずに目をそらす。
 仕事。彼らホームに住む人間は、一般の人にはできない仕事を引き受けている。
感情により悪性化した魂を除く。人間に取り憑いた悪霊祓い。未練ある魂を無事成仏させる。限られた物でなければ出来ないことだ。
「ほら、今回も迷える魂を救いなさい」
「どこかの宗教みたいな言葉並べないでよマザー・・・・あ、秋!」
彼女が居ると秋はあまり喋らない。彼女がそちら側の人間だからだろう。
案の定逃げ出そうとする秋に彼女は杭を突き刺すように言葉を並べた。
「人の子なら人を救うことだよ。しっかりやっておいで」
秋の目に光はない。表情は変わらないが怒っている証拠だ。
「・・・・・・・・俺は、違う」
〈 決めた!お前の名は---- 〉
「・・・・秋?」
「俺は、人の子じゃない。」
彼女は気にせずにリビングへ向かう。夕食の準備の続きをしてくれるのだろうか。
秋が顔を上げると彰と目があった。互いに目が合い微笑む。彰は思わず勘違いかと胸をなで下ろす。秋がリビングに戻るので後を続いた。
「・・・・俺は天狗だ、人間じゃない」
〈 お前の名は秋だ、あきじゃなくてしゅう。コレから俺の元へ来い、“秋” 〉
名前を貰ったが運命、妖怪は主人に従う生き物となる。
「うん、君は俺が名付けた烏天狗だ、秋。“行くよ”」
「--嗚呼」
漆黒の羽根を羽ばたかせ、秋は彰を連れて飛ぶ。3人のチビと彼女がリビングで和気藹々する雰囲気とは180度違う世界へ 彼らは“仕事”をしにいくのだ。
アイコン置き場です。
取ったら勿論、死罪ですからね?

まあ・・・・あれだ、共同アイコンは共同で使ってる人もいるし、
完全俺だけのアイコン。ってワケでもありませんですが。

関係の無い方が使われてた場合、
本当に覚悟しなけりゃいけない状況に陥るので そのへん辨えろよ☆


...自作

 ,,, 




:// 真っな手でったその中は 
       屋根裏のズミより真っなんだろ?



....頂き物



作って頂きました。
感謝ですね、


,,,

共同アイコンです。
作って頂きました。


,,, 

同じく共同アイコンです。
イラストからすべて作って頂きました!
可愛らしくて使うのが惜しくなりそうです。