iOS 11.4に「USB制限モード」登場か、端末を7日間放置するとデータ通信が不可になり捜査機関によるアクセスを制限
2018年5月中にもリリースされるとみられるiOS 11.4では、セキュリティ関連で大きな変更が加えられる模様です。セキュリティソフトウェアを提供するロシア企業Elcomsoftは調査の結果、「iOS 11.4がインストールされたiOS端末が7日間にわたってアンロックされない状態が続くと、Lightning端子が充電専用になってデータ通信ができなくなる」という内容を報告しています。
「USB Restricted Mode」と呼ばれる機能は文字どおりUSBの機能を制限するモードとして実装されているとのこと。ひとたびこのモードが有効になると、Lightningケーブル経由のデータ通信が一切できない状態になり、Lightningコネクタは充電専用の状態になります。
このモードが有効化する条件は、「iOS 11.4がインストールされたiPhoneまたはiPadがアンロックされずに7日間ロック状態におかれている」というものですが、Elcomsoftによると、この条件が「連続7日間にわたってパスコードを使ったアンロックが行われていない」というものなのか、「連続7日間にわたってパスコードおよびTouch IDやFace IDなどの生体認証でのアンロックが行われていない」というものなのか、あるいは「連続7日間にわたって認証されたUSBデバイスまたはPC/MacにLightningケーブルで接続されていない」のかについては、まだ不明であるとのこと。Elcomsoftがテストした結果では、7日間にわたってアンロックされない状況が続くと、Lightning端子は充電専用の状態になったことが確認されています。
なお、一度USB制限モードになった端末でもパスコード入力などでオーナーがアンロックを行うと元の状態に戻るとのこと。Elcomsoftによると、この機能はiOS 11.3ベータ版の段階で一度実装されてはいたものの、正規版がリリースされる段階で削除されていたそうです。
この機能は、端末紛失時などにデータ流出が発生するリスクを下げられるというメリットの他に、政府や捜査機関によるiPhoneに保存されているデータへのアクセスを制限するという狙いもあるとみられています。アメリカでは、Appleと捜査機関の間でデータの保護をめぐるせめぎ合いが続いており、ユーザーのデータ保護を最優先するAppleに対し、アメリカ政府やFBIがロック解除システム「GrayKey」の導入や、日本企業サン電子の子会社「Cellebrite」の協力を得て端末をアンロックするなどの対抗措置をとっています。
「USB制限モード」は、GrayKeyのようなシステムがLightningケーブル経由で端末内部にアクセスすることを遮断するための機能であるともみられており、Appleが掲げるユーザーデータ保護の姿勢をより明確化させるものといえそう。はたしてiOS 11.4正規版で実際に登場するかどうかはまだ不明ですが、このニュースを目にしたユーザーの中には「7日という期間は長すぎる。1日でも、いや、数時間でも僕にとっては十分だ」というコメントを寄せている人もいました。