11月30日(金)、
堺雅人さんと菅野美穂さんを迎え、
大阪で記者会見を行いました
おふたりの人柄が表れた、
笑顔と暖かい言葉に溢れた会見となりました
(公開まで1ヶ月を切りましたが、今の心境をお聞かせください。)
堺:本作は、5代将軍綱吉の時代を描いているのですが、現在放映中のドラマでは3代将軍家光の時代で、いわば、その続編にあたります。ドラマも佳境に入っていき、映画『大奥~永遠~』に向かって盛り上がっている気分ですので、やっとこの日が来たかという気持ちです。
菅野:公開まで3週間ということで、撮っている間は「随分先だな、どうやって完成していくのかな」と楽しみにしていました。映画は撮影が終わって半分、公開を迎えるまで半分という感じなので、後半がいよいよ佳境に近づいてるなという感じで、楽しみを噛みしめています。
(【男女逆転大奥】の魅力について教えてください。)
堺:初めて原作を読んだ時に、なんて面白い物語なんだろうと思いました。ついている嘘は「男女逆転」というひとつだけなのに、江戸時代の戦国時代の世から平和の世に移り変わる歴史ですとか、肉食系女子、草食系男子といわれるような、女性が元気がいいという現代の映す鏡にもなってるなと思います。その面白さを一人でも多くの方に見ていただければと思います。
菅野:最初は大胆な思い切った設定だなと思いましたが、男女逆転という設定であったとしても、お話の中で最後に残るメッセージというのは愛や純粋さというもので、すごく面白いなと思いました。
(規模の大きなプロジェクトだと思うのですが、さすがに映画の中で、これは大きいなと思った事はありますか?)
堺:映画(2010年公開『大奥』)からテレビドラマ(TBSドラマ「大奥~誕生[有功・家光篇]」、そしてまた映画(『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』という大きなプロジェクトなんですが、僕が参加させていただいたドラマと映画の時点では、既に、前作の映画があり、大きな流れが動き始めていた最中ですので、企画を聞いてるときからワクワクしていました。原作が今でも続いている、『大奥』サーガと言われてもいいぐらいの壮大な物語ですので、読んだ時には、あまりのスケールの大きさに、身震いしたというか、本当に面白い物語だなと思ったので、原作の大きさが一番印象に残っております。
菅野:衣装合わせや現場に入った時に、「あれ、自分が思ってる時よりも大がかり(な企画)なんじゃないか?」と思いました。自分は、久しぶりの京都の撮影所での撮影で必死だったので、シーンの写真を見せて頂いた時に、西田敏行さんと堺正章さんの光明寺で撮影したシーンがありまして、光明寺の飾りの豪華さにこれは大作だ!と気づきました(笑)。
堺:菅野さんの内掛けも素敵で、御鈴廊下も豪華絢爛で、とても似合ってらっしゃっいましたよ。(菅野さんは)あまりにも必死で覚えてらっしゃらなかったかもしれませんが、下に控える人間としてはとても素敵な上様でしたので、付け加えさせていただきます。
(お互いの共演される前の印象と後の印象をお聞かせください。)
堺:何作か作品を拝見していて、作品によって全然違うイメージで、それぞれの役を本当にこの人の素なんじゃないかと思うぐらいに演じられているなと思っていました。今回ご一緒させていただいて、とても捉えどころがなくて。僕のイメージでは、右衛門佐がなんとか綱吉に爪痕を残そうとして、一本の矢の様に深く深く突き刺すようなお芝居の連続なのですが、いくら突き刺しても、菅野さんに突き刺さらない様な気がしてですね。それは結果的には、菅野さんの役作りだったんですが、懐が深くて、どんな言葉を投げかけても、深い淵に小石を投げ込んだように動かない様な気がしていました。大丈夫なのかな?と思っていたのですが、ラストシーンで全て届いていたことがわかりました。まるごと役に飲みこまれてしまうような、本当によくわからない人だなと思いました。
菅野:どの役をやられている時も、ご自身の中でテーマがあって、役作りへの意識の高さが、役の後ろから滲みでているような方だなと思っていました。あとは、草食系のイメージだったんでが、草食系というより、植物というような感じの人でした(笑)。役に対して研究熱心だなというのは、私が思っていた以上でした、穏やかな中にもきびきびとした情熱がある俳優さんで、時代劇だと着物を着ていることや所作などが、心情を演じようと思うと足枷に感じる時もあるんですが、そういうところもきっちりと、ノルマをこなすのではなく能動的にやられていて、素晴らしいなと思いました。
(最後にメッセージを。)
堺:「男女逆転」という特殊な状況を描いた作品ではあるのですが、出来上がったものを見てみると、本格的な時代劇になっています。京都のスタッフの方々が丹精を込めて作った作品で、東京ではなく京都で作った意味がある作品であります。テレビシリーズをご覧になっていらっしゃらない方も、原作をお読みになっていない方も、「男女逆転」ということだけを頭に入れていただければ、楽しめる作品ですので、なるべく多くの方にご覧いただきたいと思っています。
菅野:元禄時代のお話なので、セットやそれぞれのキャラクターの着物が美しくて、男性の着物に華やかな色があるというのも、「男女逆転」という設定ならではのものだと思います。原作の素晴らしさはもちろんですが、出演されている方々の演技も素晴らしいです。ぜひ気軽に映画館に観にいらしてください。