「次は胸骨の上端と下端に触れていきます。」
みぞおちのあたりと、のどの下のあたりに手が置かれた。
みぞおちの手はまったく気にならないのだが、のどの方が気になり、なんとなく息苦しい。
ずいぶん長い間そのままの状態だったような気がする。
なんだか頭の中に青い三角形がいっぱい浮かんだり、息苦しさに気持ちがいくと、ごぼごぼと水の中に沈んでいくような感じがしたり...
そのうちに頭が上下にぐぃーんと引き伸ばされるような感じがしてきた。
頭だけでなく、体全部が縦にながーくなったようで、「なんだか割り箸になった気がする。」などと思った。
それがまた収縮して、今度は四角になった。
四角になって、ベットからはみ出しそうな感覚がしたけれど、いやな感じではない。
安定した感じにおさまり、次のポジションへ。
今度は、尾骨と仙骨の先端。
今までとはうって変わって、手が触れられると、待ってました!とばかりにからだが動き始めた。
ベリーダンスかフラダンスのように腰がまわる。
右回り、左回り、と交互にぐるんぐるん動いている。
"右の腰の痛み"がなんだか嬉しそうに「今日はオレ、がんばっちゃうもんね!」(なぜに男性口調???)と張り切ってカラダを調整しようとしている。
あんまり一生懸命なのでおかしくてしょうがない。
「自分では動かしていないんですけど。」
「私も何も力を加えていないですよ。」
「おかしくてしょうがないんですが。」
などと緒方さんと会話する。
しかしながら、一生懸命頑張っている割に、カラダが調整されていく感じはまったくしない。
そのうちに"右の腰の痛み"が、がっかりしてすねてきた。意気消沈している。
仕方が無いなあと思いながら「大丈夫だよ。もうちょっとがんばってみようか。」と励ます自分。
(と書いていて、我ながらまったく妙なのだが、セッションの最中は確かにそんなふうに感じ、そんなふうに自分のカラダとの会話が成立しているのだ。)
すねないように気を使いながら、"右の腰の痛み"を励ますと、やる気を取り戻したようで、また腰が今度は違った感じでもう少していねいにゆっくり動き出す。
右の腰の痛みと、左の肋骨の一番下の違和感がつながった、連動して動いているような感じがする。
少しずつ良くなっていくが、やはり何かひっかかりがあり、いい状態にならない。
もうちょっとで何かがぽーんと抜けそうな気がするのだが、何かが足りない。
カラダが静かな状態になったのをキャッチしたのか、緒方さんから「終わりましたか?」というようなことを聞かれた(ような気がする)。
「いや、完了したのではなく、今どうしたらいいか悩んでいる。考えている状態。」と説明する。
「ではこのままもう少し待ってみましょう。」
何かが足りない、もうちょっとなんだよなあ、とぼんやりしていて、ふと気がつくとお腹の上に置いていた自分の右腕が勝手にそそそそと動いていた!
「え?!」とびっくりすると、左の肋骨に触りたくて手が前進しているということに気がついた。
「そんな失礼なこと!」と私の理性が気がつくと、右手の前進はぴたりと止まった。
プロの緒方さんがセッションをしてくれているのに、素人の私がそれに手を加える(まさに言葉どおり!)なんて、そんな失礼なことはしてはいけない、と思った。
でも、私の体は「手が足りない」「肋骨に手が必要」と訴えてくる。
触りたい。参加したい。
でもそんなの失礼。礼儀知らず。
その葛藤でぐるぐるになってしまった。
自分のリソースに戻って、ふーっと一息ついてみた。
今の私のテーマは「悩んだら、今まで絶対に選ばなかった方を選ぶ。」だということを思い出した。
今までの自分だったら、絶対に遠慮して言い出せないこと。
相手に失礼だとか、ずうずうしいやつだと思われたくない、と我慢していたことを我慢しない。
まず自分がどうしたいかを優先する。
「手が足りない、って言っているんで、私の手も参加してもいいですか?」と緒方さんにたずねる。
「ええ、いいですよー。どこに手を置きたいですか。」
快く返事をしてくれた。
左右の肋骨の一番下にそれぞれの手を置いた。
「ああ、そこに手を置きたかったんですね。」と緒方さん。
自分の手を置き、少しほっとしながら、そのまましばらくカラダを感じる。
左右がバラバラというか、互い違いになっているようだったカラダがだんだんとまとまってきた。
でもまだ何かが足りない。
まだ何かが足りないー。何が足りないんだー?
と考えていると、「今日は1回もアロマの香りがしないなあ。」とふと頭に浮かんだ。
すると、さぁーっとアロマの香りが強く強く立ち上ってきたのだ!
その香りを深呼吸すると、全身に広がり、そして全身が穏やかにまとまっていった。
ふぁーと落ち着いた気持ちになっていった。
そしてしばらくしてもう私の手はいらないな、と思ったので
「あとは緒方さんにお任せします。」と言って手をはずした。
"右の腰の痛み"は、「申し訳ないが、今日はここまでだよ。すまん。」と言っていた。
「ここだけで全部治すわけじゃないよ。このあとも体は動き続けるよ。」という声も聞こえた。
この調整はこのベッドから降りても、ゆっくりとずっと時間をかけて日常の中で続いていくから大丈夫、ということがわかった。
そしてこの日のセッションは終了した。
「今日はやっぱり、ラベンダーが必要だった日なんですね。」と言われた。
ちゃんと必要なものを、何かがキャッチしている。
前の晩、ラベンダーを選んだときから、セッションは始まっていたような...
素晴らしい&不思議。
もうひとつ、不思議な出来事。
いつもならきっちりと携帯はマナーモードにしている私なのに、この日はそれを忘れていた。
電車の中で気がついたのに、「まもなく、しもきたざわー」というアナウンスに気をとられ、そのまま忘れてしまった。
そんなときに限ってセッション中に2回もメールの着信音が鳴り響いてしまった。
終わってから緒方さんにそのことをあやまると
「いやー、あれはセッション終了の合図だと僕は思いましたよ。」
「えー、私もそう思いました?!」
2回目の着信音は、本当に「今日はもう終わりかなあ」と思っているタイミングで、緒方さんと会話しようとしかけたときだったのだ。
しまった!と思い、なんとなく意識が覚醒していった。
そして、そのままセッションは終了へと向かったのだ。
ちなみにそのメールは、「ソフトバンクからのお知らせ」だった。(私はボーダフォンユーザー)
「予想外です」???
おあとがよろしいようで(~_~;)(~_~;)(~_~;)